第95話 南に
「ニャルラトホテプさん、南はほとんど海って聞いてるけどどうやって行くの?」
「ニャルでいいよ。フレンドリーでいきましょ」
かなりオープンな性格みたいだ。
「ならニャル、どうやって行くの」
「主様の為ならと思いますが、ニャンコ号では海は渡れませんのじゃ、南の島に行く船もないはずですじゃ」
船がなければいけない。
「大丈夫よ。そのニャンコ号で行けるから」
人の話を聞いていたのだろうか?
ニャンコ号では海は渡れないって言われたばかりなのに。
「あのね、ニャンコ号では……」
「あ〜、分かってる海は渡れないんでしょ。海を渡らなくても行けるのよ」
どういう事だろう?
「いったいどうやって行くのかしら」
「お聞かせくださいニャルさん」
メリーさんとかんかんも聞いてきている。
「答えは簡単、地下から行くのよ」
「地下!!」
「そう、地下!! あなた達が行った地下から更に奥に行けるのよ。てゆうか、地下はすべての大陸に行けるのよ」
知らなかった。
あの地下がそんなに広かったなんて。
「地下に行く通路はこの町の外れにもあるからそこから行こう」
私達はニャンコ号に乗って移動を開始した。
「主様、ここですかじゃ?」
車用なのか、地下への長い下り坂が続いていた。
「ここから降りて」
「ニャンコライト作動」
ニャンコ号の目が光った。
かなりの明るさで、暗闇を照らしていく。
少し走るともう地下についてしまった。
「ニャル、ここには危険なクトゥルフがいるんじゃないの?」
「ああ、ガグとかでしょ? このニャンコ号とか言うので走ってれば大丈夫なはずよ」
心配だけど、ニャルが言うならそうなのだろう。
今のパーティーで最強なのは、ニャルだし、この世界の事を1番知ってるのもニャルだ。
「そのまま全速力で走って!!」
「行かせないっす!!」
いきなりニャンコ号の中に黒ニャルラトホテプが現れた。
「なっ、いったい何処から?」
私達は戦闘態勢に入った。
「久しぶりっすね、ニャルラトホテプ」
「久しぶり!! 会いたくなかったけど……」
ニャルラトホテプどうしの会話だ。
「あなたがそちらの味方をされると面倒なんっすよ。やめてくれないっすか? アザトース様を復活させれば、世界崩壊なんっす」
「世界崩壊!!」
大きな声を出してしまった。
「なにも知らずに棺を開けてればよかったんすよ。知っても開けなければ帰れない、開けてもアザトース様に世界崩壊されて滅亡。素晴らしいじゃないっすか」
「アザトースなんて嫌いなんだよ!! 再封印してやるよ」
「あなたのような者の思い通りにはさせません」
「そうよそうよ」
「……阻止します」
皆の思いは同じようだ。
「もう棺は開けない!! 絶対に!!」
私は黒いニャルラトホテプを睨みつけた。
「怖いっすね、でも、開ける事になるっす」
「開けない!!」
「まぁ、4つも開けてくれてるので後2つも宜しくっす」
そう言って、黒いニャルラトホテプは消えてしまった。
戦闘をするのでもなく、何しにきたのだか。
「ねぇ、今4つって言ってなかった?」
確かに4つって言ってた。
まだ3つしか開けてないはずなのに……。
(もしかして、松本達が?)
しかし、それが本当なら今から向かっている棺は完全に封印しないといけない。
「老猫将軍さん、いそいでください」
「はいですじゃ」
ニャンコ号はスピードを上げて地下を爆走した。
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