表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
身売りっ娘 俺がまとめて面倒見ますっ!  作者: エール
第18章 幻の桃源郷

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

337/381

如月の回想 その4 ~ 嫁達との会話 ~

別作品集中投稿のため少し間が空いてしまいましたが、連載再開していきますので、よろしくお願い致しますm(_ _)m。

 阿東藩を訪問した私たちは、拓也さんのお嫁さんたちと、いろいろ話をすることになり、拓也様が経営されているという食べ物屋「前田美海店」に招待されました。


(ただ、睦月兄さんは女性ばっかりになっているのが苦手のようで、この町では護衛も必要ないだろう、ということで、一人でぶらぶらと町中の見物に行ってしまいましたが) 


 まだ朝の早い時間帯なので、「前田美海店」も準備中でした。

 そこで私は、奥宇奈谷の「しきたり」について、話をしました。

 村に新しい血を残すために、その土地を訪れた者を、一夜限りの婿として、共に過ごさなければならない……。


 村では当たり前だと思っていたことですが、お嫁さん達は絶句していました。

 どうやら、少なくとも阿東藩では全く考えられない風習のようでした。

 お嫁さんの一人、私たちより年上に見える凜さんという方が、


「……私たちは、自分が望み、『前田拓也』という理想の方の嫁になることができました。でも、相手を選ぶこともできず、しかも、子供ができたとすれば、父親がいない状態で育てていかなければならないなんて……しきたりとはいえ、つらい役目なのね……」


 と言いました。

 それに対して、


「いえ……子供ができたとすれば、その子は村の宝として大事に育てられます。それに、私自身が子供の頃からそういうものだ、と教わってきたので、抵抗はないですよ」


 と答えしました。


「……それで、さっき言っていた、拓也殿に相手にされなかったというのは……」


 ナツさんという凜々しいお姿の方が、そう尋ねてきました。


「はい、その……村のしきたりで、そういうのがあることをお話したのですが……前田様は、『自分には嫁と子供がいるから、そのしきたりに従うことはできない』とおっしゃられて……ですので、前田様がおっしゃるとおり、本当に何もなかったのですよ」


 すると、凜さんが


「……拓也さんらしいですね。そこまで私たちに気を遣ってくれるなんて……」


 と言い、さらにナツさんが


「まったくだ。そういう話なのであれば、ばれなければいい、と考える者がいてもおかしくないし、手を出したとしても、私たちも気づくことなどないだろうに……いや、義理立てしたのは、優に対してか……」


 と話しました。

 優さん、という方はこの場にはいないようでしたが……。


「それで、あの……如月さんは、今までに、他の男の人とそういう経験……あるのですか?」


 涼さんという名前の、やはり綺麗な方が、興味深そうに尋ねてきました。


「いえ……その、私が『しきたり』の対象の歳になった頃は、山賊とかが出るようになってあまり商人の方が来なくなっていて、そのうちにあの崖崩れが起きて、閉じ込められましたから……」


 そう答えると、ナツさんが


「……ということは、その『しきたり』ができるようになって初めて会った男の人っていうのが、拓也殿だったっていうことか……」


 と驚いたように口にしました。


「はい、そうなります……でも、繰り返しになりますが、本当に何もなかったのですよ」


 私は再度、念を押すようにそうお話しました。


「ええ。それは、貴女がとてもいい娘だってことですよ……自分ではなく、ここまで必至に拓也さんのことを庇おうとしているなんて……まあ、拓也さんだからかもしれませんけどね?」


 凜さんは、私が拓也さんに抱いている淡い思いに気づいている……。

 ある程度、相手の方の心を読める私ですが、逆に自分の拓也さんに対する好意に気づかれていると分かって、顔が熱くなるのを感じました。


「……一晩ぐらい、拓也殿を貸してあげてもいいかもしれないな……」


「「えっ!?」」


 ナツさんが、ぼそっと呟いた言葉を聞いて、私と同じぐらいの歳のユキさん、ハルさんが声を上げました。


 ……と、そのときに、ガラガラと店の引き戸が開かれる音がしました。

 そこに現れたのは、荷物を背負い、小さな子供を抱いた、美しい女性の方でした。


「……この方が、優さんですか? ……すごく綺麗……」


 女性の私でさえも、彼女の姿に見惚れてしまうほどでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「身売りっ娘」書影
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ