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身売りっ娘 俺がまとめて面倒見ますっ!  作者: エール
第15章(番外編) 少女達の健康管理と縁結び 

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番外編15-15 サブの悩み

※今回は、(しのび)であるサブ(三郎)目線のお話です。

 まったく、あの伊東武清(いとうぶせい)という男は、戦いにしか興味がないのだろうか。


 確かに、俺は奴に、


「前田拓也が本気になるとしたら、それは家族を必死に守るときだろう」


 とは言った。

 しかし、まさかあんな強引な手法を取るとは。

 しかも、本気でお優を奪うつもりではなく、戦いが終わった後で


「人違いだった」


 で済ませるつもりだという。


 もう少し、何か上手い策略を考えているのではないかと思って前田拓也を煽りもしたが、話を聞いて、本当に唖然としてしまった。脳みそまでもが筋肉でできているのではないだろうか。


 わずかとはいえ、伊東武清の肩を持ってしまったことに、頭が痛くなってきた。


 今回の場合、前田拓也の動揺がひどかった。

 この後、なんの追加策もないのであれば、お優を連れて逃げ出してしまう可能性もある。

 あの証文には伊東武清と前田拓也の名前しかないから、そうなったとしても他の者がお咎めを受けることはない。


 ただ、前田拓也が卑怯者と言われる可能性があるだけだが……あの状況を見た者だったら、そう言う者はいないだろう。どちらかといえば、その(そし)りを受けるのは武清の方だ。


 だが、今前田拓也に、一時でも逃げられるのは困るのだ。

 彼には、阿東藩を盛り上げるために活躍してもらわねばならない。


 俺がその事を告げようと武清の元を尋ねると、なんと、今回の件は人違いで済ますと、お琴……通称、姉御に打ち明けてしまっているではないか。

 あとでその真意を聞いてみると、


「関係のない彼女を傷つけてしまって申し訳ないと思ったから」


 なのだという。

 だったら、最初からもう少しマシな手法をとって欲しかった。

 とにかく、このままでは、前田拓也は戦いどころではなくなってしまう。


 そう告げると、なんとか上手く全力の前田拓也と戦える様に仕向けてくれないか、と頼まれてしまった。


 とはいえ……それはなかなか難題に思えてしまう。現状、はっきり言ってメチャクチャな状態だ。


 仕方がないので、お蜜にも相談を持ちかけてみる。

 すると彼女も、まず前田拓也を落ち着かせる必要があると助言してくれた。

 その鍵を握るのは、やはりお優だと。


 まず、実は武清がお優を奪うつもりなど毛頭ないことを伝え、安心させた上で、彼女の口から


「意地悪な伊東武清をやっつけて」


 と言わせることができれば、ひょっとしたら前田拓也は全力で戦う事を決意するのではないか、と。


 なるほど、と思った。

 失うものがないのであれば逃げ出す必要もないし、試合には応じるだろう。

 そこで本気にさせるには、お蜜の言うとおり、お優からの焚き付けが効果的に思える。


 問題は、それをどうやって伝えるか、だが……俺が直接動くのは得策ではないと思った。

 お蜜もそう考えていたようで、


「だったら、お琴さんに手伝ってもらえばいいんじゃない?」


 という話になり、二人で彼女の元に向かった。

 話を聞いたお琴は、一度豪快に笑った後、


「なるほど、そういうふうに仕向けるっていうわけだね……確かにこのままじゃあ、お優も拓也殿も可哀想だ。分かったよ、これは武清の悪巧みで、お優を奪うつもりなんてこれっぽっちもない、けど、本気の拓也殿と戦いたいっていう気持ちは強い。その事を伝えて、お優の口から、『本気で戦って、懲らしめてください』って言わせればいいんだな?」


 と、すぐに理解してくれた。


「ああ、ついでに、『一度本気で戦わないと、あの男は何をしでかすか分からない』と、軽く脅しも入れて欲しい」


 と付け加えると、


「なるほど、それはその通りだね。私もお優も拓也殿も、それは十分理解している」


 と、快諾してくれた。


 そして結果はと言うと、なんと、前田拓也は、自分の口から本気で戦うと言い出したのだ。

 彼にも、男としての意地と心意気があったようだ。

 お優は、それを後押しするように、


「悪者は懲らしめてあげましょう」


 と言うだけでよかった。

 まあ、結果だけを見ればなんとか丸く収まる方向に動いたか。


 こうなると、かなり楽しみになってきた。

 純粋な力や技では、前田拓也では絶対に伊東武清には勝てない。

 しかし、俺もまだ見たことのない仙界の武具を用いれば、あるいは勝利を収めることができるかもしれない。


 ……ひょっとしたら、武清は、俺が動く事を見越して、あんな無茶をしたのだろうか。


 だとすれば、相当な戦略家だが……いや、やはりただの剣術馬鹿なのだろう、これ以上問題を起こしてくれるな、と、俺はため息をついたのだった。

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「身売りっ娘」書影
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