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ズィミウルギア  作者: 風月七泉


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【閑話】乙女達の密会②



  ==【視点:琥珀】==



「んふぁ~、体がカチコチ……何してるの?」


 もう何時もの如くというか、必ずと言っていいほどに誰かしら引っ付いている。


「ん~? 体が冷えない様に?」


 今日は葉月が腕に抱き着いていた。


「漫画を読んでる、意外と面白いモノが多いよ」

「此処は翡翠とボ・クの部屋なんだけど?」


 そう力強く言った所でこの双子は聞く耳なしという感じで、寛ぐ事を止めない。


「保険は必要でしょう」


 小鳥は呆れながらも仕方ないとばかりに双子を無表情で眺めている。


 その目にはハイライトが無い様に見えるんだけど気のせいだと思う。


「小鳥まで居るし」

「翡翠ちゃんは?」


 小鳥まで僕を言葉が届いていない様だ。


 ため息をしながらそっぽを向く。


「まだ起きないよ」


「それは何よりね、さぁそれじゃあ聞かせて貰いましょうかね」


 小鳥が出口を塞ぐように仁王立ちしている。


 葉月に桜花もだけど、誰よりも先回りして道を塞いでくるの小鳥だろう。


 絡めとって来るのが桜花で、動きを封じてくるのが葉月という感じだ。


 仲が悪いという訳じゃないけど、お互いにライバル的な立ち位置のせいでいっつも翡翠の見えない所で火花を散ららしている。


 全く、厄介な子に好かれるんだから翡翠って。


「何時も思うけどさ、毎回来なくっても良いんじゃないの?」


「あらダメよ、そしたら邪魔が出来ないじゃない」


 悪びれもなく、しかも清々しい笑顔で小鳥が言う。


「まったく邪魔ばっかりで、かなりウンザリ?」


「抜け駆けなんてしないよ、もう信用ないな」


「嘘をつくんじゃないわよ」


 本当に譲らないよね、この人達。


「それに、琥珀ちゃんだってなんだかんだ油断できないし」


 スッと表情が無くなった顔で、ジト目がちに僕を見てくる。


 朝の寝起きやら夜に寝る時とかで話す事が多くなったけど、何処かでボロを出したかな。


 もっと密かに翡翠を僕に依存させようとしてたんだけどな~。


 上手く邪魔される様になってしまった。


 気付かれた経緯が全然分からないんだよね。


「もう、大袈裟だな~」


「のらりくらりとライトな性格を前面にだして、目くらましで騙そうなんて無駄よ」


 小鳥が気付いた事で、葉月と桜花も何だかんだ気付いちゃったし、失敗したな。


「一番の抜け駆け常習犯は琥珀だと思う?」


「全くだよね、全然気付かなかったもん、小鳥ちゃんがきづかなかったら危なかったよ」


 そのせいで恋愛同盟に無理やりに契約させられたのだ。


 あの時は怖かったな~、しかも翡翠に気付かれない様に気を使いながらだったから余計に言い逃れができなかったんだよね。


 ゲームをしてる最中に僕宛に外? リアル? から個人チャットが飛んでくるなんて。


 流石に想像していなかったからビックリしたよ。


 僕にもメリットがあるから、参加せずにはいられなかったんだけど。


「ちゃんと録画は出来てるの~?」


「抜かりなし?」


 目を逸らしながらも笑っていう葉月にちょっとイラッとする。


 曖昧な態度をしつつ絶対に取り逃しては無いと思う。


「琥珀の【コードギア】をどうしようかって考えてたけど、翡翠のとリンクしつつも個人用にパソコン管理にしたのは正解だったよね。ナイスアドバイスだよ小鳥ちゃん」


 コレの御蔭でログインしながらでも、僕視点で翡翠の活動を録画できるのだ。


 もちろん観覧制限は色んなロックを掛けて僕達しか見れないようにしてある。


 葉月のプログラミングの御蔭だけど。


「僕としてはさ、翡翠は今のままでも良いんじゃないかって思うんだけど?」


「別にそれを否定はしないわよ。でもね、余りにも無防備過ぎるの」


「そういう姿は私達の前だけで十分?」


「他のヤツ等に見られる必要は無いでしょう」


 なるほど、確かにそうかもしれない。


 余計な虫が寄ってこないようにしないといけないね。


「はぁ、利害が一致しちゃうのが悲しいかな」


 僕がため息をつくと、皆が横目で見てくる。


「だからの同盟でしょう。じゃなきゃ手なんて組まないでしょう」


「抜け駆け禁止ってだけ?」


「それを一番守らないのが多い気がするんだけどね?」



 桜花が僕と葉月を見ながら言う。



「ほんと、油断できないメンバーよね。もうちょっと気楽にいきたいわよ」

 




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