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私が占い師になった理由。  作者: 月灯
第五章 アルトリア王国編
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53話 情報の収束と監視の影 - 虹色の予兆

いくつもの街や村を巡り、アリアとエリオットは、レオンの情報網を通じて得られた断片的な情報を丹念に繋ぎ合わせていった。

リリアの家族の失踪と殺害、レオンの両親の事故、そしてセシリアが語ったアリアの家族と古代魔法の関わり。それぞれの点が、まるで一本の黒い糸で結ばれているかのように、徐々にその輪郭を現し始める。


「やはり、ただの偶然とは思えません」


エリオットは、幾重にも重ねられた資料に目を走らせ、低い声で呟いた。


「リリアさんの事件と、レオンさんのご両親の事故。一見、無関係に見えた二つの出来事が、同じ『禁じられた古代魔法』というキーワードで繋がるとは……」


特に、レオンの両親が追っていた「禁じられた古代魔法」に関する情報が、リリア一家の失踪事件と奇妙な繋がりを見せ始めた時、アリアたちは背後に巨大な陰謀が存在することを確信する。


エリオットは、王宮書記官時代の知識を総動員し、古代魔法に関するわずかな記録を探し出した。その過程で、「時間」というキーワードが目に留まるものの、具体的な内容は掴めない。


「時間……?一体、何を意味するのでしょう」


アリアは、エリオットが指し示す古文書の一節を覗き込んだ。そこには、解読が困難な古代文字で、かすかに「時間」という言葉が記されていた。


傍らでは、イリスがポヨンポヨンと楽しげに跳ねている。その虹色の体は、光の加減によって様々な色に変化し、見ているだけで心が和む。アリアは、イリスの愛らしい姿に、しばし思案を中断し、微笑みを浮かべた。まだイリスの持つ特別な力には、全く気づいていない。


「イリス、元気ね」


アリアが優しく声をかけると、イリスは嬉しそうにアリアの足元に擦り寄った。その感触は、ひんやりとして心地よい。


情報収集を終え、次の目的地へと移動するため、二人は再び森の中を歩き始めた。しかし、その時、アリアたちは明確な悪意の視線を感じ始めた。木々の間から、あるいは遠くの街道から、見慣れない影が彼らを監視している。その影は、まるで彼らの動きを予測しているかのように、常に一定の距離を保ち、姿を消す。


「エリオット、何かいるわ」


アリアは、周囲を警戒しながら、低い声でエリオットに告げた。


「私も感じます。敵意を持った、複数の視線……」


エリオットは、周囲を注意深く観察し、警戒を強めた。


アリアは、自身の内に眠る王家の血筋が持つ特別な力に意識を集中させ、警戒を強める。イリスは、アリアの不安を感じ取ったのか、普段よりも鮮やかな虹色に輝き、アリアの周りをくるくると飛び跳ねる。まるで、アリアを守るように。


「一体、何者なの……?」


アリアは、木々の奥に潜む影を睨みつけながら、呟いた。


その時、森の奥から、複数の黒い影が姿を現した。それは、人間のような、しかし人間ではない、異様な姿をした者たちだった。彼らは、無機質な瞳でアリアたちを見つめ、ゆっくりと近づいてくる。


「来ます!」


エリオットは叫び、アリアを庇うように前に立った。両手に魔力を集中させ、いつでも魔法を発動できるように構えた。


黒い影の一人が、信じられないほどの速さでアリアに迫った。


アリアは、咄嗟に身をかわしたが、相手の攻撃は容赦なく、彼女の頬をかすり、赤い傷跡を残した。


「アリア様!」


エリオットは、アリアを庇いながら、黒い影に魔法を放つ。


「《ストーンバレット》!」


地面から無数の岩の弾丸が生成され、黒い影に向かって放たれた。しかし、彼らは素早く身をかわし、魔法を無効化する。


「ただの人間ではない……!」


エリオットは、彼らの動きに驚愕した。それは、訓練された兵士の動きではなく、まるで獣のような、本能的な動きだった。


黒い影たちは、連携してアリアたちを追い詰めていく。アリアは、イリスを庇いながら、必死に攻撃をかわし、反撃の機会を伺う。


「《プロテクション》!」


エリオットは、アリアと自身を覆うように、魔法で結界を張った。黒い影たちの攻撃が結界に当たるたび、衝撃が二人に伝わる。


その時、イリスが突然、眩い光を放ち始めた。虹色の光が、森全体を包み込み、黒い影たちの動きを鈍らせる。


「イリス……?」


アリアは、驚きと戸惑いの入り混じった表情で、イリスを見つめた。


イリスは、まるでアリアを守るように、黒い影たちに向かって光を放ち続ける。その光は、単なる光ではなく、何か特別な力を持っているようだった。


黒い影たちは、光を浴びて苦悶の表情を浮かべ、後ずさり始めた。彼らは、イリスの光を恐れているようだ。


「イリス……あなた、一体……?」


アリアは、イリスの力を目の当たりにし、言葉を失った。


イリスは、アリアの問いかけに応えるように、再び眩い光を放ち、黒い影たちを森の奥へと追い払った。


黒い影たちが姿を消すと、森には再び静寂が戻った。しかし、アリアたちの心には、大きな波紋が広がっていた。


イリスの力、そして黒い影たちの正体。彼らは一体、何者なのか。そして、彼らがアリアたちを監視していた目的とは。


アリアは、イリスを抱きしめ、その小さな体に問いかけた。


「イリス……あなたは、一体何を知っているの?」


イリスは、アリアの問いかけに応えるように、優しく光を放ち、アリアの頬をそっと撫でた。


その時、アリアは、イリスの光の中に、かすかな映像を見た。それは、遠い昔の記憶のような、しかし、どこか懐かしい光景だった。


アリアは、その映像の意味を理解しようと、必死に記憶を辿った。しかし、それは、あまりにも曖昧で、掴みどころのないものだった。


「一体、何なの……?」


アリアは、呟き、イリスを抱きしめた。


イリスは、アリアの不安を察知したのか、優しく光を放ち、アリアを包み込んだ。


その光は、まるでアリアを励ますように、温かく、そして優しかった。


アリアは、イリスの優しさに触れ、少しだけ心が落ち着いた。しかし、彼女の心には、まだ多くの疑問が残っていた。


黒い影たちの正体、そしてイリスの力。彼らは、アリアたちのに、一体どんな影響を与えるのだろうか。


アリアは、イリスを抱きしめ、再び険しい道のりへと踏み出した。彼女の瞳には、強い決意が宿っていた。




ーーー54話へつづく


〈登場人物〉

* アリア:王家の血を引く少女。自身の内に眠る力にまだ気づいていない。

* エリオット:アリアの護衛。魔法の才能を持つが、杖は持っていない。結界魔法を得意とする。

* イリス:虹色のスライム。アリアに懐き、不思議な力を持つ。

* 黒い影:異形の存在。アリアたちを監視し、襲撃する。


✦✦✦✦✦


※このお話の舞台はヨーロッパ風異世界であり、現実世界の歴史とは一切関わりありません。

作中に出てくる 国・文化・習慣・宗教・風俗・医療・政治等は全てフィクションであり、架空のものです。

あくまで創作上の設定としてお楽しみいただけますと幸いです。


✦✦✦✦✦✦✦✦


✪読んでくださり、ありがとうございます。

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