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私が占い師になった理由。  作者: 月灯
第二章 王宮編Ⅰ
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16話 ルシウスとユリウスの素顔 - 深まる謎

占い処での穏やかな日々から一転、アリアは王宮という舞台で、古代魔法と王宮の秘密に迫る新たな局面を迎えていた。


ルシウスとユリウス、二人の貴族との会話は、彼女にとって重要な情報源であると同時に、彼らの真意を探るための試練でもあった。


その日の朝、ルシウスとユリウスは、母であるマーガレット夫人からアリアがアルベール家と血縁の可能性が高いという話を聞いていた。そして、マーガレット夫人の未来を助けるために、アリアが調査をしていることも。


「アリア様、本日はお招きいただき、誠にありがとうございます。」


ルシウスは、いつものように穏やかな笑みを浮かべ、アリアに丁寧に挨拶をした。その隣には、ユリウスが静かに控えている。


「こちらこそ、お越しいただきありがとうございます。今日は、ゆっくりとお話ができればと思っております。」


アリアは、二人に微笑み返し、ソファーへと促した。


「早速ですが、お二人は王宮でどのような役割を担われているのでしょうか?」


アリアは、率直に尋ねた。彼女は、二人が王宮の秘密に深く関わっていることを確信していた。


「私は、王宮騎士団の副団長しております。」


ルシウスは、穏やかな口調で答えた。


「私は、王宮騎士団でルシウス様の補佐を務めております。」


ユリウスは、丁寧に答えた。


アリアは、二人の言葉を注意深く聞きながら、彼らの表情や態度を観察した。二人は、表面上は穏やかで礼儀正しいが、その奥には何かを隠しているような気配を感じた。


「お二人は、王宮の古い歴史についてもご存じなのでしょうか?」


アリアは、さりげなく尋ねた。


「はい、王宮の歴史は、私どもの家系の歴史でもありますので。」


ルシウスは、少し目を細めて答えた。


「特に、古代魔法に関する記録は、貴重な資料として保管されております。」


ユリウスが、低い声で付け加えた。


アリアは、二人の言葉に、古代魔法と王宮の秘密が深く関わっていることを確信した。


「古代魔法…興味深いですね。もしよろしければ、その資料を見せていただくことはできますでしょうか?」


アリアは、期待を込めて尋ねた。


「それは…」


ルシウスは、少し言葉を濁した。


「王宮の資料は、機密情報が多く含まれておりますため、外部の方にお見せすることはできません。」


ユリウスが、丁寧に答えた。


アリアは、二人の態度に、彼らが何かを隠していることを確信した。

しかし、彼女は焦らず、別の角度から二人に近づこうと考えた。


「そうでしたか。残念です。ところで、ルシウス様は絵を描くのがお好きだと伺いました。以前、子供の頃に描かれた絵日記を見せていただいたのですが、とても印象的でした。」


アリアは、ルシウスの目をまっすぐ見つめて言った。


ルシウスは、一瞬、驚いたような表情を見せたが、すぐにいつもの穏やかな笑みを浮かべた。


「はい、子供の頃はよく絵を描いておりました。今となっては、懐かしい思い出です。」


「その絵日記の中に、王宮の古い風景を描いたものがありました。特に、地下迷宮の奥にある庭園の絵が印象的で。」


アリアは、さらに踏み込んで尋ねた。


ルシウスは、少し戸惑ったような表情を見せたが、すぐに平静を取り戻した。


「ああ、あれは…子供の頃の記憶を頼りに描いたものです。実際とは、少し違うかもしれません。」


「そうですか。でも、とても細かく描かれていました。特に、庭園の中央にある祭壇の絵が印象的でした。」


アリアは、ルシウスの反応を注意深く観察した。


ルシウスは、少し目を伏せ、何かを考えているようだった。


「祭壇…ですか。記憶にございません。」


ユリウスが、丁寧に答えた。


アリアは、ユリウスの言葉に、彼がルシウスの過去を知っていることを確信した。


「そうですか。でも、私はあの絵日記の中に、ルシウス様の過去と王宮の秘密が隠されているような気がするんです。」


アリアは、ルシウスの目をまっすぐ見つめて言った。


ルシウスは、何も答えず、ただ静かにアリアを見つめ返した。


沈黙が部屋を包み込む。


アリアは、ルシウスとユリウスの間に、過去の因縁や複雑な感情があることを感じ取った。


「今日は、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。また、お二人とお話できる日を楽しみにしています。」


アリアは、立ち上がり、二人を見送ろうとした。


「アリア様、少しお待ちいただけますでしょうか?」


ルシウスが、アリアを呼び止めた。


「実は、アリア様にお願いしたいことがございまして…」


ルシウスは、アリアに近づき、静かに言った。


「お願い、ですか?」


アリアは、不思議そうに尋ねた。


「はい。アリア様の占いの力について、母から伺いました。もしよろしければ、私たち二人のことを占っていただけないでしょうか?」


ルシウスは、真剣な眼差しでアリアを見つめた。


「占いを…ですか?」


アリアは、少し戸惑ったが、二人の真意を探る良い機会だと思い、承諾した。


「わかりました。お二人の許可を得た上で、占わせていただきます。」


アリアは、ルシウスとユリウスに近づき、二人の手にそっと触れた。


アリアが二人に触れた瞬間、彼女の意識の中に、幼いルシウスとユリウスの姿が流れ込んできた。

色褪せた数枚の紙と、使い古された絵の具セット。

一枚の紙に描かれた、拙いタッチの風景画。

しかし、その風景の中に描かれた祭壇は、細部まで丁寧に描き込まれていた。

祭壇の前には、二人の子供が手を取り合って立っている。

それは、幼い頃のルシウスとユリウスだった。

祭壇の前で、「いつも一緒にいよう」と誓い合った二人。

しかし、ある出来事をきっかけに、二人の道は分かれてしまった。


(あの時、私が…)


後悔の念に駆られ、絵を強く握りしめるルシウス。


「ルシウス、それは…」


問いかけようとするユリウス。


「ああ、これは…ただの子供の落書きだ。」


慌てて絵を隠し、ぎこちない笑顔で答えるルシウス。


二人の間に流れる、過去の出来事が作った深い溝。


アリアは、二人の過去を垣間見て、彼らの間に深い因縁があることを確信した。


占い終え、アリアは二人に告げた。


「お二人の間には、深い森のような過去があります。その森には、美しい花もあれば、深い影もあります。しかし、その影を乗り越えた先に、光が待っています。」


アリアは、ルシウスとユリウスに直接的な言葉で過去の出来事を語るのではなく、象徴的な言葉や比喩を用いて、彼らが自ら気づくように促した。


アリアの言葉に、ルシウスとユリウスは、驚いたような表情を見せた。


「アリア様…」


ルシウスが何かを言おうとした瞬間、アリアは二人に微笑みかけた。


「今日は、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。また、お二人とお話できる日を楽しみにしています。」


アリアは、二人に微笑みかけ、二人を見送った。


ルシウスとユリウスは、礼儀正しく挨拶をし、占い処を後にした。


二人が去った後、アリアはルシウスの絵日記のことを考えていた。あの絵日記の中に、王宮の秘密を解き明かす手がかりが隠されているかもしれない。


「ルシウス様…あなたは一体、何を知っているのでしょうか?」


アリアは、窓の外を見ながら、呟いた。


彼女は、ルシウスとユリウスの真意を見極め、彼らとの協力関係を築こうと決意した。


そのためには、まず彼らの過去と王宮の秘密について、もっと深く知る必要があった。


アリアは、ルシウスの絵日記をもう一度見せてもらう方法を考え始めた。そして、彼女は一つの計画を思いついた。


「まずは、エレノア様に相談してみましょう。」


アリアは、そう呟くと、エレノアに手紙を書くために、机に向かった。




16話:終わり


<登場人物>

* アリア: 占い処の女主人。王宮の秘密を解き明かそうと奮闘する。


* ルシウス: アルベール家の当主。王宮騎士団副団長。穏やかな物腰だが、何かを隠している。


* ユリウス: アルベール家の次男。王宮騎士団でルシウスの補佐を務める。


* エレノア: 王宮に仕える女官。アリアの協力者。


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※このお話の舞台はヨーロッパ風異世界であり、現実世界の歴史とは一切関わりありません。

作中に出てくる 国・文化・習慣・宗教・風俗・医療・政治等は全てフィクションであり、架空のものです。

あくまで創作上の設定としてお楽しみいただけますと幸いです。

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