表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私が占い師になった理由。  作者: 月灯
第五章 アルトリア王国編
57/338

54話 王都への接近と不安な少女 - 虹色の小さな奇跡

アルトリア王国の国境に近い、深い緑に包まれた森の中。

アリア、エリオット、そして虹色のスライム、イリスは、一人の少女と出会った。


少女は、泥に汚れた服を着て、大きな瞳に不安の色を浮かべていた。

一人、森の中を彷徨っている。

アリアが優しく声をかけると、少女はびくりと肩を震わせ、怯えた目でアリアを見上げた。


「あなたは…?」


少女の声は、震えていた。


「私たちは旅をしているの。どうしたの?迷子になった?」


アリアが微笑みかけると、少女は少しだけ警戒を解き、小さな声で答えた。


「王都へ行く道を知ってる…」


少女は、アリアたちを王都へと案内すると申し出た。

しかし、その表情は陰鬱で、ほとんど言葉を発しない。時折、後ろを振り返り、何かを恐れているようだった。


「何かあったの?」


アリアが尋ねても、少女は首を振るばかり。ただ、その目は、深い悲しみと不安を物語っていた。


森を抜け、王都へと続く街道に出た。遠くに、王都の城壁が見える。

しかし、少女の足取りは重く、その表情はますます陰鬱になっていった。


「王都で、何かあったの?」


アリアが再び尋ねると、少女はしばらく沈黙した後、ようやく口を開いた。


「王都では、変な噂が広がってる…」


少女は、震える声で語り始めた。

王妃様の具合が悪いとか、夜になると奇妙な光が見えるとか、そんな噂が人々の間に広がり、皆、不安に怯えているのだと。


「王妃様…?」


アリアは、その言葉に胸騒ぎを覚えた。


休憩中、イリスが近くの木に生っていた、まだ青い小さな果実を見つけた。

イリスはそれを自分の体の中に包み込むと、数分後、先ほどとは見違えるほど赤く熟した、美味しそうな果実を取り出し、アリアの足元に置いた。


「これは…?」


アリアが不思議そうに果実を見つめていると、エリオットがそれを手に取り、慎重に観察した。


「少し、味見をしてもよろしいでしょうか?」


エリオットは、アリアに断り、果実を小さく齧った。

しばらくして、エリオットは安堵の息を吐いた。


「毒はなさそうです。それに、とても甘い」


エリオットは、残りの果実をアリアに差し出した。


「どうぞ、アリア様」


アリアは、エリオットから果実を受け取り、口にした。

その瞬間、驚くほどの甘さが口の中に広がった。


「美味しい…!」


アリアは、思わず声を上げた。


「もしかして、イリスは何か特別な力を持っているのか?」


エリオットが呟くと、アリアもイリスを改めて見つめた。

イリスは、得意げに体を揺らし、虹色の光を放っている。


少女は、その光景を、目を丸くして見つめていた。

その瞳には、恐怖と同時に、小さな希望の光が灯っていた。


「イリス…」


アリアは、イリスに優しく触れた。

その時、イリスの体が、温かい光を放ち始めた。その光は、アリアの心を優しく包み込み、不安を和らげていくようだった。


「ありがとう、イリス」


アリアは、イリスに微笑みかけた。

イリスは、嬉しそうにアリアの足元に擦り寄った。


「さあ、行こう」


アリアは、少女の手を握り、立ち上がった。少女は、少しだけ表情を和らげ、頷いた。


王都への道は、まだ遠い。

しかし、アリアの心には、イリスがもたらした小さな奇跡が、温かい光を灯していた。


王都で待ち受けるものは、一体何なのだろうか。

アリアは、不安と期待を胸に、少女と共に、再び歩き始めた。



ーーー55話へつづく

〈登場人物〉

* アリア:王家の血を引く少女。王都で起こっている異変を心配している。

* エリオット:アリアの護衛。魔法の才能を持つが、杖は持っていない。毒味ができる。

* イリス:虹色のスライム。不思議な力を持つ。

* 少女:王都への道を知っている、不安そうな少女。


✦✦✦✦✦


※このお話の舞台はヨーロッパ風異世界であり、現実世界の歴史とは一切関わりありません。

作中に出てくる 国・文化・習慣・宗教・風俗・医療・政治等は全てフィクションであり、架空のものです。

あくまで創作上の設定としてお楽しみいただけますと幸いです。


✦✦✦✦✦✦✦✦


✪読んでくださり、ありがとうございます。

ポイント評価☆•リアクション(絵文字)ブックマークしていただけると、作者の励みになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ