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私が占い師になった理由。  作者: 月灯
第十章 果てなき砂と星の狭間で
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242話 砂上の攻防 - 駱駝隊との駆け引き


砂丘の稜線で、駱駝騎兵隊が迫る。風に巻き上げられた砂粒が目や肌を刺し、地平線の向こうで夕陽が赤く染まる。アリアたちは互いの存在を確認し、武器を握り直した。


「まずは攻撃しないで、防御と駆け引きを優先するわ」


アリアは低く声を出し、仲間たちに指示を送る。


モルンが体をふくらませ、戦獣のように砂丘に踏み込む。イリスは「びよん」と跳ね、アリアのそばで目を光らせる。プエルも小さく頷き、ルクスの指示を待つ。


「敵の中に、混乱している者がいる……間違いなく強制されている」


ユリウスが冷静に視線を走らせながら言う。


「目を伏せている者、仲間と連携できず戸惑う者……ほとんどの人が怖がっている」



エリオットは盾を構え、仲間の背を守る。


「正面からぶつかる必要はない。防御を固めつつ、相手を観察するんだ」



その時、砂煙の中から駱駝に乗った若い兵士が目を合わせてくる。アリアは一歩前に出て、両手を広げて示す。


「安心して。攻撃しない。まず話を聞かせて」


駱駝隊の中で、一人の若者が小さく首を振る。


「……でも、俺たち、命令されて…」

声がかすれ、恐怖がにじむ。



シュウが静かに歩み寄る。


「君たちは本当に戦いたいのか? それとも誰かに無理やり?」


若者は一瞬、視線を逸らす。


「…いや…望んで…いや、違う。脅されて…」


プエルが光を操り、魔法で小さな光の輪を作る。


「攻撃はしない。逃げてもいいんだよ」


イリスも小さく跳ねて前に出る。「びよん」と軽く空中で回転し、相手に危険がないことを示す。


アリアは微笑み、他の駱駝隊員にも視線を向ける。


「無理に戦わなくていい。私たちを敵だと思わないで」



ルクスが砂の起伏を利用し、仲間と駱駝隊の間に自然な障壁を作る。光の加減で敵の視界を弱めつつ、心理的な圧迫を減らす。


モルンが低く唸り、砂を踏む音で存在感を示す。駱駝隊の兵士たちは恐怖と緊張の中で揺れる。互いに目を合わせ、指示に従いながらも迷いが見える。


「シュウ、君がもう一度声をかけてみて」アリアが囁く。


シュウは頷き、兵士に近づく。


「君たちは誰かの道具じゃない。生きたいように生きていいんだ」


若者は震える手で駱駝の手綱を握り直す。


「でも…命令が…」


ユリウスが前に出て、背後の安全を保障する。


「ここには危険はない。誰も傷つけさせない」


一人、また一人と目を伏せていた兵士たちが顔を上げる。緊張と恐怖が混じるが、徐々に疑問の色が見える。


プエルが小さく笑う。


「そう…そうだよ、怖がらなくていいんだよ」


イリスは跳ねながら前後に動き、仲間と駱駝隊の間の距離を調整する。無意識に、敵の注意を分散させ、混乱を誘う。


アリアは深呼吸をし、砂丘の稜線を俯瞰する。


「よし、このまま相手を傷つけずに行動を制御する。正面衝突は避ける」


ルクスが光を操り、駱駝隊の中心を観察。


「指揮者がいる…黒幕の命令か。理解できた」


モルンが砂を踏みしめ、仲間を守る盾としての存在感を放つ。エリオットは両手で盾を支え、仲間を守りながら視線を送る。


砂煙の中、駱駝隊の動きは鈍り、指揮がうまく伝わらず、混乱が広がる。アリアたちは焦らず、知恵と観察で戦況を制御する。


やがて、駱駝隊は一時的に撤退の姿勢を見せる。若者たちは互いに目を合わせ、恐怖と安堵が入り混じる。戦う意思はなく、黒幕の命令に縛られた存在であることがはっきりした。


「やった…傷つけずに済んだ」


プエルが小さく息をつく。


アリアは仲間を見渡す。


「戦うだけが解決じゃない。知恵と観察、相手を理解すること――それが私たちの強さ」


砂丘に沈む夕陽の中、仲間たちは互いにうなずき合い、次の戦いへの準備を進めた。


駱駝隊は混乱のまま撤退し、黒幕の策略が垣間見えた。その裏に潜む不正や脅迫を、アリアたちは知恵で乗り越えたのだ。






ーーー243話へつづく

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