【オン83】イベント騒ぎは大騒ぎ
鍛冶屋を出ようとすると、すぐにニンフィがオレの前で屈むよにペタンこになった。
「ぽぁ?」
オレを乗せて早く飛びたいのか、上目遣いで早く乗ってと言わんばかりに待っている。
『むりしてない?』
「ぱぁー」
全然問題なしというように飛び跳ねて、また乗せ待ちの姿勢で留まっている。
「ふふ、問題ないって感じね」
「まぁ乗ってくれると俺達も有難いけどな、偶にどっか行きそうで目が離せないし」
「なんなら拙者に乗るでござるか? いつでも歓迎な、どぁっ⁉」
「ぽぁぱぁー!」
「ダメだって~。残念だったねガウッち」
まだ慣れないんだよな。フカフカのソファーに座った感じで浮いて進んでる感覚って。
それに加えてニンフィもオレを乗せて飛ぶのに慣れてきたのか、徐々にだけどスピードが上がっている気がするんだよね。
『街中はゆっくり飛んでね』
「ぽぁ」
理解してるのか、してないのか分かんない反応だな。
とにかく乗るけどさ。
空気の入ったフワフワな綿みたいだから、乗る時も落ちそうで怖いんだよね。
しっかりニンフィに乗ると、フワッと体が上に上がる。
「おいチビちゃん。この道具をどう使うかを見に行って良いか?」
『チビって……まぁ良いですけど』
「もうちょっと頼み方があるんじゃないの~?」
「うっ、すまねぇ」
シュネーがタムさんの顔の前まで飛んで行き、御凸を突いた。
タムさんもちょっと驚いた様子だったけど以外にもすぐ謝った。
あれだけのモノを作ってくれたんだから、完成品としてみたいんだろうな。
パニアのゴーレムの力で出来る形だし、此処じゃあ出来ないもんね。
でも電気の精霊も居るなら電磁力は生み出せそう。
「店番、頼んだぞ」
「はいよ、今回ばかりはしょうがないね~」
肩を落として呆れては居るけど、どこか嬉しそうなんだよな。
息の合った夫婦だ。
「それじゃあ帰ろう~」
「ぱぁー!」
元気よく叫ぶシュネーに、ニンフィが呼応するかのように声を上げた。
♦♢♦♢
ホームに帰って来ると、そこにはお爺ちゃん達が畑を耕していた。
「おう帰ったか」
『ダイチ爺ちゃん達も来たんだ』
「なんかイベント騒ぎだって聞いたからのう。祭りに参加しないなんて男がすたるじゃろ」
「この人ったら話しを聞いたらすぐに行こうなんて子供みたいに、それはもう、はしゃいじゃってねぇ。きちんと畑仕事の指導を若い子達にするのが大変で――」
「おい、その話はえぇじゃろう」
物凄く恥ずかしそうにして、騒ぐようにハーナさんの言葉を遮った。
「っと、そちらは? どちら様じゃ?」
『鍛冶屋のタムさん、ボウガさんにプレゼントでも作ろうと思ってね』
丸ノコ刃をインベントリから取り出して、ダイチ爺ちゃんに見せる。
「ほう、よう出来とるの」
「あたりめぇよ」
「良い職人じゃな」
クルクルと回して、円盤状の丸ノコ刃を調べ始めた。
タムさんは鼻頭を掻きながら、ダイチ爺ちゃんに褒められて嬉しそうに胸を張った。
『パニア~、この前の形の台にコレを付けて欲しいんだけど』
「ワカッタ、チュウオウで、マワス、ヨウニ、スレバ、イイノか?」
タリスマンが台座の上で興味津々な様子で、丸ノコ刃の周りを飛び跳ねて回る。




