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私が占い師になった理由。  作者: 月灯
第十章 果てなき砂と星の狭間で
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259話 虹色の絆 - 絆の温もり

✪読んでくださり、ありがとうございます。

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砂漠を越え、仲間たちは小さなオアシスの村にたどり着いた。

透き通る水の流れが地面を潤し、乾いた風が柔らかに花や草を揺らす。朝の光が砂丘を金色に染め、長い旅の疲れを一瞬だけ忘れさせる景色だった。


「ここで少し休もう」


アリアが静かに告げると、仲間たちは頷き、それぞれ水を飲んだり、軽く身体を伸ばしたりした。

モルンは砂の上に座り込み、前足をゆっくりと組んで深く息を吐く。身体の周りに漂う影が、かすかに揺らぎながらも安定していた。


『……やっと、少し落ち着いた……』


ルクスが通訳する。念話で語るモルンの声は、少し疲れを帯びていたが、どこか安堵も感じられる。


「影循環の制御も、だいぶ安定してきたようだな」


ルクスは微笑み、砂の上で腕を組む。長命の落ち着きと、知識者としての威厳が混ざったその姿は、仲間たちに安心感を与えた。


「ええ、これなら少しは無理もさせられる」


アリアは微笑みながら、周囲に目を向ける。

子供の声が聞こえた。オアシスの村に住む幼い子たちが、流れる水の周りで遊んでいる。


プエルがその輪の中にゆっくり歩み寄る。人形の姿をした小さな存在だが、その瞳は生き生きとしている。


「みんな、こんにちは!」


子供たちは驚きつつも、すぐに笑顔になった。プエルは手を振りながら、言葉を交わすように手を動かす。子供たちも手を合わせて返し、自然な交流が生まれる。


アリアは微笑みながら、そっと水辺のそばに座った。


「よし、私も少し休もう。…でも、怪我や疲れがある人には手当てを」


そう言って、アリアはエリアヒールを展開し、仲間たちの小さな傷や擦り傷を優しく癒した。

深刻な傷や捻挫などはシュウが手当てを担当する。仲間の体調を整えることで、信頼がさらに固まっていく。



モルンの傍らにはルクスが座り、念話で語るモルンの言葉を通訳する。


『……ありがとう……皆がそばにいてくれる……』


「……よかったね、モルン」


アリアが手をそっと前足に触れ、安心させるように微笑んだ。


そのとき、イリスがかすかに体を震わせ、低く言葉を発した。


「……もん……ちかい……」


誰もそれを完全には理解できなかったが、仲間たちはその意味の重みを感じ取る。古代の記憶の断片が、砂漠の風に乗って、わずかに彼らに届いたようだった。


子供たちはプエルの周りで輪になり、自然な笑顔を見せる。

アリアはその光景を見ながら、柔らかく微笑む。


「……こんな瞬間があると、どんな試練も耐えられる気がする」


マコトが横で静かに剣を支えながら呟く。


「信頼…絆…これが、仲間と共に歩む意味か」


「ええ、それに、私たちは皆、互いの力で支え合っているのよ」


エリオットも静かに頷く。包帯を巻きながら、仲間の微笑みを見守る。



砂丘の先、オアシスの外れにわずかに光るものが見えた。

ルクスは指を伸ばし、砂を操って微かに光の道筋を示す。


「…あそこか。進むべき道が見えたようだ」


アリアはイリスを抱き上げ、仲間たちに呼びかける。


「よし、皆。少し休んだら、また進もう。道はまだ先にある」



モルンが念話で告げる。


『……皆と一緒なら……恐くない……』


「そうね、だからこそ一緒に歩むの」


アリアは微笑み、モルンの前足を軽く握った。


プエルが子供たちに手を振り、そして仲間たちを見上げる。


「また行こうね、皆!」


その声に、砂漠の風が応えるように揺れた。



夜明けの光がオアシスを照らし、砂の上に影を落とす。

仲間たちの絆は確かに深まり、信頼は揺るがないものとなった。

イリスの使命への伏線はまだ語られない——しかし、その小さな光は、確実に未来への道しるべとなっていた。



星空は消え、太陽が砂丘の上に昇り始める。

新しい日が始まる——虹色の絆を胸に、彼らは再び歩き出すのだった。





ーーー260話へつづく


※このお話の舞台はヨーロッパ風異世界であり、現実世界の歴史とは一切関わりありません。

作中に出てくる 国・文化・習慣・宗教・風俗・医療・政治等は全てフィクションであり、架空のものです。

あくまで創作上の設定としてお楽しみいただけますと幸いです。

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