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私が占い師になった理由。  作者: 月灯
第一章 序章
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9話 祭りの後の静けさと、王宮への決意

祭りの喧騒が嘘のように、王都には静寂が訪れていた。

アリアは占い師の仕事に戻り、穏やかな日々を過ごしていた。

しかし、その心はセシリアとの再会、そして彼女から聞いた衝撃的な過去の話に深く囚われていた。


「まさか、私の故郷があの古代魔法の実験場だったなんて……」


カフェでセシリアと向き合い、幼い頃の思い出を語り合うアリア。ミストラル村で共に過ごした日々、突然の別れ。懐かしい記憶が、胸に鮮やかに蘇る。


「ねえ、アリア。覚えてる?私たちがよく遊んだ秘密基地。」


セシリアが目を細め、遠い記憶を辿るように言った。


「もちろん。あそこで、いつも冒険ごっこをしたわね。」


アリアもまた、幼い頃の無邪気な日々に思いを馳せていた。


(あの頃は、ただただ楽しかった……)


しかし、セシリアとの会話は、アリアに過去の真実を解き明かす強い決意を抱かせた。


「セシリア、教えてくれてありがとう。私は、自分の過去を知りたい。そして、家族の無念を晴らす。」


アリアは、感謝の気持ちと共に、静かに、しかし確固たる決意を伝えた。


「アリア……。あなたは本当に強いわ。私にできることがあれば、何でも言って。」


セシリアは、アリアの瞳に宿る光を見て、心を動かされたように言った。


王宮が古代魔法の力を独占しようとしている可能性、そして自身の家族がその研究に関わっていたかもしれない事実。アリアは、危険を冒してでも王宮に潜入し、全ての真相を明らかにする覚悟を決めた。


(王宮に潜入するためには、入念な準備が必要だわ。)


アリアは、セシリアに協力を依頼し、王宮内部の情報を集めた。


「アリア、くれぐれも気をつけて。王宮は危険な場所よ。私たちの想像をはるかに超える闇を抱えているわ。」


セシリアは、深い憂慮の色を浮かべ、アリアの目をじっと見つめた。


「ありがとう、セシリア。あなたの気持ちは嬉しい。でも、私はもう迷わない。必ず、真実を突き止める。そして、この国を、あなたを守ってみせる。」


アリアは、セシリアの手にそっと自分の手を重ね、力強く微笑んだ。その瞳には、揺るぎない決意と、セシリアへの深い愛情が宿っていた。


そして、王宮潜入のための準備が始まった。情報収集、変装、護身術の訓練。入念な準備が、静かに、しかし着実に進められた。


東の空が白み始めた頃、アリアは人気のない裏路地に立っていた。昨夜の雨が残した石畳の跡、ひっそりと開く裏通りの扉、朝露に濡れる草木の匂い、冷たい早朝の空気が、彼女の頬を撫でる。


(確か、こうだったはず……)


幼い頃、男の子たちに混じって騎士に護身術を教わった記憶。面白半分で始めた訓練が、今、必要とされている。


アリアは、記憶を頼りに体捌きを試みるが、思うように体が動かない。焦りが心を乱す。


「大事なのは、相手の力を利用し、隙を見て逃げることだ。」


騎士の言葉が脳裏に響く。アリアは、相手の攻撃を紙一重でかわし、体勢を崩す練習を繰り返した。風を切る音、荒い息遣いだけが、静かな裏路地に響く。


「くっ……!」


何度目かの挑戦で、ようやく相手の体勢を崩すことに成功する。しかし、それはまだぎこちなく、実戦で通用するかは分からない。


(もっと速く、正確に……!)


アリアは、幼い頃の記憶を頼りに、騎士の動きを思い出し、反復練習を繰り返した。


(時間がない。もっと早く……!)


そして、王宮の夜会に紛れ込むための準備も同時に進めていた。人気のない部屋で、アリアは鏡に向かって立っていた。


手には、セシリアから借りた豪華なドレス。


「まさか、私がこんなものを着る日が来るなんて……」


ドレスを身にまとい、慣れない手つきで髪をセットし、化粧を施す。


鏡に映る自分の姿は、見慣れないほど美しく、まるで別人だった。


(これなら、王宮の夜会に紛れ込めるかもしれない……)


しかし、問題は立ち居振る舞いだった。アリアは、セシリアから借りた夜会のマナー書を読み込み、優雅な歩き方、挨拶、会話術を練習した。


「淑女とは、常に優雅でなければならない……」


本に書かれた言葉を繰り返し呟きながら、ぎこちない足取りで部屋を歩き回る。


焦燥感を押し殺し、集中力を研ぎ澄ますアリア。その瞳には、過去への不安と、未来への決意が宿っていた。




(9話:終わり)

〈登場人物〉


* アリア:主人公。占い師として生計を立てながら、自身の過去と家族の謎を追う。セシリアとの再会をきっかけに、王宮への潜入を決意する。


* セシリア:アリアの幼馴染。王宮に勤めており、アリアに情報を提供する。アリアの過去について何かを知っている様子。


* その他、カフェの店員や街の人々など、背景となる人物が登場します。


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※このお話の舞台はヨーロッパ風異世界であり、現実世界の歴史とは一切関わりありません。

作中に出てくる 国・文化・習慣・宗教・風俗・医療・政治等は全てフィクションであり、架空のものです。

あくまで創作上の設定としてお楽しみいただけますと幸いです。

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