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私が占い師になった理由。  作者: 月灯
第六章 王都セントラル編
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75話 王宮の深層 - エレノアとカイルの探索

静まり返ったウィステリア王国の王宮内を、エレノアとカイルは足音を忍ばせて進んでいた。

二人が向かうのは、かつてアルトリア王国から運び込まれた研究資料や遺品が保管されている一角。アリアと共有した記憶の中で見た、オルゴールの紋章。それに繋がる手がかりを探し出すためだった。


「こっちよ、カイル」


エレノアが振り返り、小さく手招きする。カイルは無言で頷き、彼女の後に続いた。

王宮の奥深く、普段は人の出入りも少ない古い書庫へと続く廊下。そこには、エレノアの両親がかつて扱っていた魔道具や資料がまとめられているはずだ。


「両親が使っていた実験器具や、残された手記があるかもしれない。もう一度、しっかり確認しておきたいの」


エレノアが静かに言う。カイルは短く頷き、警戒するように周囲に目を配った。


たどり着いた書庫には、年代物の本や器具が乱雑に並んでいた。

エレノアは迷わず棚を探り、いくつかの箱を引き出す。埃を払いながら、一つひとつ中身を確かめていった。


やがて、彼女の手が止まった。

古びた革表紙の手記を手に取る。それは、エレノアの母が記した研究記録だった。


「やっぱり……」


ページをめくるたびに、アルトリア王国の紋章についての考察が現れる。紋章が持つ意味、王族に伝わる秘術、そして禁じられた研究の痕跡。


「紋章は、単なる飾りじゃなかった。王国の根幹に関わる何か……」


エレノアは小さく息を呑んだ。


カイルが隣に寄り、

「何かわかったのか」と促す。

エレノアは手記を差し出しながら言った。


「この紋章には、特別な力が秘められているみたい。初代国王が王国を興すとき、これを使った記録がある。そして、後世、紋章に関わる研究が禁じられた……」


「禁じられた研究、か」


カイルは低く呟く。

ふと視線を上げ、部屋を見渡した。


「……この部屋だけじゃないな。まだ何か、隠されてる気がする」


彼の言葉に、エレノアも頷く。

二人はさらに調査を続けた。


数十分後、カイルが棚の奥に不自然な継ぎ目を見つけた。


「ここ、押してみろ」


カイルが指示し、エレノアが力を込めると、壁が軋んで開いた。


現れたのは、小さな隠し部屋。

中には埃まみれの本や、奇妙な形の魔道具が並んでいた。


「……誰にも知られずに、ここに封印されてたのね」


エレノアが呟く。


中でも目を引いたのは、一冊の厚い記録書だった。

彼女がそっと手に取ると、表紙には見覚えのある紋章が刻まれている。


ページをめくると、そこには、王家の秘伝に関する詳細な記述があった。

禁じられた研究の技術、その発展がもたらす力、そして危険性。


「……これが、両親が追っていた真実……」


震える声でエレノアが呟く。


カイルもそれを覗き込み、険しい顔になる。


「王宮の深層に、こんな秘密が隠されていたとはな」


さらに数日間、エレノアとカイルは書庫周辺で調査を続けた。

その間、カイルは警備兵や古参の使用人たちからも話を聞き、少しずつ真実に迫っていく。


ある夜、カイルはエレノアに報告を持ってきた。


「エレノア。両親の死が事故として処理されたのを疑っている人がいた。それに……リリア一家が失踪する直前、王宮の人間と接触していたらしい」


その言葉に、エレノアはぎゅっと拳を握った。

両親の死、リリア一家の失踪、そして王宮に潜む秘密。すべてが繋がりはじめている。


「ありがとう、カイル。……絶対に、真実を突き止めるわ」


彼女の瞳には、確固たる意志が宿っていた。



75話:終わり

※このお話の舞台はヨーロッパ風異世界であり、現実世界の歴史とは一切関わりありません。

作中に出てくる 国・文化・習慣・宗教・風俗・医療・政治等は全てフィクションであり、架空のものです。

あくまで創作上の設定としてお楽しみいただけますと幸いです。


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