18話 目覚めと再会 - 秘密の部屋の真実
その頃、ユリウスはルシウスの部屋を訪れていた。アリアが倒れたことを知った彼は、いてもたってもいられず、ルシウスと話をする必要性を感じていたのだ。
「ルシウス、アリア様は…?」
ユリウスが尋ねると、ルシウスは彼を部屋に入れ、静かに頷いた。
「アリアは、水晶の力に触れて意識を失ったんだ。今は、僕たちの隠れ家で休んでいる。」
「そうか…」
ユリウスは安堵の息をついた。そして、ルシウスの目を見つめ、問いかけた。
「ルシウス、君はアリア様に、全てを話すつもりなのか?」
ルシウスは、迷いのない瞳でユリウスを見返した。
「ああ、話すよ。もう隠し続けることはできない。アリアは、僕たちの過去を知る権利がある。」
ルシウスの言葉に、ユリウスは静かに頷いた。
「分かった。僕も、君と一緒に戦う。もう二度と、君を一人にはしない。」
二人は再び手を取り合い、子供の頃のように、笑顔で語り合った。しかし、その笑顔の裏には、深い悲しみと葛藤が隠されていた。
(ユリウス…、本当にアリア様に全てを話してしまっていいのか?ユリウスは、まだ…)
ユリウスは、ルシウスの決意を信じつつも、心のどこかで不安を感じていた。
一方、アリアはルシウスの隠れ家で目を覚ましていた。彼女はまだ少しぼんやりとしていたが、自分がどこにいるのか、何が起こったのかを理解しようとしていた。
「ここは…?」
アリアが呟くと、近くから聞き慣れた声が返ってきた。
「アリア、目を覚ましたか?」
声の主はルシウスだった。彼はアリアを優しく見つめ、その表情には安堵の色が浮かんでいた。
「ルシウス様…?私は…」
「君は、水晶の力に触れて意識を失ったんだ。ここは、僕たちが子供の頃に遊んだ隠れ家のような場所だよ。」
ルシウスはそう言いながら、アリアが横たわっている場所を示した。そこは、簡素ながらも心地よい寝台だった。
「水晶の力…?」
アリアはまだ混乱していた。彼女は水晶に触れた瞬間の記憶を辿ろうとしたが、断片的な映像と感情だけが残っていた。
「あの水晶は、ただの増幅器ではない。古代の魔法と深く結びついていて、触れた者の記憶や感情に影響を与える力を持っている。」
ルシウスは真剣な表情で言った。
「私の記憶…?」
アリアは自分の過去と、この王宮で起こっている出来事が繋がっているような気がしていた。
「ああ、君は水晶に触れた時、過去の記憶を垣間見たはずだ。僕とユリウスの…そして、君自身の。」
ルシウスの言葉に、アリアはハッとした。彼女は幼いルシウスとユリウスが祭壇の前で誓い合っていた光景を思い出した。
「あの絵…そして、あの記憶…」
「そうだ。あれは、僕たちがまだ子供だった頃の記憶だ。しかし、あの時から全てが変わってしまった。」
ルシウスは悲しげな目を伏せた。
「何があったのですか?」
アリアが尋ねると、ルシウスはゆっくりと過去の出来事を語り始めた。
「僕とユリウスは、兄弟であると同時に、親友のような存在だった。幼い頃からいつも一緒で、互いを深く理解し合っていた。しかし、ある日、僕たちは祭壇の前で、古代魔法の実験を目撃してしまったんだ。それは、王宮の禁忌とされている研究で、僕たちの叔父である当時の王が秘密裏に行っていたものだった。」
ルシウスは、苦しそうな表情で続けた。
「僕たちは、その実験によって生み出された怨念の力に触れてしまった。そして、その時、ユリウスが…」
ルシウスは言葉を詰まらせた。
「ユリウス様が…?」
アリアが尋ねると、ルシウスは重い口を開いた。
「ユリウスは、怨念の力に飲み込まれ、心を失ってしまったんだ。僕は、ユリウスを救うために、必死で戦った。しかし、僕の力では、どうすることもできなかった。そして、ユリウスは…」
ルシウスは、涙を堪えながら、続けた。
「ユリウスは、今も怨念に操られ、苦しんでいるんだ。」
アリアは、ルシウスの言葉に、衝撃を受けた。ユリウスが怨念に操られている…?そんなことが、ありえるのだろうか?
「そんな…」
アリアが言葉を失っていると、ルシウスは続けた。
「ユリウスは、時々、僕たちのことを忘れてしまうんだ。そして、僕たちを攻撃しようとすることもある。」
ルシウスの言葉に、アリアは、全てを理解した。ユリウスは、怨念に操られ、苦しんでいるのだ。
「ルシウス様…」
アリアは、ルシウスの悲しみに、心を痛めた。
「アリア、君は、僕たちの過去を知って、どう思った?」
ルシウスが尋ねると、アリアは、まっすぐルシウスを見つめた。
「私は、ルシウス様とユリウス様の友情を、信じます。そして、必ず、ユリウス様を救い出します。」
アリアの言葉に、ルシウスは、希望を見出した。
「ありがとう、アリア。君の言葉が、僕の希望だ。」
「ルシウス様が、私を遠ざけていたのは、ユリウス様を救うためだったのですね?」
アリアは、ルシウスに尋ねた。
「ああ。アリア、君は古代魔法の力を持っている。その力が、怨念を刺激し、ユリウスを苦しめる可能性があった。だから、君を遠ざけようとしたんだ。」
ルシウスは、苦渋の表情で言った。
「でも、もう大丈夫。君の力が必要なんだ。ユリウスを救うために、力を貸してほしい。」
ルシウスは、アリアに懇願した。
「はい、ルシウス様。私にできることがあれば、何でもします。」
アリアは、力強く答えた。
「ありがとう、アリア。君の優しさに、感謝する。」
ルシウスは、アリアに微笑みかけた。
その後、アリアはルシウスから、王宮に隠された古代魔法の秘密、そして彼とユリウスの過去について聞いた。
彼女は全てを理解した時、自身の記憶と王宮の未来が深く関わっていることを確信した。
「私には、まだやらなければならないことがある。ルシウス様、ユリウス様、どうか私に力を貸してください。」
アリアの言葉に、ルシウスは力強く頷いた。
「ああ、アリア。僕たちも、君と一緒に戦う。」
しかし、ユリウスは、まだ心の奥底で葛藤していた。
(ユリウス…、私は、彼らと一緒にいてもいいのだろうか…)
ユリウスは、アリアとルシウスの会話を聞きながら、複雑な思いを抱えていた。
三人は再び手を取り合い、王宮の秘密を解き明かし、怨念を封印するために、共に戦うことを誓った。
18話:終わり
〈登場人物〉
* アリア:
* 本作の主人公。市井で露天の占い処を開いている占い師。
* 水晶の力に触れ、過去の記憶を垣間見る。
* ルシウスから過去の出来事を聞き、自身の記憶と王宮の未来が深く関わっていることを確信する。
* ルシウス:
* アリアの幼馴染。王宮騎士団 副団長。
* アリアに過去の出来事を語り、ユリウスを救うために協力を求める。
* ユリウスとの過去、そして王宮で起こった古代魔法の実験についてアリアに伝える。
* ユリウス:
* 同じくアリアの幼馴染で、ルシウスと共に王宮騎士団に所属している。
* 怨念に操られ、心を失っている。
* ルシウスとアリアの会話を聞きながら、心の奥底で葛藤する。
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※このお話の舞台はヨーロッパ風異世界であり、現実世界の歴史とは一切関わりありません。
作中に出てくる 国・文化・習慣・宗教・風俗・医療・政治等は全てフィクションであり、架空のものです。
あくまで創作上の設定としてお楽しみいただけますと幸いです。




