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第98話
今日もとある喫茶店の日常が過ぎていく。
長年、政界で活躍してきた大物政治家の老人が来店していた。
「最近、あいつは風見鶏みたいな奴だと批判されておってな」
「人の風上に立つ仕事ですからね。どうしても厳しく書かれますよ」
「風の噂では、人としてどうなのか? とまで言われとるそうじゃ」
「とんだ風評被害もあったもんですね」
「解散風も吹いとるようじゃしのう」
「次の選挙ではどんな風が吹きますかね?」
「さて? ダメならただ消え去るのみじゃよ」
「老兵は死なず、マッカーサーですか?」
老人はニヤリと笑うと
「出来れば、風と共にといきたいがのう」
そう、言い残して店を去っていった
――― カランコロン ―――
「ヨーコくん、窓を開けてくれるかな? 少し新しい風を入れよう」
「はい、マスター」
春の訪れを思わせる平穏で暖かい風だった。
風と共に去りぬの名セリフには「明日は明日の風が吹く」がある。
ただ、その風の行方は誰も知らない――。
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