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私が占い師になった理由。  作者: 月灯
第五章 アルトリア王国編
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55話 王都アルトリウム - 異変の影、虹色の導き

少女の案内で、アリアたちはついにアルトリア王国の王都アルトリウムへと到着した。

しかし、その光景は想像していたものとは大きく異なっていた。


かつては美しかったであろう石造りの建築物はあちこち破損していて、通りを行き交う人々の表情は暗く、活気がない。

市井全体に、重い空気が漂っている。


「…ここまでです」


王宮からほど近い場所で、少女は足を止めた。不安げな目でアリアたちを見つめ、短い言葉を残すと、足早に人混みの中に姿を消した。


アリアは、目の前にそびえ立つ雄大な王宮を見上げた。

しかし、その石の壁にも、市井と同じように、破損が見てとれる。

アメリア王妃に会うため、アリアはエリオットとイリスと共に、重い空気を切り裂くように、王宮へと足を踏み出した。

しかし、その最初の段階から、尋常ではない異質な力が、空気中に満ちているのを感じたのだった。


王宮の門の前には、数人の兵士が立っていたが、その表情は険しく、どこか生気がない。

アリアたちが近づくと、兵士の一人が冷たい視線を向けた。


「立ち止まれ。何の用だ?」


「アメリア王妃様に、お会いしたいのですが…」


アリアがそう告げると、兵士たちは訝しげな表情を浮かべ、互いに顔を見合わせた。

その時、イリスがアリアの足元でポヨンポヨンと跳ね始めた。

それは、普段の楽しげな様子とは異なり、どこか警戒の色を帯びた跳ね方だった。

イリスの体の中央の虹色が、いつもより濃く、そして脈打つように輝いている。


「イリス…?」


アリアは、イリスの異様な様子に、不安を覚えた。


「王妃様に、会いに来た、だと…?」


兵士の一人が、疑わしげな目をアリアに向けた。


「お前たちのような者が、王妃様に何の用があるというのだ?」


「…事情があって、どうしてもお会いしたいのです」


アリアは、毅然とした態度で答えた。


「事情、だと…?笑わせるな。王妃様は、誰にも会いたがらない。さっさと立ち去れ!」


兵士は、アリアたちを追い払おうとした。


その時、イリスが突然、眩い光を放ち始めた。

虹色の光が、王宮の門の前を照らし出し、兵士たちの目を眩ませる。


「なんだ、これは…!?」


兵士たちは、目を覆い、後ずさり始めた。


アリアは、イリスの光に守られながら、兵士たちに告げた。


「私たちは、王妃様に会うまで、ここを動きません」


アリアの言葉に、兵士たちは戸惑いを隠せない。しかし、イリスの放つ光に、手出しができないでいた。


「…仕方ない。お前たちを、中に通す。ただし、何かあれば、ただでは済まないぞ」


兵士の一人が、渋々といった様子で言った。


アリアは、イリスに感謝の言葉を伝え、エリオットと共に、王宮の中へと足を踏み入れた。


王宮の中は、外と同じように、ひっそりと静まり返っていた。

しかし、その静寂の中には、何か不気味なものが潜んでいるような、そんな気がした。

アリアは、イリスの鼓動を感じながら、王妃のいる奥へと進んでいった。


長い旅路の末、アリアとエリオット、そしてイリスは、謁見の間で、玉座に座るアメリア王妃と対面する。


「遠いウィステリア王国より、ようこそお越しくださいました」


アメリア王妃は、疲労の色を隠せないながらも、上品な物腰で二人を迎えた。

ルシウスからの手紙は既に届いており、王妃はアリアの申し出に感謝の意を示す。

しかし、その瞳の奥には、アリアの出自、そして彼女の足元で不思議な光を放つイリスに対する、警戒と好奇の色が入り混じっていた。


「実は、わが国では近頃、奇妙な出来事が相次いでおりまして……」


アメリア王妃は、重い口を開き、国で起こっている具体的な異変について語り始めた。

作物の不作が続き、民の間に原因不明の病が流行していること。

そして、夜な夜な王宮を徘徊するという影の噂。

王妃は、憔悴した表情でアリアに、これらの異変の調査と解決を依頼する。

アリアは、王妃の言葉の端々から、隠された不安と微かな希望を感じ取る。

イリスは、王妃の話を興味深そうに聞き入り、時折、その鮮やかな虹色の体で小さく振動している。


アリアは、王妃の言葉に耳を傾けながら、王宮内に満ちる異質な力を感じ取っていた。

それは、単なる不安や恐れではなく、もっと根源的な、何かを蝕むような力だった。


「…王妃様、私に、その異変を調べさせてください」


アリアは、決意を込めて言った。


「…ありがとうございます。どうか、この国を、お救いください」


アメリア王妃は、アリアの言葉に、わずかに希望の光を灯した。


イリスは、アリアの足元で、小さく光を放った。それは、まるで、アリアの決意に応えるように。


アリアは、イリスの光を胸に、王都に蔓延る異変の調査を開始することを決意した。




ーーー56話へつづく

〈登場人物〉

* アリア:王家の血を引く少女。王都の異変を調査するため、アメリア王妃に謁見する。

* エリオット:アリアの護衛。魔法の才能を持つ。

* イリス:虹色のスライム。不思議な力を持つ。

* 少女:王都への道を知っている、不安そうな少女。

* 兵士たち:王宮の門を守る兵士。

* アメリア王妃:アルトリア王国の王妃。王都で起こっている異変に心を痛めている。


✦✦✦✦✦


※このお話の舞台はヨーロッパ風異世界であり、現実世界の歴史とは一切関わりありません。

作中に出てくる 国・文化・習慣・宗教・風俗・医療・政治等は全てフィクションであり、架空のものです。

あくまで創作上の設定としてお楽しみいただけますと幸いです。


✦✦✦✦✦✦✦✦


✪読んでくださり、ありがとうございます。

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