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ドラゴンとの対峙

「グォォォオオオオオオ!!」


 現れたドラゴンは俺達に近づくなり、上空から炎のブレスを吐く。

 しかし、その前にドラゴンのブレスを察知した俺とカイトは、左右に分かれて飛び、それを避ける。

 クロも危険を察知して、俺と同じ方向へと避けた。

 そして、俺達を捉えられなかった炎のブレスは岩肌の地面を液状化させる。


 くっ、見た目からして強力だな。


 俺達を襲ってきたのは、その炎のような真紅のドラゴンだった。

 その大きさは巨大で5メートルはあろうかという感じだ。


 そうこうするうちに、俺達に炎のブレスを避けられたドラゴンは、そんなのは全然問題ないと言わんばかりに、悠然と俺とカイトの前に着地する。


「グォォォオオオオオ!!」


 すると、着地したドラゴンは俺達を威嚇するように咆哮を上げると、俺達を見据える。

 さて、竜の巣に来てドラゴンに出会ったはいいけど、どうする?

 クロが何とかしてくれたらいいけど……。


 と、思っていると、真紅のドラゴンはクロを見て目を止め、その動きも止めた。


「なぁショーマ、そのドラゴン、クロを見てないか?」


 真紅のドラゴンの動きが止まったのを見て、カイトもそれに気付いたようだ。


「そうみたいだな、それでうまく話がいけばいいんだけどな」


 そう言葉を返し、俺とカイトは様子を窺う。


「キュウキュウ!」


 すると、クロは何か話すように真紅のドラゴンに鳴きかける。


「グォォォ」


 クロの声に反応するように真紅のドラゴンは声を上げる。


 どうやら、クロと真紅のドラゴンは何かを話しているようだ。

 これで、うまくいけばいいけど……。


 俺はそんな期待をしながら、そのやりとりを見守る。


「グォォォオオオオオ!!!!」


 すると、突然真紅のドラゴンは大きな咆哮を上げた。


「おいショーマ、どうするんだ?」


「どうするたってドラゴンとは争いに来た訳じゃないし、むしろ友好の宝玉をもらいにきたんだし、こっちからは動けないだろ」


 ここに来た理由は友好の宝玉をもらう為で、戦いに来た訳ではない。

 そもそも俺がSランクに昇格する為に来たんだから、友好の宝玉をもらえず、むしろドラゴンと全面的な争いとかになったら本末転倒だろうし、昇格どうこうの話じゃないだろう。

 と、思うとあの国王、無茶苦茶な要求だよな。

 まぁそれをやり遂げるのが史上最強の魔王だけどな。

 そして、貢献してSランクになってセシリーとの事に口出しできないようにしてやる。


 そんな事を思いながら真紅のドラゴンの様子を窺っていると、向こうも俺達を見ながら様子を窺っている感じで動く様子がない。

 そして、しばし静寂が続く。


 これって、いつまで……


「っておいおい、どうするんだ!?」


 真紅のドラゴンは依然として動かないが、その後方の空から影が三つ近づきそれは段々と大きくなってきた。


「……戦うか?」


「いやいや! 戦ったらドラゴンと人間の全面戦争になるだろ!?」


「だったらどうする!? このまま黙ってやられるのか!? 残念だが、俺はネリーを守っていくと誓ったんだ! こんなとこでは死ねない!」


 こいつ、守るものが出来てキャラ変わりやがった!?


「落ち着けカイト! おまえの言ってる事は男として素晴らしいと思うけど、ここで焦って選択間違ったら世界を敵に回すぞ!?」


「構わん! 世界を敵に回しても俺がネリーを守る!」


 そう言ってカイトは月花を触る手に力を入れる。

 アカン、こいつ末期だ……って諦めたらアカン!!


「だから落ち着け!! クロが何か話してたんだ! とりあえず様子を見よう!」


「キュウ!」


 クロが俺とカイトのやりとりに何かを察したのか、鳴き声を上げながらカイトの前を飛ぶ。

 そして、その様子を見ても動かない真紅のドラゴンを見てカイトも少し落ち着いて月花を持つ手を緩めた。


「これは……」


 そうしているうちに三つの影は近づいてきた。

 左に真紅のドラゴンと同じく、5メートルはあろうかと思う巨体の青色のドラゴン、右には同じくらいの大きさの緑色のドラゴン、そして、真ん中には一回り大きな7メートル程はあろうかという、漆黒のドラゴンが俺達の目の前に降り立った。


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