~ シナドの企み ~
前話を2話に分割しました。
山賊団「山黒爺」分派の頭であるシナドは、厳しい表情を浮かべていた。
誘拐していた「お宮」という名の、片山村の村長の孫娘が、忽然と姿を消してしまったのだ。
見張りをしていた男二人を、厳しく追及する。
「いや、あの……突然、村中に響き渡るような大きな音が聞こえたから、何事かと思って見に行ったんだ……あのガキは手足を縛っていたし、一人で逃げられるわけがないと思っていたし……」
「そうだとしても、二人共が様子を見に行くことはないだろう。むしろ、そういうときこそ一人は残るべきだった」
「そ、そうだな……けど……」
冷や汗を浮かべ、必死に弁明する二人。
シナドは、これ以上責めたり、追求しても無駄だと悟り、深いため息をつく。
何らかの罰を与えないといけない……そう思っているときに、若手の一人が、奇妙なものを差し出した。
「あの娘を閉じ込めていた小屋に、こんな物が落ちていました。なんか、いろいろ触ってたら、明るく光ったんです」
と、その小さな板のような物を渡した。
それは光っているだけではなく、なにやら文字のような物まで書かれていた。
それを見たシナドは、最初目を見開いて驚き、そしてニヤリと笑みを浮かべた。
「なるほどな……仙人、前田拓也が来ていたのか。ならば仕方がないのかもしれないな」
その言葉に、山賊の一人、シナドの右腕の男が反応する。
「仙人? ……あの海賊団を一人で全滅させたっていう噂の奴か。けど、一体どうやって……」
「奴の話では、そいつは離れた場所を一瞬で移動することができるっていうことだ。ある程度の重さの荷物も運べる。小さなガキ一人ぐらいなら一緒に運べても不思議じゃあない……その変な板も、持っていない方がいいな。俺たちの居場所がばれるかもしれない。迂闊に壊そうとすれば、大きな火を噴く仕掛けかもしれないしな……元の場所に戻しておけ。大事な物なら取りに来るだろうから、見張っていてそこを襲え。ただし、くれぐれも一人では戦わないようにな」
シナドの言葉に、若い山賊は、恐る恐る、その黒い板を受け取った。
「……仙人、前田拓也、か……『山黒爺』を潰すと宣言したらしいが……面白くなってきたな」
山賊団の若き首領の不敵な笑みに、仲間たちさえも戦慄を覚えたのだった。





