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のんびりまったり異世界生活  作者: 和奏
第一章 こんにちは異世界
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19 フレンチトーストとアイテムバッグ

 次の日の朝、イヴァンと一緒に一階に降りると食パンの焼きあがった匂いが充満していてお腹の虫が鳴った。

 手早く朝の支度をしてキッチンに立つ。


 朝食はフレンチトースト。

 並行して昼食用のサンドイッチも作る。

 ゆで卵を作っている間にフレンチトーストの準備。


 ボウルに卵、牛乳、砂糖を入れよく混ぜる。

 焼きあがった食パンをスライスしてさらに四等分する。

 四等分した食パンを卵液に浸し、しっかり染み込ませる。

 フライパンを熱し、バターを入れて溶かす。

 卵液をしっかり染み込ませたらフライパンで焼く。

 上面にグラニュー糖を振りかけ下面に焼き色がついたら裏返す。

 焼き色がついた方にもグラニュー糖を振りかけ両面に焼き色がついたら完成。


 二人分のフレンチトーストを作りながら、トマト、レタス、ハムを挟んだサンドイッチを作る。

 ついでに朝食用のサラダも。

 パントリーからツナ缶を取ってきて、ツナをマヨネーズで和えたツナマヨのサンドイッチ。


 この時点でフレンチトーストが出来上がったので先に朝ご飯にする。


 熱いものは冷めないうちに食べないとね。


 フレンチトーストが焼ける香ばしい匂いに惹かれたのか、私がフレンチトーストを作る横で今か今かとしっぽを振りながら待てをしていたイヴァンは朝食がセットされるやいなやダイニングテーブルの自分の椅子に座り目の前のフレンチトーストを凝視している。

 インスタントのコーンスープ(今日も手抜きです。でもインスタントでもすごく美味しいよね)を各々の前に置く。


「じ、じゃあ、食べようか?」


 イヴァンのあまりの食いつきに若干顔を引きつらせながらも


「『いただきます』」


 と手を合わせた途端、ものすごい勢いでイヴァンが食べ始めた。

 その様子にしばらく唖然としていた私だが、今日も忙しい一日になりそうだから急いで食べなくちゃとフレンチトーストを口に入れ、一枚目を食べ終わるころ、イヴァンのおかわりの声にもう一度イヴァンの分のフレンチトーストを作るために立ち上がるのだった。


 私が朝食を終え、昼食用のサンドイッチ作りの続きをしようとキッチンに立つと、おかわりを食べ終えたイヴァンが満足そうに


『本当にサキの飯は美味いな』


 ええ、もう喜んでいただけて何よりです・・・。


 ゆで卵を細かく切って、マヨネーズで和えたらスライスしたきゅうりを挟んで卵のサンドイッチが完成。


 次は照り焼きサンド。

 実は昨日の夜、、シチューを作りながら余った鶏肉を照り焼きにしておいたのだ。


 片栗粉を軽くまぶした鶏もも肉を油を引いたフライパンで両面を焼き、焼き色がついたら、醤油、みりん、酒、砂糖で作ったタレを絡めて煮詰めれば完成。


 鶏肉の照り焼きを薄くスライスしてレタスと一緒に挟めば照り焼きサンドの完成。

 ついでに卵と一緒に挟んだ照りたまサンドも作りました。

 水筒にこれまたインスタントの(笑)コンソメスープを入れ用意。

 それらを大きめのリュックサックに入れると準備完了。


 リュックを背負ってイヴァンと一緒に森の奥へ向かう。

 手にはクラフトバンドで編んだかご。

 ピクニックバスケット風で左右両面から開けられるふたがついている。

 これも私が作ったものだ。

 紙紐手芸ともいわれるものでおおまかにいうと等間隔に重ねたクラフトバンドの縦紐に横紐を縦紐の表、裏交互に編んでいく。

 二段目は下の段と互い違いになるように表、裏を編み進めていく。

 簡単なので、コツさえつかめばすぐ作れるようになると思う。

 買い物バッグ風のものやフタ付きボックス、バケツ型など様々な形のものが作れる。

 私はふちをレースで縁取ってアクセントにし、可愛らしく仕上げたが、残念ながら一度も使ったことがなかった(なかなかピクニックに行く機会がなかった)ので、今回が初だ。


 とりあえず、イヴァンと初めて会った湖まで来ると木陰にリュックを降ろし、いよいよ薬草探しだ。


 湖の周辺にはいろいろ草が生えているが、その一つがリオラ草だ。

 イヴァンに教えてもらって探し始める。

 菊の葉っぱに似た形状で割とあちこちに生えていた。

 ポーションを作るときに使うそうで、回復魔法が使えない人には必需品だそうだ。


 へえー、これでポーションが作れるんだ。


 リオラ草は五本で銀貨一枚。

 冒険者ギルドと商業ギルドの登録料が合わせて銀貨八枚。

 つまり、リオラ草が四十本あればいいってことね。

 うん、楽勝、楽勝。


 ふんふん鼻歌まじりにリオラ草を摘んではバスケットに入れていると、イヴァンがそのかごはアイテムバッグかと聞いてきた。


「アイテムバッグ?」


 魔力量によって収納量が変わるバッグで、私の魔力なら私の家くらいの大きさのものまで収納できると言われた。


 ああ、スキルの一つにあったりするアレかあ。


 私は苦笑いをしながら答えた。


「残念ながらただのバスケットです」


 しばらく何かを考えていたイヴァンは、すぐに戻ると言うとあっという間に見えなくなった。


 ?

 ここは魔物も人も入り込めない場所らしいから私一人でも襲われる心配はないもんね。


 なので、イヴァンが戻るまで一人でリオラ草を採取することにした。


 ちょうど必要数の四十本を摘んだところでイヴァンが何かを銜えて戻ってきた。


 私の前にそれを置くと、


『アイテムバッグだ。これを使え。たくさん収納できるし、我の加護で時間停止魔法も付与してある。これに収納すれば摘んだ時のままの状態で保存できる』


「すごいよ、イヴァン。ありがとう」


 思わず、イヴァンの首元に抱きつくと


『うむ。これの礼だ』


 誇らしげに胸を張るイヴァンの首には昨日私が作った首飾り。

 首元のスワロのクリスタルが太陽の光に反射してキラキラ輝いている。

 今朝も私が目を覚ますと寝床用のラグにいなくて、見ると部屋の隅に置いてある鏡台の椅子に乗って鏡を覗き込んでいた。

 気に入ってくれたんだと思うと、私も作ったかいがある。


『早くしまえ。鮮度が落ちる』


 そう言われて、慌ててバスケットに入れていたリオラ草をアイテムバッグに移す。

 アイテムバッグは白い帆布のような布でできており、肩掛け鞄のようになっていたので、肩から斜めがけする。


「よし、これで一安心」


 だが、これにより私の作ったバスケットはお役御免になってしまった。


 まあいいか。

 これは今度イヴァンと本当にピクニックに行くときに使うことにしよう。


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[一言] フレンチトーストが焼ける香ばしい匂いに惹かれたのか、【私がフレンチトーストを作る横で今か今かとしっぽを振りながら待てをしていたイヴァンは朝食がセットされるやいなやダイニングテーブルの自分の椅…
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