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炎と水と〜黒竜池に眠る秘密〜僕達の推理道程  作者: シロクマシロウ子
過去編・前半戦

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次なる進路へ

ー登場人物紹介ー


桜田風晴さくらだかぜはる・・・田舎の農業高校2年。

桜田風子さくらだふうこ・・・風晴の母親。民宿を営む。

桜田晴臣さくらだはるおみ・・・風晴の父親。市議会議員だったが、6年前から行方不明。

桜田孝臣さくらだたかおみ・・・晴臣の実弟。ミステリー同好会顧問。地学教師。



大道正火斗だいどうまさひと・・・ミステリー同好会部長。高校3年。実家は大企業の財閥グループ。

大道水樹だいどうみずき・・・ミステリー同好会メンバー。正火斗の妹。高校2年。

安西秀一あんざいしゅういち・・・ミステリー同好会副部長。高校2年。父親は大道グループ傘下企業役員。

桂木慎かつらぎしん・・・ミステリー同好会メンバー。高校2年。

神宮寺清雅じんぐうじきよまさ・・・ミステリー同好会メンバー。高校1年。

椎名美鈴しいなみすず・・・ミステリー同好会メンバー。高校1年。


宝来総司ほうらいそうじ・・・正火斗、水樹の実父。元陽邪馬市市長。桜田晴臣が行方不明になる同日に転落死。


西岡幸子にしおかさちこ・・・桜田家の隣人。


井原雪枝いはらゆきえ・・・風子に屋敷を貸す民宿オーナー。


真淵耕平まぶちこうへい・・・灰畑駐在所勤務。巡査部長。

真淵実咲まぶちみさき・・・耕平の妻。

真淵聖まぶちひじり・・・耕平と実咲の長男。農業高校2年。

真淵和弥まぶちかずや・・・耕平と実咲の次男。


北橋勝介きたはししょうすけ・・・フリージャーナリスト。

安藤星那あんどうせいな・・・朝毎新報・新聞記者。

 



   黒竜池事故・行方不明リスト(桜田孝臣 作)



 2019年1月8日 A県 陽邪馬市 桜田晴臣(44歳)


 2018年12月23日 A県 陽邪馬市 今井薫子(36歳)


 2016年 8月 S県 安良市 田所高文 (31歳)


 1998年 5月2日 名前非公表 (7歳子供)※生還


 1987年 11月 A県 灰畑町 馬場洋子 (70代大人)


 1955年 アカガワ セイ 住所・性別不明 (大人)


1940年頃 A県灰畑町 氏名不明・性別不明(子供)※生還


1920年頃 住所不明・氏名不明・性別不明(大人)

      住所不明・氏名不明・性別不明(子供)※救出


 約120年前  A県灰畑町 氏名不明 (子供)



『ところでアイスってどっから?

真淵 呼ぶための嘘じゃないよな、まさか。』


階段で風晴は水樹に言った。

水樹は鬼の形相(ぎょうそう)で振り返った。


『人聞き悪いこと言わないでよ!嘘じゃないわよ!

大丈夫だよ、聖。ちゃんとアイスあるからね。こっちだよ。』


カッコ内の前半と後半で彼女は人が変わっていた。多分自分は、彼女に友達になろうとすら思われていない。


『サクラセンセが朝ハイエースでコンビニから買ってきて

男子の部屋の冷凍庫入れてったんだって。"それ食べて大人しくしてろ"って。かなりあるから多分あんたの分も大丈夫。』


お、いくらかは仲間だと思ってくれているのか。


『聖の分は絶対大丈夫。桂木が2個、3個食べてても私の分あげるからね。兄さんの分も多分なんとか回せると思う。』


扱いに差はだいぶある。天と地ほどに。

誰もいなくなったオープンスペースを通り過ぎて、風晴達は男子部屋に入った。






『お!いらっしゃーい』


ドアを開けると桂木の軽快な声がした。


『こんにちは、真淵くん。』『おはよう』


と、あちこちから声がかかる。微妙な時間帯だった。

こんにちは と おはよう の境目はどこだ?


聖は水樹に手を引かれてやっと入室した。後ろから風晴が続く。みんなはすでに各々畳や、座椅子や、簡易ソファに座ってアイスを食べていた。が、正火斗は食べていなかった。朝食が遅かったからかもしれない。

椎名に通り過ぎざま、水樹は


『大丈夫?セクハラされなかった?』


と聞いた。椎名はニッコリして


『大丈夫です。アイス1番に選ばせてもらいました。』


と返した。水樹が大きくうなずく。

やりとりを聞いてて桂木が


『水樹ちゃんひどいよ。オレはずっと君一筋なのに。』


と言った。これ以上ややこしくするのはやめてくれ。


『桂木は誰にでも一筋でしょ。美人記者にも魂捧げそうだったわよ。まあ、他の2人も変わらないけどね。』


水樹はそう言って冷凍庫を開けた。良かった、アイスはまだ5、6個もあった。彼女は3個抜き取り、後は風晴に


『どうぞ。』と言った。


聖を畳に座らせ、アイスを選ばせている。

昨日に引き続き 餌付けは行われていた。

まあ、連日やった方が保護動物は気を許す。

風晴もアイスを一個取り出して、冷凍庫を閉めた。


『でも安藤記者は、変なジャーナリストとは違いますよ。倫理観がしっかりして、正義の記者って感じでした。悪い人とは思えません。』


神宮寺は魂をすでに捧げてしまっているかもしれない。

正火斗は あきれたような声で言った。


『好意を持つのも、神宮寺、お前が自分のことを彼女に話したりするのも勝手だが。だが、そこまでだ。

風晴や桜田家について尋ねられたら、分からない と言え。それができないなら、安藤記者とは関わるな とお前に言うしかない。』


神宮寺は憧れの部長に厳しく言われてか、少し冷静さを取り戻したようだ。


『分かっていますよ。僕だって、、、そんなことはしません。』


聖は3個の中からアイスを決めた。バニラのカップのアイスだった。水樹は冷凍庫に2個のアイスを戻し、冷蔵庫上にあった アイスのヘラを一つ取った。聖に届ける。


安藤記者についても、水樹の男子への挑発にも、安西は無言だった。

ソーダ系アイスを食べながら、風晴は安西を横目で見て、どうしたものかと思った。想うことも想われることも彼にとっては意味がないことなのだろうか。


苺ミルクアイスを食べ終えた椎名は、ミステリー同好会部長に質問を投げかけた。


『サクラチャンの"それ食べて大人しくしてろアイス"食べちゃいましたけど、まさか 午後から課題やろう なんて部長いいませんよね?私達事件を追うためにここに来てるんですから。でも、具体的に今何が出来るかって言われたら、、、私は、、、案が出せないんですけれど、、、』


正火斗は少し笑みを浮かべながら、椎名に答えを返した。


『ごめん椎名。今日は"午後から課題をやろう"。』


『『えーーーーーーーーー⁉️』』


と全体から悲鳴に近い声が上がる。

風晴と聖は加わらなくて済んだ。課題の質と量が全く違うのだろう。聖はバニラアイスを食べ続けている。

悲鳴を聞いて、正火斗は笑い出した。


『大丈夫だ。何もしないとは言わない。明日のために、少しは課題も こなしておこうって ことさ。桜田先生と警察の黒竜池の捜索は3、4日かかると安西がきいたそうだ。』


視線が安西に集まった。彼はみんなに うなずいて表した。


『明日は"事件を追う"よ。黒竜池からは、この後、、、今日にも、あと何体か遺体が出る可能性が高い。その遺体は、当然 行方不明だった年数が短いものと考えていいだろう。』


『それはそうだよな、古くなればなるほど、発見しずらい奥に流れ込んでるってことで。』


桂木が同意する。


『そう。それで、これが再登場する。』


正火斗はヒラリと用紙を1枚掲げて見せた。

見覚えがある。桜田先生の作った黒竜池関連と思われる行方不明者リストだった。


『池から上がって、司法解剖やらDNA鑑定が終わってから始めたんじゃ僕らの夏休みは終わる。先取りして、桜田晴臣を除く、今井薫子・田所高文・馬場洋子・アカガワセイについて調べてみようじゃないか。手がかりが多い者も少ない者もいるが、当然どうしたらいいかぐらいは君達は考えられるだろう?』


ミステリー同好会部長は、挑戦的にメンバーに告げた。


『基本は検索ですよね。住所や、いなくなったことの記事が出てくるかもしれません。』


と、椎名。


『黒竜池の近所の人なら、状況や何故池に来ていたかくらいの噂は覚えているかも。信憑性(しんぴょうせい)はともかくとして。』


これは神宮寺だ。正火斗が


『そうだ。信憑性はともかくとして、情報にはなりうる。』


と同意してくれたので、神宮寺は顔を明るくした。


『ワンチャン今なら、桜田先生の名前出したら市役所の人とか話しを聞かせてもらえないかな。黒竜池で遺体発見した研究者って言ったら、効き目ありそうなんだよな。』


桂木だ。確かに、もし話が聞ければ信憑性は上がるだろう。


『陽邪馬市は近いし、今井薫子は、、、結構重要だと思う。行く価値があるかもしれない。』


これは安西だ。


『S県もこの隣りよ。朝から行ったら電車で日帰りできると思う。ただ田所高文に、そこまでの価値があるかは分からないけれど。』


水樹も考えてくれている。


椎名が、


『部長、振り分けて午後から動きましょうよ。』


と言った。

正火斗が


『だめだ。今日は午後は課題だ。』


と笑顔で返した。

同好会メンバーは落胆したが、明日のためにと力無い返事を返していた。


風晴はふと、リスト以外の人間で、話しを聞いてみたい人物に思い当たった。

だが、()()()()()()()()怪しすぎるので、ここで提案することを控えた。


(午後から行ってみるか。自分だけでも。)


自分のマウンテンバイクで相手の家に行くことを考えた。

と、視界の先にいる聖に気がついた。


(真淵を誘ってみるか。あいつ、、、、行くって言うかもしれない。)


今日は聖の方はマウンテンバイクが無いが、ここからなら歩いて行ける距離だ。()()()()()()()()


風晴は大山のおばあちゃんに話しを聞きたかった。

 


何故(なぜ)彼女は黒竜池の地蔵をそんなにも拝むんだろう。

 






読んで頂きましてどうもありがとうございます。

明日もよろしくお願いします。

大山のおばあちゃんに、私も会いたい!

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― 新着の感想 ―
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