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私が占い師になった理由。  作者: 月灯
第二章 王宮編Ⅰ
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21話 束の間の休息 - 王都の日常

封印の準備が佳境に入る中、アリアたちは束の間の休息を取ることにした。張り詰めた糸を少し緩め、心身をリフレッシュするためだ。


「少し、息抜きをしましょう。王都の市場へ行ってみませんか?」


アリアの提案に、皆が賛同した。


活気あふれる市場は、色とりどりの商品と人々の熱気で溢れかえっていた。石畳の道を歩けば、香辛料の匂い、焼き立てのパンの甘い香り、そして活気ある売り子の声が耳を楽しませる。


「わあ、美味しそうな匂い!」


レオンが目を輝かせ、屋台に駆け寄った。彼の視線の先には、湯気を立てる肉まん、香ばしい焼き鳥、そして色とりどりの果物が並んでいる。


「どれも美味しそうですね」


エレノアも楽しそうに微笑んだ。

普段は冷静沈着な彼女だが、今日は年相応の少女のように目を輝かせている。


アリアたちは思い思いに買い物を楽しんだ。

レオンは珍しい香辛料を、エレノアは美しい刺繍のハンカチを、エリオットは古代の書物を、ルシウスとユリウスは王宮へのお土産を選んでいた。


仲の良い兄弟であるルシウスとユリウスは、幼い頃からの思い出話に花を咲かせ、時折、顔を見合わせて微笑んでいた。


買い物を終えると、広場の一角にあるカフェで休憩することにした。


「ふう、少し疲れましたね」


アリアが椅子に腰かけ、温かい紅茶を一口飲んだ。


「でも、楽しかったですね。市場の活気は、私たちに元気を与えてくれます」


エリオットが笑顔で言った。


「たまには、こういう時間も必要だ。張り詰めてばかりでは、良い結果は生まれない」


ルシウスが穏やかな表情で言った。


カフェでは、様々な人々が思い思いに過ごしていた。楽しそうに話す家族、恋人同士、一人で読書をする人…。そんな日常の風景を見ていると、アリアは心が安らいだ。


(この穏やかな時間が、ずっと続けばいいのに…)


アリアは、ふとそんなことを思った。


占い処に戻ると、いつものように悩みを抱えた人々が訪れていた。アリアは一人一人と向き合い、丁寧に占い、言葉を贈った。そして、手作りのお菓子を人々に配った。


「これは、私が作ったお菓子です。少しでも、皆さんの心が安らぎますように…」


アリアは、そう言って微笑みかけた。


古代の怨念の影響は、街の人々にも少なからず出ていた。

アリアは、一人でも多くの人がその影響から逃れられるように、と願いながら、お菓子を配っていた。



翌日、アリアたちは王都郊外の公園へピクニックに出かけた。


「天気が良くてよかったですね。まるで、私たちの心を映しているみたい」


アリアが青空を見上げると、白い雲がゆっくりと流れていた。


レオンが手作りのサンドイッチやフルーツ、そして特製のピクニックバスケットを広げ、皆でテーブルを囲んだ。


「いただきましょう!」


レオンの元気な声で、ピクニックが始まった。


食事をしながら、アリアたちは互いの過去や夢について語り合った。

エレノアは幼い頃に両親を亡くし、王宮で女官として育てられたこと。

エリオットは幼い頃から書物に囲まれて育ち、古代の謎を解き明かすことを夢見ていること。

レオンは世界中を旅して、様々な料理を研究したいと思っていること。


ルシウスとユリウスは、幼い頃からの思い出を語り合った。実の兄弟であり、幼馴染であり、そして親友である彼らの間には、言葉では言い表せない深い絆があった。


アリアは、自身の過去、そして占い師になった理由を話した。皆、真剣な表情でアリアの話に耳を傾けていた。


「アリアさんの過去は、とても辛いものだったんですね」


エレノアが静かに言った。


「でも、アリアさんは、それを乗り越えて、私たちの希望の光です」


エリオットが力強く言った。


「アリア、私たちはいつもあなたの味方です。どんな時も、あなたのそばにいる」


ルシウスが優しく微笑んだ。


アリアは、ルシウスの言葉に、胸が温かくなるのを感じた。彼といると、なぜか心が安らぐ。まるで、ずっと昔から知っていたような、そんな不思議な感覚があった。


(ルシウスさんとユリウスさん…)


アリアは、二人の姿を交互に見た。彼らといると、幼い頃の記憶が蘇りそうになるけれど、いつも寸前で思い出せない。


夕方、アリアはルシウスと二人で庭園を散歩していた。


「今日は、楽しかったですね」


アリアが言うと、ルシウスは穏やかに頷いた。


「ああ、たまには、こういう時間も必要だ。それに、アリアとこうして話すのは、心が安らぐ」


ルシウスの言葉に、アリアはドキッとした。彼もまた、同じように感じているのだろうか。


「ルシウスさんは、どんな子供だったんですか?」


アリアが尋ねると、ルシウスは少し考えてから答えた。


「私は、ユリウスといつも一緒にいた。実の兄弟だが、幼い頃からの親友ような存在だ」


ルシウスは、幼い頃のユリウスとの思い出を語り始めた。いたずらをして先生に叱られたこと、秘密基地を作って遊んだこと、夜空の星を眺めながら夢を語り合ったこと…。


「ユリウスは、昔から優しい男だった。困っている人がいると、いつも放っておけなくて、助けに行っていた」


ルシウスの言葉に、アリアはユリウスの優しさに触れた気がした。


「ルシウスさんとユリウスさんは、本当に仲が良いんですね」


アリアが言うと、ルシウスは少し照れくさそうに笑った。


「ああ、私たちは、互いのことをよく理解している。これからも、ずっと一緒にいるだろう」


ルシウスの言葉に、アリアは温かい気持ちになった。


庭園には、夕焼けの光が優しく降り注ぎ、花々が美しく咲いていた。アリアは、ルシウスと共に、しばし静かな時間を過ごした。



21話:終わり


〈登場人物〉

* アリア:主人公。王家の血を引く占い師。封印の準備の合間に、束の間の休息を楽しむ。


* エレノア:王宮の女官であり、実は王宮魔術師団の団長。アリアたちと共に休息を楽しむ。


* エリオット:王宮の書記官であり、アリアの協力者。書庫での情報収集を担当。アリアたちと市場やピクニックを楽しむ。


* ルシウス:王宮騎士団 副団長。アリアの王宮への出入りを許可し、警備を強化する。アリアとは幼馴染。


* ユリウス:王宮騎士団の一員。ルシウスと共に王宮内の警備を担当。ルシウスと実の兄弟であり、アリアとは幼馴染。


* レオン:大商会の跡取り息子。アリアの協力者。儀式に必要な道具や材料の調達を担当。ピクニックの準備をする。

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※このお話の舞台はヨーロッパ風異世界であり、現実世界の歴史とは一切関わりありません。

作中に出てくる 国・文化・習慣・宗教・風俗・医療・政治等は全てフィクションであり、架空のものです。

あくまで創作上の設定としてお楽しみいただけますと幸いです。

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