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ズィミウルギア  作者: 風月七泉


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【オン45】役割、開拓、初めの準備


「現状で道を造るのは不可能だ。此処にそんな金は無いからな。人だって足りない、此処に住んでるのは変人か物好きやら、そんな奴等ばかりだからね」


 自身を含めた言い様で、皆がそれを認めてる節があるな。


 ボウガさんは、物好きな部類だろうけどね。絶対に此処の人達が見捨てられなかったタイプだと思うな。此処の家や家具は絶対にボウガさん作ったモノだろう。


「じゃあ、どうするの?」

『魔物、ですか?』

「半分、正解だ」


 此処の特徴からいって、人手で補えないなら魔物と共に作業するしかないだろう。


 けど、半分だけ正解ってどういう事だろう。


「俺の出番じゃあないのか? てっきり魔物を使うんだと思ったけど?」


 ティフォもオレと同じ考えだったみたいだ。


「テイマーが使役・契約できる魔物数は限りがあるだろう。上位種に進化、あるいは仲間にして数を操るという事は可能だが、それもまた制限と制約の基に成り立っていて、長期の作業に全くと言っていいほどに向かない。不正解だな、テイマーを極めるなら勉強しに来い」


 何気に、ティフォの事は気に入ってるんだね。そう言えば、玄関先で攻撃されてたのってガブだけが妙に狙われてたっけ。


「しかし、魔物に指示を出す者が必要なのではござらぬか?」


「そうだな、良い視点だぞ。そこが半分は正解と言った意味だな」


 満足いく答え方だったのか、良い反応をするガブに上機嫌になる。


「その言い方じゃあ魔物を使役や契約をせずに協力してもらうって事になっちゃうわよ?」


『此処みたいに仲良くなって手伝ってもらう?』


 そういえば、此処に居る魔物は使役してるわけでも契約もしてない。


「ふむ、その方法も出来なくはないが、現実的じゃないだろう。此処のホームで生まれ、湧き出たモンスターは少し特殊だろう。少なくとも自分がトライして仲良くなった魔物は居ない……君なら、別かもしれないがね」


 イーゴさんがオレを見つめながら言う。


『オレですか?』


「その話は今度だな。今は確実性のある方を選択する方が良いだろう。事が上手くいったとしても、道を繋げ、安全に行き来が出来る様にするまでには時間が掛かるからな」


 そこまで言っておいて、お預けは酷いと思います。


『すっごい気になるんですけど』


「うんうん、ボクもだよ」


「というか、全員だな」


 最後のティフォの言葉に皆が一斉に頷いた。


「ふは、まぁコレらが上手く運んで、ボウガさんに完全に認めて貰えた時に教えてやる。今はこの話に集中しなさい、向上心が在るのは好ましいがね」


 楽しそうに笑いながらも、やっぱり教えてはくれないらしい。


「『は~い』」


 オレとシュネーが同時に返事をする。


「さて、答えといこうか」


 そう言ってイーゴさんが立ち上がると、すぐ後ろにある小さい引き出しから布に巻かれたモノを取り出して、机の上に皆が見えるよう広げて見せてくれる。


「それは……なんでござるか?」


 占いに使われそうなまん丸……だっただろう壊れた石だった。


「壊れたゴーレムのコアだよ。自分が昔に研究していたテーマの一つさ」


「ゴーレムって……テイムできたっけ?」


「いいえ、出来ないはずよ。前に攻略組のテイマー達が何度も試したもの」


 ティフォの問いにケリアさんが、真剣な顔で答えてくれる。


「ふむ、貴女は詳しい様だが、少し語弊があるね」


「アナタ、何か掴んでいるの⁉ 中央都市の図書館にも載ってない情報よ」


 真剣な顔つきで、ケリアさんがイーゴさんを見る。


「ゴーレムを魔物としてテイムしようとするから失敗したんだ。ゴーレムは魔素生命体の精霊や妖精に近い、無機物生物の集合個体だ。魔物の様に使役しようとしても無駄なんだよ。ゴーレムは唯一、契約でのみ、仲間になってくれるモンスターだ」


 イーゴさんが自信満々に胸を張って答える。


「そんな情報、何処にもっ⁉」


「というのが、自分が考えた仮説なんだ」


 今まで堂々とした態度から一転、ちょっと猫背の弱腰な物言いになっていく。


「あまりにもそれらしく言うから、絶対なんだと思ったよボクっ⁉」


「大丈夫だ、俺だって思ったからさ」


 シュネーだけじゃなく、きっと皆が騙されたと思う。


「ははは、残念ながら自分にはテイマーとしての才能は無かった。だから魔物と共に過ごせる不思議な場所である、此処に住んでいるだけどね。だが、此処に可能性のある者が二人も居るんだ。やってみる一手であると思うが?」


 口元に手を当てながら、オレとティフォを強い意志の宿った目で見てくる。


『オレと――』

「俺だな」

 お互いにティフォと顔を見合わせた。


「ファーマーに魔物の使役は出来ない。しかし、意思疎通が取れるような能力があるはずだ。それは我々には理外の領域だが、ゴーレムもまた生命体であるからには契約が可能なはずなんだよ。ゴーレムに意思、或いは意志が無ければ活動する意味などないのだから」


 何か思いがあるのか、力の籠った言葉で説明してくる。


「ある意味、夢の話しね……ふふ、そういうロマンスは大好物なのよ」


「ゴーレムには耐久力はあっても、疲労は無いでござるからな。単純作業の道づくりには確かに向いているんだな」


「人手不足も補える……か」

「一石二鳥どころじゃないね」

『契約が出来ればね』


 確実なモノじゃあないけど、確かに出来たら今後に大きな力になってくれる。


「是非とも成功させてくれっ⁉ そしたら自分は全力で君達の支援をしようと思う。ここには長年夢見たテイマーとファーマーが居るんだから、可能性は倍々さ」


 ふわ~っと浮いていたシュネーがちょっと思いついたかのような顔をした。



「自分の研究テーマが魔物と人の関係だから、とか~? なんてね」



 あ、イーゴさんの胸に何か突き刺さった音が聞こえた気がした。



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