第62話
新選組屯所-
総司は、一番隊士達を前に出動命令が下ったことを伝えた。
総司「堀川の合田勘一という花火師が、離れの土蔵に西洋銃や弾薬などを隠しているということが、監察方の調べでわかりました。すぐに合田の屋敷と土蔵を調べます。また火薬などもおそらくあると思われますので、充分注意して下さい。」
中條「!?合田…!?」
思わずつぶやいた中條を、隣にいた山野が、ふと見た。
山野「中條さん…知ってるんですか?」
中條「え?…ああ、いえ…」
中條は、黙り込んだ。
中條(…何かの間違いであったらいいのに)
一番隊が出動した。
……
合田の屋敷-
一番隊が合田の屋敷に押し入ると、空然女性の悲鳴が響いた。
総司は、風呂の脇で火の番をしている女性が座りこんでいるのを見て、駆け寄った。
総司「どうしました!?」
女「ご主人様が、火のついた薪を持って…」
中條の目に、母親の足にしがみついて怯えている勘吾の姿が飛び込んだ。
中條「!……」
総司「火のついた!?…土蔵を爆破するつもりだ!」
それを聞いた中條は、いち早く土蔵の方へ走り出した。
総司「中條君!追ってはいけません!!危険です!」
中條は、立ち止まることなく走っていく。
山野「中條さん!」
山野が思わず中條を追いかけた。総司は隊士たちに振り返り、
総司「皆、外へ出てください!それから屋敷の中の家族もつれていくように!」
と命じた。隊士達が返事をしたのを確認して、総司も山野の後を追った。




