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女性の観察力はすごいと思った

本日、二話目!

「キリがないな」


 あれから俺達は一緒に行動している。

 というのも、目的が同じだしどこかを目指している訳でもない。

 そういう事で一緒に行動する事になったのだ。


「それにしてもカレンの剣って切れ味が鋭いけどまさか……?」


 戦っている途中で見ていたけど、カレンの剣はカイトの月花と同じような切れ味を持っていた。

 それにカレンはSランク冒険者だ。

 それを合わせて考えると……。


「その顔は察しがついているようだな。そうだ、私はラグナロクに選ばれた人間だ」


 やっぱり。

 という事は、剣に選ばれたSランク冒険者がこうやって集まっているってのか。



「そういうおまえの剣も切れ味が良いよな。ラグナロクとエクスカリバー、それに月花に続く新たな剣が見つかったと聞いたが、おまえがその持ち主だな」


「さすがだな。そうだ、俺がグラムの所持者だ」


「ドラゴンを連れていると良い、ショーマという名前と良い噂に聞いた通りだからな」



 闇夜の黒騎士よりドラゴンテイマー、ショーマとしての方が噂が広まっているのは嬉しいな。

 素の状態で闇夜の黒騎士の噂を聞いたら悶えそうだし。



「ん? どうした?」


「いや、なんでもない。こっちの問題だ」



 それに勘の鋭いカレンに変に思われなかったからな。

 まぁ魔王と言っても見た目は人間だし、これで気付かれたとしたらカレンこそ人間じゃないだろう。



「そう言えば一つ気付いた事があってな」


「ん? なんだ?」


「さっきから思っていたのだが、特定の方向から多くの魔物が来ているように思うだが……どう思う?」



 特定の方向?

 そんなの気付かなかったけど……。



「カレンさんもそう思ったのですか」


「シシリーも気付いたか?」


「はい。でも、私の勘違いと思ったので……」



 ……二人とも観察力あり過ぎだろ!? 



「二人が思ったなら間違いないだろ。そっちへ行こう」


「いいのか?」


「俺の知っている話に女性の勘は当たるって言うのがあるからな」


「そうか、じゃあこっちだ」



 そう言うとカレンもセシリーも同時に進行方法を変えた。

 それを見て俺は女の勘って鋭すぎだし反則だよなと思いながら、二人の向かう方向へと進路を変えた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「確かにこっちに来ると魔物が多いな!」


「ふっ、そうだろ」



 俺とカレンは剣を振るい魔物を倒しながら言葉を交わす。



「セシリー、大丈夫か?」


「ホーリーランス! ……はぁはぁ、大丈夫です。それより私はシシリーですよ」



 ヤベッ、そうだった。

 セシリーは肩で息をしながらも俺の呼び方の間違いを指摘してくる。

 でも、カレンも知ってるしいいと思うけど……まぁいつあの天然勇者がくるか分からないしな、気を付けないと。


 それにしても、セシリーあの様子だと少ししんどそうだな。

 かれこれずっと戦い続けだし。


 あまり手助けするとセシリーが怒るから様子を見ていたけど、ここから先は少しフォローしていった方が良さそうだな。


「あそこから出てきているみたいだな、それに中から魔物の声が聞こえる」


 カレンが崖の下に出来た洞窟を示す。

 すると、周辺から襲ってくる魔物以外に、時々その洞窟からいろんな種類の魔物が出てくるのが見えた。


 一種類の魔物ならともかく、いろんな種類の魔物が同じ閉じられた場所から出てくるってのはおかしい。

 確かにあそこから出てきてるっぽいな。

 それにしても中から魔物の声が聞こえるって地獄耳か!? 

 勘が鋭い上に地獄耳……男の敵だな……って今はそれじゃないな。

 それに俺はやましい事はないし。


「よし、俺は中を調べてくる! 二人はここで――」


「私も行きます!」



 すると、間髪入れずにセシリーが言葉を返してくる。



「でも――」


「大丈夫だ。私が先頭を切る。ショーマはシシリーのフォローに回れ。それに私はSランク冒険者としておまえを一人行かせるなんて事は絶対しないしな。でも、だからと言って、おまえもここで待っているのは嫌だろう? それに中が怪しいのはあるが、外が安全と言う保証もない」



 確かに外が安全と言う保証がある訳ではない。

 それにセシリーはこうと決めたら余程納得しない限り意見を変えないだろう。



「……分かった。じゃあ先頭を頼む」


「いや、私は大丈夫で――」


「セシリー!」



 今度は俺がセシリーの言葉を遮る。


「ここから先は危険だ。もしセシリーの身に何かあれば俺はきっと自分を許せない。セシリーが俺の事を心配してくれたように、俺もセシリーに何かあったらと思うと不安だ。体調が万全ならともかく、今は連戦で疲労も見える。だから、ここは言う通りにしてくれ」


 いつもはセシリーに言い返せない俺だけど、ここは引けない。

 危険がある以上は何が何でもこの条件は飲んでもらう。


 セシリーの様子を見ると、少し不服そうな感じだけど、分かってくれたのか「……分かりました」と言ってくれた。



「おやおや、こんなところでいちゃくかないでくれないかな?」


「「いちゃついてない(ません)!!」」


「ほら、息までピッタリじゃないか」



 カレンはニヤリとしてくる。

 くそ、こいつはアースと違う意味で手強い……。


「ほら、行くぞ!」


 俺はそう言って話を切ってカレン進むように促す。

 そして、俺達は洞窟へと足を踏み入れた。


 ちなみに、洞窟に入る時になってさっきは柄にもなくショーマの状態で真面目な事を言ったので『セシリー』と呼んでしまったけど、その事についてセシリーに怒られなくて良かったと思った。



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