体を蝕むオーラ
大変遅くなりましたm(__)m
アースが叫ぶ中、魔剣ティルフィングのオーラはは段々と大きなっていく。
何が起こるか分からないけどこれはマズイ気が……。
「アースこのままじゃ危ない! 一度洞窟から出よう!!」
「ショーマの言う通りだ!! 一度引こう!!」
カレンも俺と同じように危険に思ったのか、一度引くようにアースに言う。
「……そうだね、一度――っ!?」
アースも俺とカレンの言う事に同意し、撤退の言葉を口にしようとしたところでティルフィングのオーラが広がり空間一帯を覆った。
「ミリア、ホーリー・バリアを!! みんなは――」
赤黒いオーラが辺りを覆い、視界が悪くなる中、アースがミリアに結界の指示を出したけど、その声も途中で聞こえなくなった。
いったい何が起きている……?
「我は魔剣ティルフィング。その体を我が器に献上せよ」
「っ!?」
視界の届く範囲にティルフィングの姿はなく、どこから声が聞こえているのか分からないが、アース達の声が聞こえない中、声が聞こえる。
という事は、近くにいるのであろう。
何をする気か知らないけど姿が見えないのはまずい。
「っ!? うわぁぁぁあああ!!」
次の瞬間、辺りの赤黒いオーラが俺を中心に収束し、身体の表面に纏わりつく。
それだけじゃない、口や鼻といったところから、俺の体内へと入り、毒とかではない何とも言えない痛みが襲ってくる。
「早く意識を手放し、私に委ねるのだ」
すると、またもティルフィングの声が聞こえてくる。
くっ、まさかこいつ、器になれとか言ってたけど、身体を乗っ取るつもりか……!?
俺は襲ってくる痛みと戦い意識を保ちながら、そんな事を考え、どうすればこの状況を打開できるか思考を巡らせる。
くそ、どうすればいい……?
『そう簡単に俺の相棒をやるかよっ!!』
『グラム!?』
その時、俺の脳内にグラムの声が響き、それと同時にグラムを持つ手からグラムの魔力が流れてきた。
「くっ、まさか人格を保ったままの剣がいるとは……」
ティルフィングは俺の身体に一部入っているからか、グラムの声も聞こえるようだ。
『おらおら! そんなのはどうでもいいから、早くショーマの身体から出て行きやがれ!!』
そう言ってグラムは魔力を高める。
「くっ……」
すると、次の瞬間、体中を走っていた痛みが消えた。
奴は消えたのか……?
『大丈夫かショーマ?』
『……あぁ、大丈夫だ。助かった、サンキューな、グラム』
史上最強の魔王に転生して、毒とかが効かない体質とはいえ、まさか身体を乗っ取ろうとして来る奴がいるとはな。
魔力で対抗できるなら、おそらく乗っ取られる事はなかったと思うけど、グラムのおかげで時間をかけずにすんだ。
『でも、さっきのはなんだったんだ?』
『ん? あぁ、あれはどうやら身体の所持者の魔力を内側に閉じ込め、魔力を通して脳を支配するつもりだったらしいな。俺がエルフの森でショーマの魔力を偽装した奴の応用みたいなもんだ』
そうか、そんな事も出来るのか。
とは言え、グラムの言う通りなら、当人の魔力を封じながら操らないといけないみたいだし、普通の人間が使う魔法では出来ないだろうけど。
『なぁグラム』
『ん? なんだ?』
『応用っていったけど、おまえもそんな事できるのか?』
『んーまぁ出来るか出来ないかで言えば出来ないな。まぁ厳密に言えば出来るけど出来ないだな』
『ん? どういう事だ?』
『俺はあいつみたいに自分の力で動く事はできねぇ。それに俺は契約者としか意思疎通が出来ないからな。魔力の流れ自体は出来るだろうが、契約の中には俺は主に不利益になる事は出来ないようになっている。だから、出来るけど出来ねぇって訳だ』
そうか、なら俺はグラムに乗っ取られる事はないって事だ。
『ん? まさかショーマ!? おまえ俺を疑ったのか!?』
『さぁな』
『さぁなっておまえ!? 人が助けてやったのにそれはなんだ!?』
『人じゃないだろ。剣だ』
『そんなのはいいだろ!! それよりおまえ――っ!!』
『だから、疑ったとは言ってないし、サンキューって言っただろ?』
『っ!? それはそうだけどよ……』
グラムはそう言ってぶつぶつ言いながら下がって行く。
何とか納得してくれたみたいだな。
それはそうと他のみんなは大丈夫なのか?
俺は視界の悪い中、他のメンバーを探す。
「ショーマ君……?」
すると、不意に声をかけられる。
この声は……。
「アースか」
声のする方を向くと、そこにはミリアを抱えたアースがいた。
「……ショーマ君、大丈夫かい?」
「……その様子だとおまえもティルフィングにやられたみたいだな。俺は大丈夫だ。アースは?」
「そっか、それは良かった。でも、どうやって?」
「ん? あぁ、なんか知らねぇけど、奴が来た時にグラムから力が流れて来てな。それで追い返せた。アースはどうやって?」
グラムが人格を持っている事は言ってないので、それに近い感じで俺は言う。
それを言うとややこしくなるからな。
「そうなんだ。グラムは凄いね。僕はあの赤黒いオーラに覆われた時、エクスカリバーから光が出てそのオーラを追い払ってくれたんだ」
そんな事が……いや、聞いたところによると、エクスカリバーは神が造ったとされるオリジナルの聖剣だ。
そういうのがあっても不思議ではないか。
「そっか、エクスカリバーは凄いな。……ミリアは?」
俺はアースに抱えられているミリアに視線を落とす。
見る限り気を失っているみたいだけど、まさか……?
「大丈夫、ミリアもホーリー・バリアで防げたみたい。僕がミリアを見つけると、安心したのか気を失っちゃったけど」
そうか、それなら良かった。
まぁ女の子にすれば幽霊みたいだしこわいわな。
女の子と言えば後はカレンか。
「おいアース、カレンは? 一緒じゃないのか?」
「うん、まだ出会えてない。ショーマ君と一緒にいるかと思ったけど――っ!?」
その時、周囲を覆っていた黒い靄が晴れて行く。
「これは……?」
「ぐわぁぁぁあああ!!!!」
それと同時に叫び声が聞こえた。
更新遅くなって申し訳ありません。
いろいろ忙しくて……。
次回は来週29日に更新します!




