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鈍感系残念タイプと天然ドジッ子

 Sランク冒険者!?

 まさかこいつが!?


 俺は心の中で驚く。

 確かにさっきの動きも速かったし、剣筋も良い。

 だから、実力者ってのは分かる。

 

 でも……でも……なんでSランク冒険者ってのはこうも一歩ズレてるんだ!?

 それになんでこいつは無意味なほど爽やかなんだ!?


「Sランク冒険者のアース……あの勇者の再来と呼ばれているあのアースか……」


 男はどうやらアースと名乗る青年を知っているようで、後ずさりする。


 勇者の再来……。

 そうか、この無意味なほど爽やかたる所以はそのせいか……。

 うん、こいつにはあまり関わらないほうがいいな。


 もしあのアースって奴が勇者になるとしても、あれは勇者は勇者でも鈍感系残念なタイプの勇者だろう。

 関わったらきっと碌なことにならない。


 それに俺は魔王。

 あいつとは生まれた時から関わらない方がいい関係だ。


 てか、この世界に来た時からこの姿だから、転生なのか転移なのかはよく分からないけど。

 まぁ、魔王って復活するっていうから転生だろう、たぶん。

 それよりも……


「では、これで解決だな。失礼する」


 俺は目の前で青髪の女の子が「アース君と一緒にパーティ組んでるAランク冒険者のミリアです。さっきはすみませんでした」と男二人に謝り、男二人が「やっぱりあの天使のような悪魔と呼ばれるミリアさん!? すみませんでした!!」と言って走り去るのを見て俺はその場を後にする。


 男二人はアースもミリアも見た目からはSランク、Aランクの冒険者には見えないから分からなかったみたいだけど、二つ名と実力は有名だったようだ。

 どっちにしても変わった二人、妙な二つ名を持つ二人とは関わらない方が良い。


 例えミリアって子が男二人の言った二つ名に落ち込んだとしていてもだ。


「いや、ちょっと待って」


 嫌な予感はしてけど、案の定、俺はアースに腕を掴まれる。


「なんだ? 我は忙しい。それに我はこの街の平和を守らねばならない」


 俺は、勇者の再来と呼ばれているんだったら断れないような理由をつけて、なんとか断ろうとする。


「じゃあ僕も一緒に見回るよ! それだったら大丈夫でしょ?」


 だが、それは通じなかったようだ。

 むしろ、俺がついた嘘にさらに効果のある提案を出してきた。


 しまった、いらない事を言ってしまった!

 どうせなら用事って言っておけば良かった……。


「じゃあ私もご一緒します! 私も闇夜の黒騎士さんとお話ししたいです!!」


 なぜだか分からないけど、ミリアもアースに同調して言って来る。

 これは……逃げられない……。


「……少しだけだぞ」


 俺はそう言葉を返し、心の中で項垂れた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「その服恰好良いね!」


 俺は今、アースとミリアを引き連れ、街の中を見回っている。

 本来であれば闇夜の黒騎士は例外を除き、普段は誰の目にも触れないのが基本だ。


 しかし、今回は自分がついた嘘によって白昼堂々と街中を歩く羽目になっている。

 通り行く人は不審に思ったり、この前のオークキングとゴブリン王の討伐で闇夜の黒騎士を知っている人は尊敬や畏敬の視線を送ってきたり、はたまたアースとミリアを知っているのは二人の事を見て話している人もいる。


 まぁ、正直言って悪目立ちしているのは間違いない。


 そういう状況なので俺は闇夜の黒騎士と言えど、少し客観的になっている自分がいる。

 そんな状態の時に服装を褒められても素直に喜べるところか、逆に少し恥ずかしくなってしまう。


「本当、恰好良いです!」


「……それで話とは?」


 俺は二人の言葉には反応せずに話を戻す。

 俺が反応しなかった事で、ミリアがダメージを受けているが仕方ない。


 ミリアは見た目は可愛い子だろう、こんな事をすれば心痛むかもしれない。

 でも俺には眼中にない。


 俺はセシリー一筋。

 浮気なんてするはずがない。


 そんな事すれば、さっきあんな言葉をもらったフィリスさんに、目力で石にされてしまうかもしれない。


 それに、自分で自分にダメージを与えるのもあれだし、そもそもこいつらと一緒にいると騒動に巻き込まれそうな気がする。

 なんてたって鈍感系残念タイプと天然系ドジッ子だし。


「あぁごめん、君と仲良くなりたくてついついお世辞を言ってしまったよ」


 こいつ……それは言ったらダメだろ。

 素直にも程がある。



「アース君、それは言っちゃダメです!」


「あぁそうだったね。ごめんよ、闇夜の黒騎士君」


 そう言ってアースは俺に謝ってくる。

 その横でミリアが「もう、私だってその辺は気を使ってるんですからアース君もしっかりしてくださいよ」と言っている。


 こいつら二人揃って俺に何の恨みがあるんだ……?


「……話がないならここでお別れだ」


 俺はそう言って立ち去ろうとするが……


「ちょっと待ってよ!」


 アースが俺を見逃さない。

 さすがSランク冒険者と言ったところか?

 俺は本気ではないにしろ、怪しまれない程度にスピードを上げて立ち去ろうとしたけど、アースは俺の腕を掴んで阻止されてしまった。


 それにしても、本当人の都合とか考えない奴だな。


「いろいろごめんよ。でも、僕とミリアはこの前のオークキングとゴブリン王の討伐の事を聞きたいんだ」


明日は忙しく、更新出来ないと思います。

読んで頂いている方、申し訳ありませんm(__)m


明後日の土曜日は更新します。

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