48話 強くて授業!⑤(久々)
テスト当日
朝の鍛錬を終えて、休む時間すら惜しんでテスト直前まで食堂で勉強をする。
「本当にここが出るのか?」
「確実とはいかないけど前回受けたテストの内容を考えると、俺たちが体験したことがテストに出るはずだよ」
俺はミドーに出てきそうな問題を優しく教えた。
「スキルや魔法、魔物などの知識を学べば良いということですね」
「そこさえしっかりやっていれば合格点になるのかな?」
オレンとキイロも順調に知識を増やしていく。俺も忘れているところが出ないように本を読んで答えを確認していく。確認が終わったら、みんなの勉強の手伝いをしていった。
「そろそろ時間になるから教室に向かおうか」
「ダメだ、覚えられない!」
「やれることはやりました」
「勉強したところが出るといいけどね」
俺たちは本を片付けて教室に向かった。勉強に時間をかなり使っていたらしく、教室が見えてくると、教室の前の廊下でランド先生に会う。どうやら俺たちがいないことを不思議に思って廊下で待っていたようだ。俺たちは軽く挨拶をして駆け足で教室に入っていった。
席に着くと裏向きに配置されているテストが配られていて、俺たちは残った席に座って準備をする。
全員の準備が終わったところで、テストが開始した。
■
テスト終了後、俺たちは食堂で反省会をしている。1人会話に入ってこないのはミドーだけだった。
「…………」
「まさか計算問題が多く出されると思わなかったよ、でもそれ以外はちゃんとできていたんでしょ? きっと大丈夫だよ」
放心状態のミドーをなんとか慰めようと俺は頑張っている。
「僕も最後の方の問題はできませんでしたから、ミドーくん元気出しましょう」
「そうだよミドー、このくらいで落ち込むのはお前らしくないよ」
オレンとキイロの声もあってか、ミドー徐々に口数が増えていくようになった。この調子なら明日にはいつも通りになっているであろう。
「よし、じゃあ反省会も終わりにしようか。俺は行くところがあるから先に部屋に戻ってていいよ」
「あれ? シンくん何処へ行くのですか?」
「最近やってなかった魔法の鍛錬に行くんだ」
「シンは魔法が使えたんだね!」
「まだまだ初級だけどね。それじゃあまた後で」
俺はみんなと分かれて、久々に訓練所に向かった。
■■
「ここに来るのも久しぶりだな」
周りは壁で囲われていて天井が開いている。前使ったときよりも綺麗になっていた。ただ壁と地面だけがある殺風景な訓練所、壁ギリギリのところにいつも設置してあった的も無かった。
「みんなで掃除をしてから誰も使ってなかったのかな? 壁に傷が無いし」
壁を指でなぞるとツルツルと触り心地の良い感触だった。
「そろそろ始めるか」
今日は的が無いので背中を壁ギリギリまで近づけて、遠くへ飛んでも大丈夫なようにする。
魔力を手に集めて詠唱を始める。
「我が魔力を一つに、球へと型作り、大いなる魔素を集い、不純なる魔を我に、我に適応し糧となる、サンラ・ルンボ・アイド・ケブン・バイタ……『スマッシュ』!」
完全詠唱をした『スマッシュ』をそのまま飛ばす、距離があるからか、壁にぶつかる前に空中で消滅していった。
「前使ったときよりも安定しているし、距離も伸びているな。次は圧縮を試してみる」
俺は再び完全詠唱をして魔力の球を作る。それをどんどん圧縮していく。5割ほどの大きさまで圧縮していく。
(今日はできる限界まで圧縮してみる!)
暴れる魔力を無理やり抑え込み、どんどん小さくしていく。縮んだり膨らんだりの間隔が短くなっていくが、確実に圧縮はできていた。それでもまだ4.5割ほどの大きさである。もっと圧縮しようとしたら魔力が暴れ始め……
「うわぁ!」
制御ができなくなった魔力がはじける、その衝撃で俺は壁に叩きつけられ地面に倒れこむ。痛みはすぐに引いたので立ち上がり、服に着いた土を払いながら身体に傷ができていないか確認する。
「ぅ……痛かったけど加護は剝がれてないな。じゃあ次はどこまで維持できるかだ」
完全詠唱で普通の『スマッシュ』を作り、その状態を維持する。体感10秒を超えたあたりで魔力は不安定になっていく。1秒でも長く維持しようとするが、数秒たったところで消滅してしまった。
「はぁ……はぁ……ふぅ。前よりは維持できるようになっているのかな? 次はどこまで維持したまま移動できるかだ」
完全詠唱で作った『スマッシュ』を維持しながら前へ歩き出す。歩くごとにグラっと魔力が不安定になっていく。
(魔力の維持は意識をしないといけないけど、歩くのは無意識でもできるはず)
俺は目を閉じ魔力を安定させることに集中する。安定したら足を動かす。歩くことより魔力を安定させることを優先しているからか、魔力を維持できている。
立ち止まり目を開けると、後ろの壁から離れていたのでちゃんと歩いているようだ。
「あっ」
他のことに気を取られている間に、魔力が消滅してしまった。
「目を閉じていたら移動できるけど、こんなの戦闘中には使えないな。これで今日は4発分魔法を使っちゃった、でもまだいけそうな気がする」
俺の中に残っている魔力が、あと『スマッシュ』1発分残っていると感じた。
「最後に1番実戦で使うやり方を試してみるか……」
俺は深呼吸をして呼吸を整える、手を前に出し魔法を唱えた。
「『スマッシュ!』」
魔法を使ったと同時にめまいで膝をつく、小さい魔力の球がゆらゆらと前に進んでいつの間にか消えてなくなった。
「ふぅ…………省略詠唱はまだまだ使い物にならないな。あんなにふわふわしていたら威力は低いだろうし、なにより射程が短い。剣で攻撃していた方がマシだ」
少し身体を休ませて、軽く掃除をして部屋に戻る。
今日はテストをしたり魔法鍛錬を久々にやったりと、最近やっていなかったことをした1日だった。




