学園のまにまに十一話1
知らぬ間に外はだいぶん涼しくなっていた。夏休みも終わり学校に慣れてきた、そんな時期である。
街路樹は赤く色づきはじめ半袖では若干寒い。
「そろそろ文化祭だねぇ」
超常現象大好き部の部室で日高サキは窓から外を眺めていた。衣替えで夏服から冬服の制服に移行期間中である。日高サキは寒がりなのかもう冬服を着ていた。
「そうね。去年はオカルト系の展示して大繁盛だったけど今年はどうするの?」
日高サキの隣にいた時野アヤが部長である俊也を仰いだ。時野アヤは長袖シャツに夏服といういかにも移行期間中な服装だった。
「うーん……こないだのゲーム大会ジャパゴ祭りの展示じゃなんか変か」
俊也は冗談を言いつつ笑った。
ちなみに夏休みの間にゲーム大会ジャパゴ祭りに参加していた。練習の甲斐あって準優勝。特に日高サキと妹のサヨが強く圧勝で時野アヤは辛勝、そして俊也は僅差で負けた。
あんなに練習したのにゲームは奥が深い。去年のような混乱はなく、単純に楽しかった。
「おにぃ、最近おにぃがこそこそやってる神を見るツアーやれば?」
机にカエルのぬいぐるみ、ごぼうちゃんを乗せ、アイテムを持たせハロウィン化させていた妹のサヨが最近俊也がこそこそやっている事を持ち出してきた。
「さ、サヨ……それはヤバいって……」
俊也は冷や汗をかきながら否定した。ちなみにサヨはバリバリの半袖、夏服である。寒くないのか?
「そういえばー、文化祭の前に神社でオータムフェスやるみたいだよー。ほれ」
サヨが何やらロックなチラシを出してきた。
星やらなんやらを散りばめたデザインに音楽フェスの文字。アーティストが力強く歌う感じのコラージュとアーティスト達の名前。
「秋の音楽の祭典……?ちょっ……神社でロック歌う人いるの!?」
俊也はまじまじとチラシを眺めて驚いた。
けっこう名の通った歌手も来るらしい。
「無料らしいよ!タダ!チラ見しに行こーよ!!あ、ほら文化祭のネタ探しになるかもだし。ガチアゲじゃん!アゲアゲー!」
サヨは親指を立ててアゲアゲに振っている。
「へぇー!ジャパゴの主題歌歌ってる歌手も来るじゃないかい!フフフッ!」
日高サキはとても楽しそうに笑っていた。
「で?行くことにするのかしら?チケットは……まだ大丈夫みたいね」
時野アヤがスケジュール帳を眺め、スマートフォンでチケットの有無を調べてから俊也に尋ねた。
意外にノリノリらしい。
「う、うん。皆が行きたいなら行こうか。興味あるし、ほんとに文化祭でなんか使えるかもだし」
俊也の答えに日高サキ、サヨが主に嬉々とした声をあげて喜んでいた。
「来週の土曜日ね。あけておくわ」
時野アヤもチラシで予定を確認して軽く微笑んだ。
こうして神社でやるらしいライブに皆で行くことにした。




