62話 怨念の地図 - 古代の記憶と導き
父の日記の端々に記された、かすかな手がかり。王宮の古びた書庫で埃を被っていた、古代魔法の断片的な記録。
アリアはそれらを注意深く照らし合わせた。
まるで、ばらばらのパズルのピースを繋ぎ合わせるように、古代文字と絵を追いかけた。
やがて、おぼろげだった点が、線として繋がり始める。
アルトリウム王国を覆う、あの重く冷たい怨念の根源。それは、王都の地下深く、かつて聖地であった場所に集中している。
アリアが最初に足を踏み入れた、じめじめとした地下施設よりも、さらに深く、複雑な構造を持つ、まるで迷宮のような場所だという。
「その場所への道を知る一族がいると聞いております。」
アメリア王妃の静かな言葉が、アリアの耳に届いた。
王妃は、古代記録を調べ、古代一族の末裔を探し出したのだ。
「わたくしも、アリア様にご協力いたします。」
数日後、アリアは王妃と共に、街の外れに住むという老人を訪ねていた。
深い青い瞳を持つ老人は、古代一族の末裔だという。
老人の家は、長い年月を経た木造の家で、古代道具や書物がきちんと並べられていた。
「その聖地は…古代力を持つ存在が、あまりにも強大すぎて、封印された場所なのです。」
老人の声は、静かで深い響きを持っていた。
「怨念は、その封印が弱まったことで、溢れ出したのかもしれません…」
老人は、古代羊皮紙に描かれた、複雑な地図をアリアに差し出した。
細い線と古代記号が、地下迷宮の道筋を示している。
「この地図が、あなたを導くだろう…聖なる血を引く娘よ。」
地図を受け取ったアリアは、古代記憶の断片が、意識の奥底で光を灯し始めるのを感じた。
それは、古代王族の血に流れる、古代世界の記憶。聖地の姿、強大な力の感触…。
結晶から得た、古代王族の力も、アリアの中で静かに脈打っていた。
それは、冷たいながらも清らかなエネルギーで、アリアに確信を与えてくれる。
「ありがとうございます、おじいさま。」
アリアは、老人に深く頭を下げた。
地図に描かれた複雑な道筋を注意深く見つめる彼女の瞳には、もう迷いはなかった。
「アリア様…どうか、ご無理はなさらないでください。」
王妃の心配そうな声に、アリアは微かに微笑んだ。
「大丈夫です、王妃様。私の血が、この道を知っています。」
古代記憶と古代の力。
そして、老人から託された怨念の地図。
それらを頼りに、アリアは怨念の核心へと向かう決意を固くした。
彼女は感じていた、これが自分の義務であり、運命なのだと。
地下深くで蠢く重い怨念は、聖なる血を引くアリアを待っている。
ーーー63話へつづく
〈登場人物〉
* アリア: 古の聖女の血を引く主人公。怨念の根源を探る。
* アメリア王妃: アルトリウム王国の王妃。アリアに協力する。
* 老人: 古い一族の末裔。怨念の地の道を知り、地図をアリアに託す。
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※このお話の舞台はヨーロッパ風異世界であり、現実世界の歴史とは一切関わりありません。
作中に出てくる 国・文化・習慣・宗教・風俗・医療・政治等は全てフィクションであり、架空のものです。
あくまで創作上の設定としてお楽しみいただけますと幸いです。
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