表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旧作(2016〜2024完結)「TOKIの神秘録」望月と闇の物語  作者: ごぼうかえる
オムニバス4「TOKIの世界書抜粋」暗殺少女と蒼眼の鷹(鈴と更夜の過去)
103/208

暗殺少女と蒼眼の鷹 三話

 屋敷内はきれいに掃除されていた。(きし)む音がする木の廊下を歩きながら物の場所を確認する。

 ここは廊下の両側に障子で仕切られた部屋が多数ある。これのうち、どれかが蛇と鷹の部屋。

 まずは内部調査からやっていかなければならないね。

 少し歩いた所で気配がした。私は振り返りたいところを堪えて気がつかないふりをする。

 「あなたが新入り?」

 声をかけてきたのは女だ。振り返るときれいな着物を着ているきつい顔の女が立っていた。

 「え……えっと……。私はどうすればよろしいでしょうか……。」

 私はわざと戸惑った声をあげる。演技には自信がある。私は何度もこういう潜入をして人を殺してきた。もう今更、なんとも思わないけど。

 「こっちにきなさい。」

 女は冷徹な笑みをこちらに向けている。

 ……ああ、なるほど。この女はいやがらせ、もしくはいじめの達人だね。

 私はわかっていたがあえて従い女の元へ向かう。

 女は私の手を引いて歩き出した。手を握る力の強さ、引っ張り方でこの女が今、どういう気持ちなのかなんとなくわかった。

 単純に遊び道具が来たとしか思っていないね。

 私は呆れたが顔には出さずに従う。

 女は男達が住んでいる部屋から少し離れた部屋の前で止まった。中から女の声がする。

 ここは女部屋らしい。

 女が障子をそっと開ける。

 「ねぇ、見て。こーんなみすぼらしい子が入ってきたわ。」

 女がひどい言葉で私を紹介する。女部屋には沢山の女がいた。座る場所がないくらいだ。そして化粧や香の匂いだろうか、艶やかな匂いがする。

 ……夜は男の部屋に行っているから寝る部屋がなくてもいいのかな。

 私がそんなくだらない事を考えた時、女達の過激ないじめは始まっていた。

 「ねぇ、あなた、男に対するご奉仕の仕方知っている?」

 女の内の一人が私に詰め寄ってくる。いやらしい笑みを浮かべて化粧の濃い顔で近づいてくる。

 「知りません……。お姉さま。」

 「障子戸をいきなり開けてね、お水を盃に入れてあげるのよ。それでね……。」

 ……この女は私に恥をかかせるつもりだね。男の奉仕の仕方はある程度知っている。

 無茶苦茶言ってるけどなかなかおもしろいよ。お姉さん。

 「そうなのですか。参考にいたします。」

 私は無邪気な笑みを女に向ける。女は満足そうに頷いた。

 「あ、そうだ。ねぇ、この子、今日、栄次様付きにしてみない?」

 「あはは! それいい!」

 一人の女の意見に他の女達は笑いと共に騒ぎ出した。

 ……栄次様?

 「じゃあ、あんた、今日栄次様ね。」

 女は急にそっけなくそして冷たい目で私に命令をした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ