表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
炎と水と〜黒竜池に眠る秘密〜僕達の推理道程  作者: シロクマシロウ子
解決編・炎

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/128

これまでとこれからと

ー登場人物紹介ー

桜田風晴さくらだかぜはる・・・田舎の農業高校2年。

桜田風子さくらだふうこ・・・風晴の母親。民宿を営む。

桜田晴臣さくらだはるおみ・・・風晴の父親。市議会議員。

桜田孝臣さくらだたかおみ・・・晴臣の弟。ミステリー同好会顧問。地学教師。


大道正火斗だいどうまさひと・・・ミステリー同好会部長。高校3年。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・・・ミステリー同好会メンバー。正火斗の妹。高校2年。

安西秀一あんざいしゅういち・・・ミステリー同好会副部長。高校2年。父親は大道グループ傘下企業役員。

桂木慎かつらぎしん・・・ミステリー同好会メンバー。高校2年。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・・・ミステリー同好会メンバー。高校1年。

椎名美鈴しいなみすず・・・ミステリー同好会メンバー。高校1年。


宝来総司ほうらいそうじ・・・正火斗、水樹の実父。元陽邪馬市市長。桜田晴臣が行方不明になる同日に転落死。


真淵耕平まぶちこうへい・・・灰畑駐在所勤務。巡査部長。

真淵実咲まぶちみさき・・・耕平の妻。

真淵聖まぶちひじり・・・耕平と実咲の長男。農業高校2年。


北橋勝介きたはししょうすけ・・・フリージャーナリスト。

安藤星那あんどうせいな・・・朝毎新報・新聞記者。


羽柴真吾はしばしんご・・・関光組組員。6年前から消息不明。

松下達男まつしたたつお・・・関光組組員。羽柴の舎弟。

緑川みどりかわまどか・・・羽柴真吾の女。6年前から消息不明。

 




 警察官達が帰るとき、風晴は思わず声をかけてしまった。


「あの!……聖のお母さん……真淵実咲(まぶちみさき)さんって罪になるんですか?」


 外に向かおうとした刑事達が振り返る。1人が答えてくれた。


「大学病院の心療内科に移って、そちらで鑑定も受けてもらう見込みだよ。

 だけど、そもそも自殺未遂をして入院している中で起こったことの上に、脅迫の内容が特殊だ。

 それと関わったことは大きいが──被害者はいないような事件だからね」


 警察官も付け加えてくれた。


「それも最後に息子さんと、被害が出ない行動をしてくれたおかげな訳だしなぁ」


 風晴やミステリー同好会メンバー、そして風子もうなずいた。


「ほとんど罪に問われないと思うよ。問題行動は心神喪失(しんしんそうしつ)ってヤツで」


 少し安心したが、風晴にはもう一つ聞きたいことがあった。


「真淵巡査部長は、それでも警察官を辞めなくちゃならないんですか?」


 その質問に警察達は顔を見合わせて、難しい表情になった。


「奥様が犯罪者と関わってしまったことは事実だからね。ただ、真淵さんは…………」


 答えた警察官は表情を ゆるめた。


「精神鑑定や罪の有る無しに関わらず、そうしてやりたいって言っていたよ。今まで奥様を一人で苦しませていたから……って」


 そうして彼らは 一礼して帰って行った。









 玄関先で警官達を見送ったあと────同好会メンバーの桂木、安西、椎名、神宮寺は2階へと上がって行った。

 打ち合わせていたわけでもないだろうが、北橋、安藤は一階の広間に戻り、正火斗と水樹もそちらにいった。風晴もなんとなく……広間の方について行った。


 正火斗を見ると、北橋はすぐに口火を切った。


羽柴真吾(はしばしんご)の転落死は緑川まどかが仕組んだのかな?」


「彼のスマートフォンが見つからないそうです。仮に爆弾の近くに置いて処分するように仕向けたのなら、本当に巧妙な女性です」


 正火斗の言葉に風晴は、あの産婦人科・乳腺外科の宿泊室を思い出す。西陽を背に薄暗かったが、爆弾の近くのロッカーの中に四角くて黒いスマートフォンのような形の物が…………あったような気がする。だが確信は持てない。もう確認する(すべ)もない。


宝来総司(ほうらいそうじ)と桜田晴臣の時と同じですよ。僕は理論上の推察はしましたが、証拠が何も無い。

 輪命回(りんめいかい)病院の手柄から警察は話を聞いてくれるようにはなりましたが、彼らがどこまで捜査して……成果が出せるかはまた別の話です。

 現時点では、緑川まどかは田所高文(たどころたかふみ)・桜田晴臣・松下達男(まつしたたつお)殺害、輪命回病院爆破──このどれにも、関わったと言う物証がないんだ」


 正火斗は頭を軽く振った。それから つけ足す。


「卵子提供ドナーをしていたことは、罪にはできない」


「兄さんの考えだと田所高文殺害共犯、桜田晴臣殺害首謀(しゅぼう)、松下達男殺害実行、輪命回病院爆破首謀……よね?

 そんな危険な人なのに……」


 水樹がその美しい顔を険しくした。


「クソッ。羽柴真吾を取り逃したのはデカかったな。アイツがいたら証言できた」


 北橋が悔しそうに言ったが、風晴が それには反論した。


「けど、例えば逃げた羽柴真吾を追っていたとして──北橋さんも爆発に巻き込まれる可能性があったんじゃないですか?知らなかったですよね?6階産婦人科に爆弾があるって」


 言われて 北橋は唖然とした。

 安藤が


「正火斗くんが連絡はしてたわよね?6階に爆弾が見つかったから気をつけて って」


 と確認する。正火斗が


「あれは留守番電話になりましたから。まさか……」


 と北橋を見た。


「……聞いてなかった。聞いてる暇なかったし」


 彼はそう言ってから


紙一重(かみひとえ)だったんだな、オレも」


 と口に手を当てて呟いた。

 聞いて 全員が大きく息を吐いた。


「しかも留守番電話聞いていたら聞いていたで、私を助けるの間に合わなかったかも、北橋さん。

 ホント神がかっていたんだね、あの時間は」


 水樹は微笑んで言った。


「笑い事じゃない。とんでもない事が起こっていても、こっちの指示に反して生じたことは 予測も把握(はあく)もできない。羽柴真吾には近づくなって言ったのに……」


 正火斗が真剣に怒り出したので────この件については 彼はもう幾度も妹を怒っている。北橋は慌てて


「まあまあまあ、そう言う神がかり的な奇跡が重なってさ、水樹ちゃんは安西くんともやっと上手くいったんだし」


 と止めた。


「そうなの!?あの真面目な眼鏡(めがね)くんだなんて意外!でも水樹ちゃん見る目あるわよ。安西秀一くんて、なんて言うか……やる時できる子なのよね。結構度胸あるって言うか」


 安藤は顔を明るくして水樹を祝福した。が、当の水樹は表情を曇らせた。

 全員の注目が水樹に集まる。


「ありがとう。……でも優しくはなったんだけど、私達結局まだ……()()()()()()()()


「告白とか付き合うとかになってないってこと!?」


 安藤が凄い速さで確認を入れる。

 正火斗はこの件には涼しい顔だ。

 風晴は、妹の恋愛なんて、彼はむしろ進んでほしくないのだろうと思った。

 北橋は片手を額にあてて言った。


「オレ、言葉にして伝えなって何回も言ってるよね?

 ……なんで言わないかな」


 彼の言葉に水樹は言った。


「北橋さんなんか(ゆい)さんに9……」


「わ──────!!!反則だろ、それ!!」


 北橋が慌てて止める。聞いた安藤は


「"(ゆい)"……彼女、いたんだ……」


 とポツリと言った。


「それも違う。彼女とか恋人とかじゃない!」


 安藤に振り返って北橋が言ったが、彼女に


「じゃあ、結さんてどんな人なの?あなたにとって」


 と聞かれて────彼は答えられなくなった。

 やがて、沈黙を見かねたように安藤が口を開いた。


「答えなくて結構よ。こっちも興味ある取材じゃないもの」


 安藤星那はそうして広間から出て行った。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
「真淵巡査部長へ!  ────敬礼っ!!」 ってのはまだ早いか。
ふぇ? まだ付き合ってないの? (╹▽╹) あんな思わせぶりな雰囲気を醸し出していたのにね〜。 (´ε`)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ