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第52話

京の町中-


一番隊は討幕派の集団の襲撃に遭っていた。

総司は呼子を吹き、隊士達に三条の橋の下へと誘導するよう指示した。

町民を巻き添えにしないための策であったが、その時、間が悪く小さな女の子が河原で遊んでいた。


総司「!!」


総司が気づいた時にはもう遅かった。集団はもう堤を降りて、河原へと流れ込んでいる。

総司は、その集団の中を突き抜けて、女の子へ向かって走った。

そして、驚いて泣き叫ぶ女の子を抱き上げた。

女の子は抜刀した集団に囲まれた上にいきなり抱き上げられ、恐怖のあまり泣き叫んでいた。

総司はとにかく堤を駆け上がった。


総司「…ごめんよ。…怖がらせてしまったね。」


総司はそう言いながら堤の上で女の子を降ろし、涙を払ってやろうとした。が、少女は後ずさりした。少女はくしゃくしゃになった小さな花を握り締めたまま、震えている。


総司「……」


総司は伸ばした手を下ろした。その時、母親らしき女性がこちらに向かって走ってきた。

総司はほっとして、立ち上がった。


総司「お母さんが来たよ。」


そう言うと、女の子は振り返り、母親に向かって走り出した。

その女の子を抱き上げた母親は、総司をぎっと睨みつけた。

総司は目を伏せ、母親に頭を下げた。


「だんだらに近づいたらあかんってあれだけ言うてたやろ!?」


そんな声が風に乗って総司の耳に届いた。母親はそのまま女の子を抱いて走り去っていった。


堤の下では、まだ斬り合いが続いている。

総司は何かを振り払うように、堤を走り降りた。


総司(…いつか…報われる時が来るのだろうか…。)


総司はやりきれない思いで刀を抜き、斬り合いの真っ只中へと飛び込んでいった。

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