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65話 宴会!(紹介)

 ギルドから出て、リクの後をついて行くと、大きな建物が見えてくる。中からは笑い声や食べ物の良い匂いがしていた。



「ここは俺たちがよく来る食堂だ! 中に入るぞ」



 中に入ると、建物の真ん中はふき抜けになっていて、2階や3階が、入口からでも見ることができた。



「凄く大きな食堂だね」


「だろ! 俺たちはここで毎日食べているんだ」



 俺とリクが話していると、茶髪でレギュラースタイルのツインテールをした女性店員らしき人がこちらに近づいてきた。



「いらっしゃいませ! リクさんカイトさんソラさん、今日もご来店ありがとうございます! いつもの席が空いていますのでどうぞ」


「キャリーごめん、今日は俺らだけじゃないんだ。後ろにいる4人も一緒に食べて騒ぎたいから広めの席って空いている?」



 リクが首だけ回して、俺たちの方を見る。それに合わせるようにキャリーと呼ばれた女性店員も俺たちの方を見た。



「まぁ! 今日はいっぱい連れてきてくれたのですね。分かりました、今空いている広い席を探してきます。少々お待ちください!」



 そう言うとキャリーは早足でその場を後にした。



「店員さんに名前まで覚えてもらうなんて、リクたちはこのお店によく来るんだね」


「そうだな! ここの飯は美味いし量も多いから好きなんだ。みんなをここに誘うのなんて初めてなんだぞ」


「え? アオたちとは来てないの?」



 アオたちに聞いてみるが、首を横に振って来ていないことをアピールする。



「アオたちと会ったときは、まだ自分の分の料理を注文するので精一杯だったから、ギルドの中にある食堂で宴会したんだよ」


「なるほどぉ」



 そうやって話しているうちに、席を探しに行っていた女性店員が返ってきた。



「みなさんお待たせしました、席までご案内しますね」


「よし、行くか!」



 俺たちはキャリーの後に続いて階段を上り始める。



「あれ? 俺たち2階に行くのか? 俺みんなに奢るって言っちゃったんだけど……」



 リクが青ざめた顔で聞いていた。



「申し訳ございません、只今1階で7人以上が同じテーブルに着ける席が空いておらず、2階のテーブルにさせていただきました」


「ん? 2階だと何かまずいことでもあるの?」



 俺がそう聞くと、カイトが答えてくれた。



「ここの店はそれぞれの階で出される料理の値段が違うのさ。1階は高くても300(ゴールド)程度で、(ほし)2冒険者でも食べにくることができるくらい安価になっている。


 2階以上からは出される料理や飲み物の質が変わって、(ほし)3冒険者以上の収入がないと毎日は食べに来られないほどの値段になるんだ」


「え、じゃあリクの持っているお金じゃ厳しいんじゃ……」


「そこはご心配いりませんよ。リクさんたちにはいつも来てもらっていますし、新しいお客様を連れてきてくれたので、私がお料理を運ぶなら1階のメニューを2階で食べても良いと言われております!」



 キャリーは、ふふん! とした態度で言った。



 2階に着くと、1階にいる人たちと違って、落ち着いて食事をしている人が多くなった。中には1階にいる人よりも騒いでいる人もいるが、全員に共通しているのは、身なりが良いのだ。


 遠目からでも分かる質の良い服を着ていたり、武器や防具が強そうだったりと、俺たちの服装より数段上なのを感じる。



「着きました! みなさんにはこちらで楽しんでもらおうと思います!」


「おぉぉ! 10人以上座れて、しかも周りは壁で騒いでも周りに迷惑をかけにくくなっている!」


「騒ぎたいとおっしゃっていたので、周りの音が気にならない場所を選びました。どうぞおかけになってください」



 キャリーに言われるままにみんな移動する。


 リクとカイトとソラの3人が横並びになったので、俺とユカリとアオとハクという感じに席が決まった。



「うおっ、柔らか!」


「凄い! こんなに座り心地が良いの、僕初めて」


「……これは」


「手で押したら反発して面白いですわ」



 俺たちがイスに座ったときの感想である。このイスは木製だが、座る部分だけ革製になっていて、お尻を柔らかく受け止め、座る人に合わせた形になってくれていた。



「お気に召されて嬉しいです、こちらがメニューになります。1階と同じメニューなのでご安心ください。決まりましたら、こちらの鈴を鳴らしてください、私が駆け付けます。では失礼します」



 キャリーは去っていき、この場には俺たちだけになった。



「よし、まずは料理でも頼むか! みんなは何が食べたいんだ?」


「じゃあ俺はこのベーコンパンセットにしようかな」


「……俺もシンと同じベーコンパンセットでいい」


「僕はコーンスープのパンセットにしようかな」


「私はパフェが食べたいわ」


「ユカリはデザートだけでいいのか? 俺が出すからガッツリしたもの食べても良いんだぞ」


「あまり食べすぎると太ってしまいますので、デザートを食べるときは控えているのよ」


「そっか! それじゃあ俺は…………」



 こうして各々が頼みたいものを選び終わったところで鈴を鳴らしてキャリーさんを呼んだ。



「ご注文お決まりでしょうか?」



 ニコニコと伝票片手にやって来て注文を聞いてきて、俺たちの頼む料理を伝票に書いていく。そして、書いたものに不備がないか確認のため読み上げる。不備はなかったので「大丈夫」と伝えた。



「…………ふむふむ、かしこまりました! では失礼します」



 キャリーさんがいなくなったところでリクが話し始めた。



「料理も注文したことだし、そろそろ紹介でもするか! あそこに座っている黒髪がシンで、隣の紫髪の女の子がユカリで、もひとつ隣のかわいい顔した青髪はアオで、さらに隣にいるのが最初は無口だったけど最近よく喋るようになった白髪のハクだ」


「「「「よろしく(ですわ)」」」」



 俺たちの紹介が終わり、今度はリクたちの番になった。



「俺はリク、3か月で冒険者学校から卒業できず、冒険者になるのに少し遅れちゃったが、シンが勉強を教えてくれたおかげで、すぐに冒険者になることができ、今じゃ(ほし)3冒険者になっている。


 それで、俺の隣にいる濃い青髪をしているのはカイトって言って、シンたちがくる前に同じ部屋で冒険者を目指していた仲間だ。


 そして、さらに隣の淡い緑色の髪をしているのがソラだ。目つきは悪いし髪が逆立っているから怖く見えるけど、意外と優しい奴だ」


 全員の紹介は終わったタイミングで料理が届いた。



「お待たせしました!」



 キャリーさんは荷台に積まれた料理を俺たちのテーブルにどんどん置いていく。全員分の料理が置き終わると、伝票を置いて「ごゆっくりおくつろぎください」と言い去っていった。



「飯も来たし、食べながら騒ごう!」



 リクがそう言い、みんなも食べ始める。俺も注文していたベーコンパンセットを食べる。


 セットの内容は、スティックパンに切れ目を入れて、その切れ目にベーコンが挟まったパンがあり、野菜スープと飲み物のミルクが付いている。


 ベーコンパンを一口食べると、口の中にベーコンの味が広がり、パンでその味を和らげてくれる。野菜スープで口の中に残ったベーコンの抑えられなかった旨味が野菜スープと交わり、野菜の味を引き出していた。


 そんなことが口の中で起きていると安息が欲しくなる。温かなスープの後には冷たいミルク、優しい味が口の中を満たしてベーコンパンや野菜スープの味を忘れさせてくれる。



「美味しい……」



 そうやって余韻に浸っていると声をかけられる。



「シンでいいんだっけ」


「えっと、ソラさんでいいんですよね?」


「俺のことはソラでいいし、普通の話し方で大丈夫だ。ところで君もリクと同じく3か月で冒険者学校を卒業できなかったんだよね?」


「そ、そうだよ……」


「じゃあさ、俺の弟と会ったりしてないかな? 今、弟が冒険者学校に通っているんだよね」


「そうなんだ! ソラの弟はどんな人なの?」


「俺と同じで髪が逆立ってて、緑色の髪をしてて、目つきが悪い。よく道に迷う弟なんだよ」



 その特徴を聞いて1人思い当たる人物が浮かんできた、そしてその人物と、目の前にいるソラを重ねると似ていると分かってくる。



「もしかして、ミドーのお兄さん?」


「お! やっぱり弟のこと知っていた!」


「ミドーとは同じ部屋だったのでよく知っているよ」


「同じ部屋? 俺はリクと同じ部屋で、リクとシンも同じ、シンとミドーが同じってことは、俺が使っていた部屋にミドーが寝たのか。凄い偶然だ……」



 その後もミドーのことで話し合って満足したソラは、今度はアオたちの方へ向かって話しかけに行った。



「……ゴブリン討伐に参加した感想はどうだった、シン」


「ハク……うんー、やっぱり俺にはまだ魔物と戦うのは早いと感じたね。スライムには勝てるようになったけど、ゴブリンが相手だと俺の攻撃が全然通用しなかったし。もっともっとスライム倒して経験値を稼がないとなって思った」


「……そうか。だが、クエストは頻繁にはできないぞ。スライムはよく討伐されるし、冒険者学校でもスライムを使った実践訓練があるから、他の魔物に比べてクエスト数は少ないんだ」


「じゃあ経験値を稼ぐのも難しいのか……宿代やご飯代も稼がなきゃいけないし、ヤバい状況かも?」


「……今のシンにはお金も強さもないからオススメできないが、経験値を稼ぐ方法はある。しかし、それをやるよりも今のシンのためになりそうなことだったら教えられる」


「本当!?」



 俺は目を見開き、ハクを見つめた。



「……俺は相手を弱らせるデバフ系の魔法が使えるし、アオは味方の防御力を上げるバフ系の魔法が使える。これらのバフ・デバフ系の魔法を使える下位冒険者はかなり少なく、他のパーティーからクエストを誘われることが多いんだ……俺とアオはそんな感じで他のパーティーに混ざりながら戦っている」


「つまり、俺も何かバフ・デバフ系の魔法が使えるようになれば良いってこと?」


「そうだ、そうすればシンが戦わなくても味方が魔物を倒してくれる。シンはバフ・デバフ系の適正はあるか?」


「多分無いと思うけど、鍛錬すればできるようになると思うよ」


「……ふっ、そうだったな。シンは呑み込みが悪いだけで、できるようにはなるもんな」


「その言い方酷くない?」



 俺がジト目でハクを睨むとすぐに謝ってきた。



「……すまない、言葉が悪かったな。だが、俺が今日見た感じだと、やはり前衛や中衛で戦うには向いているようには見えない。戦える力が付くまではサポートに回った方が良いと俺は思っただけだ」


「んー、分かった。考えてみるよ。じゃあこの話しはそろそろ切り上げて、みんなと楽しく騒ごう!」







 こうしてみんなと久々に騒いで、楽しい宴会になった。

新キャラ紹介


・キャリー

茶髪でレギュラースタイルのツインテールの女性

運ぶのが得意


キャラ紹介


・ソラ

淡い緑色の髪で逆立っている。目つきは悪いから怖く見えるけど、意外と優しい。

ミドーの兄

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >「料理も注文したことだし、そろそろ紹介でもするか!  シンを紹介するのはわかる。もしかしてユカリも初顔合わせかな? アオとハクは既にギルドの中にある食堂で宴会してるから紹介不要では?…
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