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【不遇令嬢はエルフになりたい】〜介護要員として辺境の祖父の屋敷で働くよう命じられたが、ざまぁする間もなく実家が没落した件〜  作者: 一富士 眞冬
第2章

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170. 政策/リオン視点

 俺は尋問係を務めていた馬頭族に、案内人が来るまで盗賊たちを留置しておくよう言って、聞き取りを終わらせた。

 案の定、獣人族側からは反発があったが、どの道、近くの町まで連行するか町から執行官を呼び寄せるしかないのだ。

 俺が呼び寄せる者が、王都の執行官だと説明すると、しぶしぶ納得してくれた。

 気分的に、近くの町の執行官より王都の(・・・)執行官のほうが、重刑に処してくれそうな雰囲気があるからだろう。実際、寄越されるのは俺の知人の部下になるから、地方の司法官よりは地位も身分も上であることは間違いない。

 

 ウェスターランド王国全域で手配されているような重罪人や、特別に定められた罪状の者──この場合は亜人種狩り──を、集落で勝手に私刑に処すことは禁じられている。

 集落には集落の(おきて)がある。

 地方領には地方領の法がある。

 近隣の軽犯罪なら、集落の掟で裁いても構わないが、国が引き渡しを要求している罪人を勝手に処罰すれば、その行為自体が罪となる。


 獣人族は、そのような危ない橋は渡らないだろう。

 俺が言った三つ目の選択肢は、ただの脅しだ。 

 亜人種狩りの疑いがあるなら、執行官が来るまで留置しておくしかない。

 亜人種狩りではなく、ただの盗賊ならば執行官を呼ぶまでもないが、それなら案内人に引き渡しても同じことだ。むしろ、集落内で裁く手間が省けて助かるだろう。

 俺としては、獣人族に過度な私刑を行って欲しくはなかったから、できるなら案内人に引き取らせたかった。


 私怨で動けば、遺恨が残る。

 獣人族への弾圧の緩和と、獣人奴隷の解放を目指している現在の政策に、打撃を与えかねないのだ。

 亜人種狩りに手を染めた者と、亜人種奴隷の売買をする者は、王権でもって必ず罰する。

 国王が代われば、政策も変わる。

 大昔の大戦時代とは違うのだ。

 もはや、平原で亜人種を狩って、自由に奴隷にできる時代ではない。

 近隣国との戦においても、捕虜を無闇に敗戦奴隷とすることは難しくなってきている情勢だ。

 獣人族の皆には辛抱をさせることになるが、もう少しだけ堪えてもらいたい。

 

 今ここで悪手に出ては、獣人族とヒト族の双方に益がないどころか、一世代をかけて緩和策を練ってきた者たちの苦労が全て無駄になってしまう。

 決して為政者側の立場に寄るつもりはないが、これ以上、種族間の対立を深めないためには必要な対応だ。

 対立が悪化し、亜人種と人間の間で内戦でも起きては目も当てられない。

 国内情勢が不安定となれば、敵国から目を付けられ、侵略を許してしまう隙にもなりかねないのだ。

 そういった事態を防ぐために、長年努力を重ねてきた者たちを、俺は知っている。


 もちろん、目の前の盗賊三兄弟がすでに誰かを捕らえて売った後だというならば、話は別だ。すぐにでも奴隷商人の名前を吐かせ、被害者を救出する作戦を立てる必要があるだろう。

 協力者(・・・)の何人かに手筈を整えさせれば、後は特務兵団辺りが上手く動いてくれるはずだ。賊は問答無用で執行官に引き渡す。交渉の余地はない。

 ──が、そうではないと踏んだから、軽く脅して喋らせてみた。

 

 馬車強盗に続き、逗留していた村に現れた盗賊、追っ手として現れた魔装兵団──予期せぬ事態が三つも重なっては、結びつけて考えざるを得ない。

 穏便に聞き取りという名の尋問を終えた結果、盗賊三兄弟は、無作為に平原の獣人族を狩りに来たわけではなく、特定の亜人種(ハーフエルフ)を追っていたことが判明した。

 半ば予想していたことだが、刺客であるかどうかは別として、つまりはアリアを追って来ていたのだ。


(うっかりアリアちゃん本人と鉢合わせる前に、さっさと引き渡そう!)

 もう捕らえてあるから危険はないはずだが、目的の人物を見つけてしまっては、再び悪い考えを起こさないとも限らない。

ここまでお読みくださってありがとうございます。

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