【オンライン】387話:魅了される者達④
騒ぎが起きてパニック状態になってしまうのをグランスコートの仲間達が上手く誘導や声掛けなどをしてくれたおかげでスムーズに安全な場所まで逃げてくれる。
ただ、その場に残っている人達も多く居る。
姉さんからの厳しい指導のせいと言うか賜物とでも言うのだろうか、観客が居る以上はどんなトラブルがあったとしても『みっともない姿を見せる事無く、舞台を完遂する気持ちを忘れるべからず』なんて精神で演奏は中断しても、魅せる事は忘れない。
崩れ落ちていく足場に細工してあった風の魔法陣を発動させて、ステージをブロック状に細かくして、軽量化して浮遊させて浮く足場を作る。
見えにくい細くて強度のある糸で谷間に落ちていくことは無いけど、それを悟られないように動いて、其々の場所に格好良く着地するまでが僕等のステージだ。
蜘蛛をテイムしているテイマーさんが快く手伝ってくれているので、この命綱に関しては普通のロープよりも丈夫でいざとなれば形状を変えて、足場を作る事も出来る代物だ。
シュネーとムーンちゃん達によるちょっとした演出で、僕等が宙に舞いながら妖精の羽や天使の羽みたいに見えるように、細工をしてもらう。
これらの効果はケリアさんの衣装と連動する能力で、それが使えるのはシュネーとムーンちゃん、スズメちゃんの三人で近くに居る仲間に付与する感じの魔法になる。
ただ一人、ガウだけは己の力だけで足場を駆け上がるように移動して着地していた。
寸胴な体でスタイリッシュに動き回るので、微妙な歓声が上がっている。まぁ気持ち悪い動きをされるよりもマシだけど、格好良いとは何故か言いずらい雰囲気でパラパラと拍手だけはしっかりと聞こえる。
「ぬう、何故でござるか、こんなにも格好良く動き回ったというのに」
〈いやいや、誰でも同じ反応になると思うよ〉
「軽やかさと見た目があってねぇんだって。そもそも動き回る度に鎧がカシャカシャと異様な速さで鳴ってるとな、変な怖さも混じって見えんだよ」
動きはしっかりと観客を意識していたから、素早く動き回る虫みたいな気持ち悪いモノではなかったけど、所々の決め顔とポージングがイラッとさせてくるのだ。
無駄の無い無駄な余裕と、しっかり周りを意識した動きが妙に癇に障る感じだった。
〈他の皆は無事かな?〉
「みたいでござるよ、何かあればシュネー妃とパニア殿の力で集まれば良いだけでござる」
「まぁ向こうにも助っ人は居るんだから、やられる事はないんじゃないか?」
僕等は敵国の人達が居る場所に其々がワザと着地した。
敵さん達も凄く戸惑っている様子で、僕等の事をただ呆然としながら此方を見ている。
どう声を掛けようかと悩んで、結局は良い感じの言葉は思い浮かばなかったので軽く微笑みを浮かべて、彼等を見つめる。




