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ズィミウルギア  作者: 風月七泉


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【暴走40.5】初めての準備=あの時、樹一に起きた選択肢


  ==視点【秋堂樹一】==



『それは、どんまいとしか言えないんだな』


「城下町の噴水場に飛ばされたと思ったら、着てる服は女物だしよ。まぁ、確かに防具としての効果は上がってたけど、男物を着ようとするとキャンセルされるんだぜ」


『樹一氏、声が遠くに行ってる。帰って来るんだな』


「あ~、すまない」


 あそこで翡翠に気付いてもらえなかったら、一週間はショックで籠ってたかも。


 始めたタイミングは同じだったし、あんな子供みたいに一つ一つの機能を堪能しながら、面白そうに説明書を出したり消したりしてるのは、なんて言うか可愛かったな。


『じゅ、樹一氏~、お~~い? 聞こえてるか~い』


「えっ! あ、なんだ?」


『通話したまま急に唸りながら黙らないで欲しいんだな。そんなにショックだったん?』


「いやまぁ、ショックはショックだけど、それよりも初姉ぇの悪夢がな……呼び起された方がショックが大きかったのかもしれない」


『女王の事は忘れるんだな。世の中おかしいんだな、アレがアイドルであり、幸十の姉だなんてオイラは認めないんだな。まさに悪魔の化身なんだな』


「俺達にとっては悪魔だが、あの人はカリスマ性が高すぎるからしょうがないだろう。目を付けられた俺達には、次から次に問題を巻き起こすトラブルメーカーだけど」


 自身と周りを楽しませるのは天才的な才能がある。ただ、騒動が大きくなるんだけど、結局は皆が何だかんだ楽しんで終わる。


 質が悪いのが、何だかんだ憎めない程に人を使うのが上手い。そして、巻き込んでも問題ないという人を見る目は誰よりもずば抜けている事だろうな。


 学園行事では事あるごとに、騒動を起こす問題児だ。


「兄ぃ、噂話はその辺で止めておきなよ。あんな厄介者が来たらどうするのよ」


「なっ! 小鳥、いつ入って来た」


 話に夢中だったのか、近くに来るまで全然気付かなかった。


「それより代わって。多分、そろそろだから」


「は? なにが――」


『おや、小鳥嬢でっ⁉ 姉上っ! ちょ、なんで、ま、待つんだな、コレはオイ――』


 急にガサガサと大きな音が携帯から響いて、思わず耳を離す。


「そろそろ休憩も終わりでしょう? 翡翠に待ちぼうけなんて許さないから、代わりに相手してあげるって言ってるの」


 雷刀から電話を奪った相手は、十中八九、ふぶき先輩だろうけど。 


 もうそんなに時間が経っていたのかよ。


 愚痴を雷刀に聞いてもらって少しスッキリしたけど、案外に長く喋ってたな。


「ってか、翡翠は大丈夫なのかよ?」

「双子が居るし、問題ないわ」


「お、お前が他のヤツに任せるなんて」


 慌てて窓の外を見るが、綺麗な青空が見える。


「……ふ~ん、そういう態度なの。後で覚えておきなよ兄ぃさん」


『樹一ちゃ~ん、聞こえる~?』


 どうやら無理やりに強奪されたようだな、雷刀よ。


「一度話したら、下手したら戻れないわよ。さぁ、どうするの?」


 無表情で妹が手を伸ばして迫って来る。


「わ、分かった。任せた」


 俺は携帯電話を小鳥に渡して、すぐにヘッドギアをかぶってベッドに寝転がる。


「行ってら~」

「後は、頼んだ」



「うん、任せてよ♪」



 なんか最後の方は、声が妙に弾んでいた。



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