表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/72

実地研修③

今回のクレイの衣服についての記載を忘れていたので、②を少し追記しました。

3階層に入り、再び通路を進んでいく。

魔光石――だっただろうか――が辺りを薄暗く照らし、多少うねった通路だ。


しばらく歩き、扉が見えた。

年期のある木製の扉、派手ではないが、かなりしっかりした作りだ。


教師がドアノブに手をかける。


「こういう事を言うのは不謹慎かもしれませんが……面白いものが見れますよ」


そう言って開けた先は、木製の壁に覆われた部屋だった。

そこには空になった棚、隅に寄せられた机や椅子、魔法の陣を書くためであろう板が数枚壁に立てかけられている。

どれも使われている様子は無く、ホコリまみれだ。


そんな部屋の様子に一人の生徒が気付いた。


「ここって……教室……ですか?」

「そうです、ここは取り壊された旧校舎地下1階の魔法実習室の1つです」


――地下1階?しかしここは……


「でもここはダンジョンの3階層目ですよ!?」

「そこがダンジョンの不思議なところなのです。ダンジョンが地表とこの教室の間に発生し、ダンジョンの持つ空間の()()が本来地下1階分の距離がここまで広げている……と考えらています」


それは初耳だ。

今までダンジョンに対しては攻略(主に経路)に思考を巡らせることはあっても、ダンジョンそのものに対して疑問を抱くことは無かった。

ダンジョンに入ってから、ここまでそこそこの距離を移動してきたが、ダンジョンの外から見れば地下1階分の距離しかなかった、という事になる。

もしかすると自分の剣のあった部屋も……。


「何故ダンジョンが発生するのか?これらについては『神が人間に与えた試練』や『悪魔がこの世界に侵攻した際、世界にかけた呪い』等、様々な説が唱えらており――」


他に一通りの説明を終えた教師がポンと手を叩く。


「はい、このダンジョンはここで終点です。元来た道を戻り、ダンジョンを出れば終わりです。もう一息ですから頑張りましょう」


ここで終わりなのか。

教室内を見渡すと確かにこの先に続く道は無い様だ。

興味深いところがあったダンジョンではあったが、そこまで深いダンジョンではなかったらしい。


「は?え?終わり?」


今まで珍しく大人しかったアレイヤが驚きの声をあげた。


「リハビリになりそうだから来たのに!一匹も!モンスターが!居ないじゃない!」

「いや、モンスターは居ないって……」


ダンジョンに入る前、妙にウキウキしてたのはそういう事だったのか。

「ダンジョン」という単語だけ聞いて、ダンジョンに入る=モンスターと戦える――そういう認識でここまで来たようだ。


「くーっ!こんなことなら無理矢理にでも……」


――突然、空気が重くなった。

開いたままの教室のドアからだ。


「アレイヤさん」

「えぇ、何故かは分からないけど……これは()()()わね」


アレイヤも気が付いているようだ。

……こういう事には敏感らしい。


「あの、クレイちゃん……一体何が……」

「リーナ様、ボクの後ろに」

「他の生徒も教師の後ろに居なさい、それとそこの冒険者!アンタ達は前に!」


周囲の人々は訳が分からないという表情をしているが、アレイヤからの指示ということで大人しく従っていく。


「ギャギャ!」


ドアの陰から子供位の影が独特な声をあげながら跳び込んできた。


「ふッ!」


アレイヤが素早く反応し、斬る。


「ギュェッ……」


襲撃者は首を落され、跳び込んだ勢いで後ろの教師や生徒たちの方へ転がっていく。

コツンと教室の壁に当たり止まった首は、ゴブリンのものだった。


「うわぁっ!」

「ひぃっ!」

「ゴブリン!?モンスター!?どうして!?」


今まで一度も娘のダンジョンに現れることの無かったモンスター。

悲鳴をあげる生徒の隣で教師が驚きの声をあげる。


クレイにも原因は分からないが……


「ダンジョンが()()()()()

またしばらくお待ち下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ