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私が占い師になった理由。  作者: 月灯
第二章 王宮編Ⅰ
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14話 実験室の秘密と過去の記憶

日記から得た情報を元に、アリアは再び王宮を訪れ、地下迷宮へと潜入した。

人気のない古びた貯蔵庫に忍び込み、地図を頼りに秘密の回廊への入り口を探す。

昼間だというのに薄暗く、ひんやりとした空気が漂う貯蔵庫の奥で、アリアは隠された扉を見つけた。


扉を開けると、そこには予想通り、秘密の回廊が広がっていた。

長い年月を経て埃を被り、壁には蜘蛛の巣が張り巡らされた回廊を、アリアは足音を立てないように慎重に進む。


(この先に、私の過去に繋がる真実がある……)


アリアは、胸の高鳴りを抑えながら、回廊の奥へと進んだ。

回廊の先には重厚な扉があり、扉の向こうからは微かな光が漏れていた。息を潜めて扉を開けると、そこは古びた実験室だった。

魔法陣が描かれた床、錬金術の道具、そして大量の古文書や研究資料が散乱している。埃っぽい空気と、古びた金属の匂いが、長い年月を経て使われていないことを物語っていた。


アリアは資料を手に取り、古代魔法の研究内容や実験の目的を探る。資料を読み進めるうちに、王宮が禁忌とされている古代魔法の研究を秘密裏に行っていたこと、そしてその研究にはアリア自身の家族も関わっていた可能性を知る。


(私の家族が……なぜ?)


アリアは、衝撃と困惑で胸がいっぱいになった。過去の記憶の断片が脳裏をよぎり、アリアは自身の過去と古代魔法の繋がりを強く感じた。

資料を読み耽っていると、背後から優しい声が聞こえた。


「アリアさん、こんなところで何をなさっているのですか?」


声の主は、エレノアだった。彼女は、優雅なティーセットを手に、微笑みを浮かべていた。


「エレノアさん……」


アリアは、驚きと安堵の表情を浮かべた。


「少し、気になることがあって……」


アリアは、エレノアに実験室で見つけた資料を見せ、古代魔法の研究について説明した。


エレノアは、アリアの話を真剣に聞き、静かに頷いた。


「やはり、王宮は……」


エレノアは、何かを知っているようだったが、言葉を濁した。


「エレノアさん、何かご存知なのですか?」


アリアが尋ねると、エレノアは少し考え込んだ後、口を開いた。


「……王宮には、触れてはならない過去があるのです。そして、それは、アリアさんの過去とも深く関わっている……」


エレノアの言葉に、アリアは息を呑んだ。


「私の過去と……?」


「ええ。ですが、今はまだ、何もお話できません。もう少し、時が来たら……」


エレノアは、そう言い残し、優雅に微笑んだ。


「……そうですか」


アリアは、エレノアの言葉に戸惑いながらも、それ以上は何も聞けなかった。


「さて、こんな話は置いておいて、午後の紅茶を楽しみましょう」


エレノアは、そう言ってティーセットを広げ、紅茶を淹れ始めた。実験室の一角に、午後の紅茶の香りが広がる。アリアは、エレノアと向かい合い、紅茶を飲みながら、他愛もない会話を楽しんだ。


「アリアさんは、紅茶に何を入れますか?私は、いつも蜂蜜を入れるんです。甘いものが好きで」


エレノアは、楽しそうに話す。


「私は、レモンが好きです。少し酸味が加わるのが、気分転換になるんです」


アリアも、笑顔で答える。


「あら、素敵ですね。今度、レモンティーを淹れてあげますわ」


エレノアは、そう言うと、楽しそうに笑った。


束の間の休息。アリアは、エレノアとの会話を通して、心を落ち着かせ、再び調査へと向かう力を得た。


(エレノアさんは、何かを知っている。いつか、話してくれる時が来るのだろうか……)


アリアは、紅茶を飲みながら、エレノアの言葉を反芻した。そして、自身の過去と向き合い、真実を解き明かすことを改めて決意した。


午後の紅茶の温かさが、アリアの冷えた心を優しく包み込んだ。


エレノアさんを見送り、実験室に戻ると、ルシウスとユリウスが立っていた。


「アリア様、このような場所で何をなさっているのですか?」


ルシウスは、冷たい声で尋ねた。


「少し、気になることがあって……」


アリアは、平静を装いながら答えた。


「ここは、王宮の重要な施設です。許可なく立ち入ることは許されません」


ルシウスは、アリアに近づき、資料を取り上げようとした。


「なぜ、そこまでして隠そうとするのですか?何か、隠していることがあるのでしょう?」


アリアは、ルシウスの目をじっと見つめ、問い詰めた。


「誤解です、アリア様。私はただ、王宮の秘密を守りたいだけです」


ルシウスは、そう言い残し、ユリウスと共に実験室を後にした。


(やはり、何かを隠している……)


アリアは、ルシウスの態度から、彼らが何かを隠していると確信した。そして、その秘密を解き明かすために、さらに調査を進めることを決意した。


実験室に一人残されたアリアは、再び資料を読み始めた。


すると、一匹の猫が実験室に迷い込んできた。猫は、アリアの足元に擦り寄り、甘えるように鳴いた。アリアは、猫を抱き上げ、優しく撫でた。


「どうしたの?迷子になっちゃったのかな?」


アリアは、猫に話しかけながら、実験室の中を歩き回った。すると、猫は、ある場所で立ち止まり、じっと見つめた。

アリアが猫の視線の先を見ると、そこには隠し扉があった。


(まさか……)


アリアは、隠し扉を開け、中へと入った。そこは、実験室よりもさらに奥にある、秘密の部屋だった。


部屋の中央には、巨大な水晶が安置されていた。水晶は、微かに光を放ち、神秘的な雰囲気を醸し出していた。


(これが、古代の怨念……?)


アリアは、水晶に近づき、手を伸ばした。すると、水晶が眩い光を放ち、アリアの意識は過去の光景へと引き込まれた。


過去の記憶が、鮮明にアリアの脳裏に流れ込んでくる。

それは、古代魔法の実験の光景だった。

実験は、多くの犠牲者を出し、悲劇的な結末を迎えた。そして、その失敗を隠蔽するため、王宮は事件に関する全ての記録を抹消した。


(これが、真実……)


アリアは、過去の記憶を通して、真実を知った。そして、自身の過去と向き合い、真実を解き明かすことを決意した。


意識が現実に戻ると、猫はアリアの足元に擦り寄り、心配そうに鳴いていた。


「ありがとう、あなたのおかげで、真実に近づけたわ」


アリアは、猫に感謝の言葉を伝え、再び調査へと向かった。


秘密の部屋を出て実験室に戻ると、先程の猫はいなくなっていた。アリアは、実験室に残された資料を再度確認し、過去の記憶と照らし合わせた。


(この水晶は、古代の怨念を封印しているだけでなく、過去の記憶を映し出す力も持っているのかもしれない)


アリアは、水晶の力について考えを巡らせた。そして、この水晶が、自身の過去を解き明かす鍵になるかもしれないと感じた。


実験室での調査を終えたアリアは、秘密の部屋で見た過去の記憶について、エレノアやエリオットに話すことを決めた。彼らの力を借りれば、さらに真実に近づけるかもしれない。

アリアは、実験室を後にし、エレノアとエリオットを探しに向かった。


その日の夜、アリアは手作りのお菓子を携え、エレノアとエリオットの住む寮を訪れた。


「こんばんは、お二人とも。少しお話したいことがあって、お菓子を作ってきたんです」


「まあ、アリアさん。ありがとうございます。ちょうど小腹が空いていたところですわ」


エレノアは、嬉しそうにお菓子を受け取る。


「アリア様の手作りですか。それは楽しみですね。ありがとうございます。」


エリオットも、穏やかな笑みを浮かべお菓子を受け取った。


アリアは、お菓子をテーブルに並べ、三人で紅茶を飲みながら、実験室で見た過去の記憶について話した。


「私が水晶に触れた時、過去の記憶を見たんです。それは、古代魔法の実験の光景でした。そして、私の家族もその実験に関わっていたことを知りました」


アリアがそう話すと、エレノアとエリオットは真剣な表情になった。


「やはり、アリアさんの過去は、王宮の秘密と深く関わっているのですね」


エレノアは、静かに言った。


「はい。私は、真実を知りたい。そして、私の家族の無念を晴らしたいんです」


アリアは、強い決意を込めて言った。


「アリア様の気持ちは、よく分かります。私も、微力ながら協力させてください。」


エリオットは、静かに、しかし力強く言った。


アリアは、二人の言葉に感謝し、共に真実を解き明かすことを誓った。



夜は更け、アリアは自分の部屋に戻った。


今日得た情報を整理し、今後の調査計画を立てるためだ。


(過去の記憶、水晶の力、そして王宮の秘密……。全てが複雑に絡み合っている。でも、私は諦めない。必ず真実を突き止める)


アリアは、そう心に誓い、静かに目を閉じた。




14話:終わり



〈登場人物〉


* アリア:主人公。王宮の地下迷宮に潜入し、古代魔法の研究資料を発見する。


* エレノア:王宮に仕える女性。アリアに情報を提供し、協力する。


*ルシウス:アルベール家の当主。アリアの行動を警戒し、制止しようとする。


*ユリウス:ルシウスと共にアリアの前に現れる。


猫:実験室に迷い込み、アリアを秘密の部屋へと導く。


*エリオット:王宮の書記官。夜会で知り合い、アリアに地下の地図を提供。その後アリアに協力している。


〈読者の皆様へ〉


皆様のおかげで、14話まで辿り着けました。

ありがとうございます。

これからもアリアと共にワクワクしながら進めていきたいと思います。

今後ともよろしくお願いします。


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※このお話の舞台はヨーロッパ風異世界であり、現実世界の歴史とは一切関わりありません。

作中に出てくる 国・文化・習慣・宗教・風俗・医療・政治等は全てフィクションであり、架空のものです。

あくまで創作上の設定としてお楽しみいただけますと幸いです。

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