259話 虹色の絆 - 絆の温もり
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砂漠を越え、仲間たちは小さなオアシスの村にたどり着いた。
透き通る水の流れが地面を潤し、乾いた風が柔らかに花や草を揺らす。朝の光が砂丘を金色に染め、長い旅の疲れを一瞬だけ忘れさせる景色だった。
「ここで少し休もう」
アリアが静かに告げると、仲間たちは頷き、それぞれ水を飲んだり、軽く身体を伸ばしたりした。
モルンは砂の上に座り込み、前足をゆっくりと組んで深く息を吐く。身体の周りに漂う影が、かすかに揺らぎながらも安定していた。
『……やっと、少し落ち着いた……』
ルクスが通訳する。念話で語るモルンの声は、少し疲れを帯びていたが、どこか安堵も感じられる。
「影循環の制御も、だいぶ安定してきたようだな」
ルクスは微笑み、砂の上で腕を組む。長命の落ち着きと、知識者としての威厳が混ざったその姿は、仲間たちに安心感を与えた。
「ええ、これなら少しは無理もさせられる」
アリアは微笑みながら、周囲に目を向ける。
子供の声が聞こえた。オアシスの村に住む幼い子たちが、流れる水の周りで遊んでいる。
プエルがその輪の中にゆっくり歩み寄る。人形の姿をした小さな存在だが、その瞳は生き生きとしている。
「みんな、こんにちは!」
子供たちは驚きつつも、すぐに笑顔になった。プエルは手を振りながら、言葉を交わすように手を動かす。子供たちも手を合わせて返し、自然な交流が生まれる。
アリアは微笑みながら、そっと水辺のそばに座った。
「よし、私も少し休もう。…でも、怪我や疲れがある人には手当てを」
そう言って、アリアはエリアヒールを展開し、仲間たちの小さな傷や擦り傷を優しく癒した。
深刻な傷や捻挫などはシュウが手当てを担当する。仲間の体調を整えることで、信頼がさらに固まっていく。
モルンの傍らにはルクスが座り、念話で語るモルンの言葉を通訳する。
『……ありがとう……皆がそばにいてくれる……』
「……よかったね、モルン」
アリアが手をそっと前足に触れ、安心させるように微笑んだ。
そのとき、イリスがかすかに体を震わせ、低く言葉を発した。
「……もん……ちかい……」
誰もそれを完全には理解できなかったが、仲間たちはその意味の重みを感じ取る。古代の記憶の断片が、砂漠の風に乗って、わずかに彼らに届いたようだった。
子供たちはプエルの周りで輪になり、自然な笑顔を見せる。
アリアはその光景を見ながら、柔らかく微笑む。
「……こんな瞬間があると、どんな試練も耐えられる気がする」
マコトが横で静かに剣を支えながら呟く。
「信頼…絆…これが、仲間と共に歩む意味か」
「ええ、それに、私たちは皆、互いの力で支え合っているのよ」
エリオットも静かに頷く。包帯を巻きながら、仲間の微笑みを見守る。
砂丘の先、オアシスの外れにわずかに光るものが見えた。
ルクスは指を伸ばし、砂を操って微かに光の道筋を示す。
「…あそこか。進むべき道が見えたようだ」
アリアはイリスを抱き上げ、仲間たちに呼びかける。
「よし、皆。少し休んだら、また進もう。道はまだ先にある」
モルンが念話で告げる。
『……皆と一緒なら……恐くない……』
「そうね、だからこそ一緒に歩むの」
アリアは微笑み、モルンの前足を軽く握った。
プエルが子供たちに手を振り、そして仲間たちを見上げる。
「また行こうね、皆!」
その声に、砂漠の風が応えるように揺れた。
夜明けの光がオアシスを照らし、砂の上に影を落とす。
仲間たちの絆は確かに深まり、信頼は揺るがないものとなった。
イリスの使命への伏線はまだ語られない——しかし、その小さな光は、確実に未来への道しるべとなっていた。
星空は消え、太陽が砂丘の上に昇り始める。
新しい日が始まる——虹色の絆を胸に、彼らは再び歩き出すのだった。
ーーー260話へつづく
※このお話の舞台はヨーロッパ風異世界であり、現実世界の歴史とは一切関わりありません。
作中に出てくる 国・文化・習慣・宗教・風俗・医療・政治等は全てフィクションであり、架空のものです。
あくまで創作上の設定としてお楽しみいただけますと幸いです。




