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私が占い師になった理由。  作者: 月灯
第二章 王宮編Ⅰ
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13話 書斎の秘密


月の光が静かにアルベール家の書斎を照らし出す。古びたオーク材の机の上には、開かれた羊皮紙の日記が置かれていた。

アリアは、その日記に刻まれた複雑な暗号を前に、細い眉をひそめていた。


書斎は、アルベール家の歴史を感じさせる重厚な空間だった。壁一面に並ぶ書棚には、様々な時代の書物が整然と収められている。机の上には、インク壺や羽ペン、そして天体図や魔法に関する書物が広げられていた。窓の外には、静かな庭園が広がり、月の光が木々を優しく照らしていた。


日記の羊皮紙は、長い年月を経て黄ばみ、所々にシミが浮かんでいた。暗号は、古代文字や魔法記号、そして占星術の記号などが複雑に組み合わされており、一見しただけでは意味を理解することができなかった。


「やはり、この日記に鍵があるのね……」


アリアは、前世で培った知識と占いの技術を駆使して暗号解読を試みるが、その複雑さに苦戦していた。


(こんなに複雑な暗号、どうすれば……)


アリアは焦りと不安を感じ始めた。ヴィクトルの日記に隠された秘密を解き明かしたい。しかし、暗号解読は難航し、時間だけが過ぎていく。


「これは……ただの暗号じゃない。古代の魔法と占いの知識が組み込まれているわ」


以前アルベール家を訪れた際、この私設図書館には古代文明を専門とする学者がいるとマーガレット夫人から聞いていた。その際、夫人からアルベール家の中を自由に移動する許可もいただいている。


アリアは一人での解読を諦め、アルベール家内の私設図書館へと向かった。廊下を抜け、中庭を横切り、図書館へと向かう間もアリアは警戒を怠らなかった。アルベール家の中は広大であり、どこで誰に見られているかわからないからだ。


アルベール家内の私設図書館は、昼間の喧騒が嘘のように静まり返っていた。高い天井まで届く書架には、様々な時代の貴重な文献がずらりと並び、まるで知識の海にいるかのようだった。


「学者様、この暗号の解読にご協力いただけませんか?」


アリアは日記と暗号について説明し、学者の協力を求めた。学者は興味を示し、快く引き受けてくれた。


「これは興味深い暗号ですね。古代文明の象徴と、高度な術式が組み合わさっている。解読には時間がかかりそうですが、私にも協力させてください」


学者と共に暗号解読を始めたアリア。学者は古代文明の知識を、アリアは占いの知識を活かし、少しずつ暗号を解読していく。しかし、暗号は複雑で、二人の知識を合わせても、まだ一部しか解読できなかった。


「この記号は、古代文明で使われていた魔法陣の一部ですね。そして、この文字は……」


学者は古代文字の解読に集中し、アリアは占星術の記号を解読していた。


『王宮の地下……古代の……怨念……』


断片的な言葉から、王宮の地下に何か危険なものが封印されていることが伺える。さらに、アルベール家が古代文明と深く関わっていたことも示唆されていた。


「ヴィクトル様は、一体何を研究していたのかしら……」


アリアが日記に集中していると、背後から冷たい声が響いた。


「アリア様、このような時間にここで何を?」


ルシウスが書斎に現れた。彼はアリアと学者が日記を調べていることに気づき、鋭い視線を向ける。


「少し、気になることがあって……」


アリアは日記を隠し、平静を装う。


「この書斎はアルベール家の重要な記録を保管している場所です。許可なく立ち入ることは許されません」


ルシウスはアリアたちに近づき、日記を取り上げようとする。


「なぜ、そこまで日記を隠そうとするのですか?何か、隠していることがあるのでしょう?」


アリアはルシウスの目をじっと見つめ、問い詰めた。ルシウスは一瞬言葉に詰まったが、すぐに冷静さを取り戻す。


「誤解です、アリア様。私はただ、アルベール家の秘密を守りたいだけです」


「秘密……?それは、王宮や古代の怨念に関わる秘密ですか?」


アリアの言葉に、ルシウスは明らかに動揺した。彼の瞳がわずかに揺れ、口元が引き締まる。


「アリア様、これ以上は……」


ルシウスは何かを言いかけたが、言葉を飲み込んだ。アリアはルシウスの態度から、彼が日記の内容を隠蔽しようとしていると確信する。


(ルシウス様は、何かを知っている。彼の行動をよく見ていれば、何かが見えてくるはず)


アリアはルシウスの警戒心、言葉遣い、視線の動き……それら全てを注意深く観察した。


(昔、おばあ様が言っていた。『人の心は、行動に現れる』と。ルシウス様の行動をよく見ていれば、きっと何かが見えてくるはず)


アリアはルシウスの行動を観察し、日記の謎を解き明かす手がかりを掴もうとしていた。


「ルシウス様、私は真実を知りたい。あなた様が隠していることも、全て……」


アリアはルシウスに告げ、学者と共に書斎を後にした。


アリアは過去のトラウマから、他者を信じることへの葛藤を感じていた。特に、ルシウスのような外面の良い人物に対しては、警戒心が拭えない。


(ルシウス様は、一体何を隠しているのだろうか……)


アリアは、ルシウスの真意を見極め、日記の謎を解き明かすことを心に誓った。そして、王宮の地下の怨念について、日記からさらに詳しい情報を得ようと、暗号解読に再び挑むのだった。



13話 終わり


〈登場人物〉


* アリア:主人公。異世界に転生した元日本人。占いの力と前世の知識を活かし、アルベール家の秘密を解き明かそうとする。


* ルシウス:アルベール家の長男。アリアの行動を警戒し、日記の内容を隠蔽しようとする。


* 学者:アルベール家に出入りを許されている古代文明に詳しい学者。アリアに協力し、暗号解読に取り組む。



〈読者の皆様へ〉


いつも応援ありがとうございます。

13話では、アリアがアルベール家の書斎で発見した日記の暗号解読に挑みます。

ルシウスとの対峙を通して、物語の核心に迫っていきます。

アリアの過去やアルベール家の秘密、そして王宮に隠された古代の怨念など、物語はますます深みを増していきます。

今後の展開にもご期待ください。


✦✦✦✦✦

*ポイント評価(☆)・リアクション(絵文字)・感想・イチオシレビュー全て受付けしております。

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✦✦✦✦✦


※このお話の舞台はヨーロッパ風異世界であり、現実世界の歴史とは一切関わりありません。

作中に出てくる 国・文化・習慣・宗教・風俗・医療・政治等は全てフィクションであり、架空のものです。

あくまで創作上の設定としてお楽しみいただけますと幸いです。

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