表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私が占い師になった理由。  作者: 月灯
第二章 王宮編Ⅰ
17/338

15話 過去と未来の交差点

街の喧騒から少し離れた場所に、ひっそりと佇むアリアの占い処。今日もまた、様々な悩みを抱えた人々が、アリアの元を訪れていた。


「先生、最近仕事でミスばかりしてしまうんです。どうしたら自信を取り戻せるでしょうか?」


アリアは、悩みを打ち明ける女性に、優しく語りかける。


「あなたの生年月日から見ると、今は少し気持ちが落ち込みやすい時期のようですね。でも、大丈夫。あなたの周りには、あなたを支えてくれる人たちがたくさんいます。困った時は、一人で抱え込まずに、周りの人に相談してみてください。きっと、力になってくれるはずです。」


アリアがそう言うと、彼女の周りに温かいオレンジ色の光がいくつも現れた。


「ほら、あなたを応援している人たちの光が見えますよ。」


アリアの言葉と光に、女性の表情が明るくなる。


「ありがとうございます、先生。頑張ってみます。」


女性が笑顔で占い処を後にすると、入れ替わるように、次の相談者が訪れた。


そんな賑わいが一段落した昼下がり、占い処の扉が開いた。


「こんにちは、アリアさん。」


現れたのは、王宮の書記官、エリオットだった。


「エリオットさん、いらっしゃいませ。今日は、どのようなご用件でしょうか?」


アリアが尋ねると、エリオットは少し照れくさそうに答えた。


「実は、以前からアリアさんの占いに興味がありまして。今日は、個人詳細鑑定をお願いしたくて。」


「まぁ、嬉しいです。個人詳細鑑定は、お一人様一度きりですが、よろしいですか?」


「はい、お願いします。」


アリアは、エリオットの依頼を受け、彼の向かいに座った。


「では、エリオットさんの手を握らせてください。」


アリアはそう言うと、優しくエリオットの手を両手で包み込んだ。彼女の瞳が静かに閉じられ、集中が高まっていく。


「エリオットさん、あなたの守護霊が、あなたに伝えたいことがあるようです。」


アリアがそう告げると、彼女の背後に、穏やかな笑みを浮かべた老人の姿が現れた。その声は、アリアを通してエリオットに直接語りかけるようだった。


「エリオット、よく来たね。私は、あなたの守護霊だ。あなたは、過去に大きな決断を迫られた経験がある。その決断は、あなたの人生に大きな影響を与えた。しかし、あなたは常に正しい道を選んできた。これからも、その信念を貫いてほしい。」


守護霊の言葉に、エリオットは驚きと感動の表情を浮かべた。


「ありがとうございます、守護霊様。」


「エリオットさん、あなたの指導霊も、あなたにメッセージを送りたいようです。」


アリアが再び告げると、今度は、凛とした雰囲気の女性の姿が現れた。


「エリオット、私はあなたの指導霊です。あなたは、これから大きな転機を迎えるでしょう。それは、あなたにとって良い方向へと導くものとなるはずです。恐れずに、その波に乗ってください。」


指導霊の言葉に、エリオットは決意を新たにした。


「ありがとうございます、指導霊様。」


「エリオットさん、あなたに縁のある天国の住人からも、メッセージが届いています。」


アリアがそう言うと、幼い少女の姿が現れた。


「エリオットお兄様、いつも見守っています。お兄様の笑顔が、私の幸せです。」


少女の言葉に、エリオットは目頭を熱くした。


「ありがとう、エマ。私も、あなたのことを忘れない。」


アリアは、エリオットの手を握ったまま、彼の過去や未来、そして王宮の秘密に関する情報を、彼の魂が宿る光の玉を通して伝えた。


「エリオットさん、あなたの未来は、あなたの過去と深く関わっています。あなたは、これから大きな転機を迎えるでしょう。それは、あなたにとって良い方向へと導くものとなるはずです。そして、王宮の秘密は、あなたの過去と深く関わっています。それは、あなたにとって重要な意味を持つでしょう。でも、今はまだ、その時ではないようです。時が来れば、あなたは真実を知ることになるでしょう。」


アリアがゆっくりと目を開けると、エリオットの手をそっと離した。


「ありがとうございます、アリアさん。なんだか、心が軽くなりました。」


「それは良かったです。他に何か気になることはありますか?」


「実は、王宮の秘密について、何か分かることはないかと思いまして。」


エリオットは、少し躊躇いがちに尋ねた。


アリアは、少し考えた後、優しく微笑みながら答えた。


「そうですね…私のおばあ様がよく言っていたのですが、『焦らず、時の流れに身を任せなさい』と。東洋の哲学では、『時が満ちれば、自然と道は開ける』と考えるのです。今はまだ、王宮の秘密が明らかになる時ではないのかもしれません。無理に探ろうとせず、日々の行いを丁寧に重ねていくことで、自ずと真実が見えてくるのではないでしょうか。」


アリアは、エリオットの目をまっすぐ見つめて続けた。


「『急がば回れ』という言葉もあります。時には、立ち止まって周りを見渡すことも大切です。焦って進むよりも、じっくりと時間をかけて準備をした方が、結果的に早く目的地にたどり着くこともあるのです。エリオットさんの未来は、きっと素晴らしいものになるでしょう。焦らず、ゆっくりと進んでいってくださいね。」


エリオットは、アリアの言葉をじっくりと噛み締めるように聞いていた。


「ありがとうございます、アリアさん。今日の占いのことは、誰にも話さないでいただけますか?」


「もちろんです。占い師として、お客様の秘密を守ることは当然ですから。」


アリアの言葉に、エリオットは安堵の表情を浮かべた。


「ありがとうございます。また、来てもよろしいですか?」


「ええ、いつでもお待ちしています。」


エリオットが占い処を後にすると、アリアは少し考え込んだ。


(エリオットさんは、王宮の秘密について何か知っているのかもしれない。彼の過去と王宮の秘密がどのように関わっているのか、気になるわね。)


その時、扉が再び開き、いつもの常連客である中年女性が入ってきた。


「こんにちは、アリアさん。ちょっとお茶でもと思って。」


女性は、にこやかにアリアに声をかけた。アリアも笑顔で応じる。


「いらっしゃいませ、奥様。どうぞ、お座りください。」


二人は小さな世間話をした後、女性はふと思い出したように言った。


「そういえば先生、最近、先生の占いが本当に当たると評判になっているみたいですよ。この間、知り合いが先生に占ってもらったって言ってて、『まるで、心を見透かされているみたいだった』って驚いていましたわ。『普通の占い師とは違う、特別な力があるんじゃないかって思う』って。」


女性は、興味深そうにアリアを見つめた。


アリアは、微笑みながら答えた。


「皆様のおかげです。ただ、少しでもお役に立てればと思っております。」


(特別な力…そうかもしれません。これは、王家の血の力なのかもしれない…)


アリアは、内心でそう思いながらも、表面には出さなかった。


夕暮れ時、占い処を訪れたのは、見るからに疲れ切った様子の老婦人だった。彼女は、皴の刻まれた顔に深い悲しみを湛え、アリアの前に静かに腰を下ろした。


「先生、私は…私は、ずっと昔に犯した過ちに、今もなお苦しんでいます。」


老婦人の声は、震えていた。アリアは、彼女の生年月日をそっと尋ね、心の中で命占を始めた。 すると、老婦人の過去が、薄暗い灰色と、微かな赤い光の玉として視覚的に現れた。


「あなたは…あなたは、かつて王宮に仕えていましたね?」


アリアが尋ねると、老婦人は目を見開き、驚愕の表情を浮かべた。


「どうして、それを…?」


「あなたの魂に宿る光の玉が、そう教えてくれています。あなたは、王宮で禁忌とされていた古代魔法の研究に関わっていた。そして、その研究が、悲劇的な結末を迎えたことを、今も深く後悔している。」


アリアの言葉に、老婦人は涙を流し始めた。


「そうです…そうです、私が…私が、あの研究に…。」


老婦人は、途切れ途切れに過去を語り始めた。彼女は、王宮の魔法研究機関に所属し、古代魔法の研究に携わっていた。しかし、研究は失敗に終わり、多くの犠牲者を出してしまった。


「私は…私は、あの時、研究を止めるべきだった。でも、私は…私は、欲に目が眩んで…。」


老婦人は、自責の念に駆られ、声を詰まらせた。アリアは、彼女の肩にそっと手を置いた。


「あなたは、もう十分に苦しみました。過去の過ちを悔い、償おうとしているあなたの心は、光を取り戻し始めています。どうか、自分を許してあげてください。」


アリアがそう言うと、老婦人の周りに、微かな希望の光が灯り始めた。


「ありがとうございます…先生。あなたのおかげで、私は…私は、やっと前に進めそうです。」


老婦人は、涙を拭い、アリアに深く感謝の意を示した。


老婦人が占い処を後にすると、アリアは空を見上げた。 夕焼け空は、赤とオレンジの美しいグラデーションを描いていた。


(過去の過ち…古代魔法の研究…。そして、常連のお客様の言葉…)


アリアは、老婦人の話と、エリオットの言葉、そして常連客の言葉を思い返した。


(王宮の秘密は、私の過去と深く関わっている。そして、それは、私にとって重要な意味を持つ…。私の力は、やはり…)


アリアは、自身の過去と向き合い、真実を解き明かすことを改めて決意した。そして、自身の持つ不思議な力について、改めて意識を向け始めた。


占い処の評判は、街中に広まり、様々な人々が訪れるようになる。 占い処は、街の人々の憩いの場、心の拠り所となっていた。


アリアは、占い師としての仕事を通して、人々の心に寄り添い、癒しを与えていた。


「先生、ありがとうございました。先生のおかげで、前向きに生きられそうです。」


相談者の笑顔が、アリアの心を温かくする。


「私も、あなたの笑顔を見ることができて嬉しいです。あなたは、きっと幸せになれます。」


アリアは、心からそう願った。


占い処の灯りは、今日もまた、人々の心を温かく照らし続けていた。




15話:終わり

<登場人物>


* アリア: 街の片隅に佇む占い処の女主人。神秘的な力で人々の悩みや過去、未来を見通す。


* エリオット: 王宮の書記官。アリアの占いに興味を持ち、個人詳細鑑定を依頼する。


* ソフィア: エリオットの亡くなった妹。アリアのスピリチュアル鑑定で登場する。


* エリオットの守護霊: エリオットを見守る存在。アリアのスピリチュアル鑑定で登場する。


* エリオットの指導霊: エリオットを導く存在。アリアのスピリチュアル鑑定で登場する。


* 老婦人: 過去の過ちを悔い、アリアの元を訪れる。かつて王宮に仕えていた。



<読者の皆様へ>


15話では、アリアの占い処を舞台に、過去と未来が交錯する物語が展開されます。エリオットの個人詳細鑑定では、彼の過去や未来、そして王宮の秘密が明らかになります。また、過去の過ちに苦しむ老婦人の訪問も、物語に深みを与えます。アリアの言葉や行動を通して、読者の皆様が何かを感じ、考えるきっかけとなれば幸いです。


✦✦✦✦✦

*ポイント評価(☆)・リアクション(絵文字)・感想・イチオシレビュー全て受付けしております。

*特にポイント評価☆•リアクション(絵文字)ブックマークしていただけると、とても嬉しいです。よろしくお願いします。

✦✦✦✦✦

※このお話の舞台はヨーロッパ風異世界であり、現実世界の歴史とは一切関わりありません。

作中に出てくる 国・文化・習慣・宗教・風俗・医療・政治等は全てフィクションであり、架空のものです。

あくまで創作上の設定としてお楽しみいただけますと幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ