表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
身売りっ娘 俺がまとめて面倒見ますっ!  作者: エール
第18章 幻の桃源郷

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

379/381

如月の想い

 日中の陽光を受け、凪いだ海面がキラキラと輝いている。


「やっぱり、海って大きくて、素敵ですね……奥宇奈谷では小さな川しかありませんでしたから。もっとも、その川も小さいとは思っていなかったのですが」


 如月が、自身の緊張をほぐすかのように笑顔でそう話す。

 しかしその笑顔は、やはりどこか作ったもののように見える。

 今、俺と如月は、砂浜で二人きりだ。

 一連の事件による男性恐怖症は、俺が相手でも払拭できているものではない。


「ああ、そうだな……でも、ここに見えている範囲だけでもほんの一部だけで、本当は遙か彼方まで続いているんだ」


 若干、俺もうまく話せていないかも知れない。

 俺でも分かる……彼女が、俺に対してでも警戒感を持っていることが。


「それで……お話しって、何でしょうか?」


 如月の方から、先に切り込んできた。

 俺がどういう判断をしたとしても、それを受け入れる覚悟なのかも知れない。


「その……こんなこというと、ちょっと誤解されるかも知れないけど、俺の正直な気持ちを言うよ。如月には、俺のお嫁さんに加わって欲しいんだ」


 単刀直入にそう言った俺の言葉を聞いて、さすがに如月も目を見開いて驚いた。

 そしてまじまじと俺の目を見つめる。

 如月は、ある程度人の心が読める。俺が本気であることも分かってくれただろう。


「……ありがとうございます、嬉しいです。同情してくれているのかも知れませんが……本気で私なんかとのことを考えてくれているようなので」


「そんな、同情なんか……」


 全くないと言えば、嘘になる。そしてそれは如月には通じない。

 しかしそれでも、俺が本気で嫁に加わって欲しいと思っていることは伝わったと思う。


「……でも、既にお嫁さんになっている方たちは何ておっしゃっているんですか?」


「みんな、納得してくれているよ。如月なら大歓迎だってね」


 これも本当の事だ。俺は前日の内に、今の嫁達全員にその意思を伝えていた。


「ありがとうございます……では、拓也様が本音でそうおっしゃってくださっているので、私も本当の気持ちをお知らせしますね」


 如月はそう言うと、真っ直ぐに俺の目を見つめた。

 出会ったばかりの優に似た、清楚で、優しさを感じる眼差しだった。


「私も、拓也さんのお嫁さんになりたいと思っています……でも、最初に出会った時と同じ、古来からの奥宇奈谷の伝統に従って……一夜限りのお嫁さんに、です」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「身売りっ娘」書影
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ