19話・特に多くは語りませんが
「僕、この2つのクエストをやりたいんだけど、アミューもそれで
いいかな?」
「うん、私に異論はないよ。シュンがやりやすそうなクエストを
選んでよ!」
「ありがとうアミュー!じゃあ、この2つのクエスト依頼書を、
受付嬢に渡してくるね!」
僕は2つの依頼書を握りしめて、受付嬢の所に持って行く。
「あの~すいませ~ん。クエストの方が決まったので、受理を
お願いしてもいいですか~!」
僕はそうお願いすると、持っていたクエスト依頼書を受付嬢へ手渡した。
「あの...シュン様...さっき殴られたケガは大丈夫...だったんで
しょうか...?」
受付嬢...ルビが、先輩冒険者から殴れた蒼井のケガの事を心配して
いるのか、困苦な表情をしている。
「え...ああ、はい...大丈夫ですよ、この通りピンピンしてます!」
「そうですか...良かった...。本当にケガがなくて良かったです!」
蒼井の言葉を聞いて安心したのか、ルビの困苦の表情が安堵の表情に
変わった。
「規則で私達受付嬢は、冒険者の小競り合いには不干渉が鉄則でして、
シュン様を助ける事ができませんでした!...本当にすいません!」
「ルビさん...そんなに謝らないで下さい!本当に大丈夫だったので、
それに規則じゃ仕方がありませんって!」
「ありがとうございます、シュン様!そう言ってもらえると嬉しいです!」
ルビが相好を崩す笑顔で、僕に感謝の笑みを見せてくる。
それにしても、本当...あの冒険者...えっと...名前は...何でしたっけ??
とにかく、今度会ったらそれとなく注意しておきますね!」
うわ...僕をぶん殴る程、嫉妬したっていうのに...その相手から
名前も覚えてもらっていないとは...あの先輩冒険者、可哀想過ぎだろ...。
「はは...それは嬉しいですけど、あの先輩冒険者のお返しが怖いので、
軽い注意でお願いしますね...」
まあ...怖いって言っても、別の意味でなんだけどね...。
「あ...そうですね、これはうっかりしてました。それでは、軽い
注意で怒っておきますので!」
イヤ...怒っちゃ駄目でしょう!あの脳筋には絶対に逆効果だと
思うんですよ...。
「あ...そうそう、クエスト依頼の受理でしたね。ではシュン様、
クエストを受理してきますので、しばらくお待ち下さいね!」
ルビさんが僕に一礼すると、奥の部屋にクエスト受理の為に
入って行く。
そして、数分後...。
「お待たせしました。シュン様のクエスト依頼の受理が無事、
終わりました!」
奥の部屋から出てきたルビさんが、にこやかな顔でそう述べてくる。
「次は私の方ね...。ルビさん、私...このシュンとパーティを組むので
パーティ登録の申請を頼んでもいいかな?」
「え...?アミューさんとシュン様が...ですか?」
「うん。新人を導くのは先輩冒険者の務めだからね!」
アミューはニコッと微笑み、突き出した右手がVサインを
決めている。
「へえ...先輩冒険者の務め...ですか...?」
「そ、そうだけど...何を言いたいのかな、ルビさん...?」
「そうですね...。特に多くは語りませんが、あなた...シュン様に
惚れましたね?」
惚れると言う言葉を聞いたアミューの顔が、思いっきり目を見開いた
表情へと変わっていた...。




