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第94話 山姥

「ようこそダイラスリーンに」


 出迎えてくれたのは、優しそうな美人なお姉さんだった。


「あっ、はい」


 美人すぎて眩しいくらいだ。


「このダイラスリーンにどのようなご用件でしょうか?」


 美人でスタイルも良く笑顔も素敵な完璧な美女。


「なんかムカつかないこの女」


 メリーさんは気に入らないようだ。


「メリーさん、人を見た目で判断してはいけません」


「……ダメ……」


 花子さんにも怒られてる。

 メリーさんはゆっくりと地面に降りていき、縮こまっている。

 まぁ、メリーさんは放っておく。


「えっと、ムナール大陸って言う所の情報が欲しくて来ました、なにか知ってますか?」


 単刀直入に聞いてみた。


「ムナール大陸ですね、存じておりますが、もう夜ですので、まずはゆっくりお休みください」


 そう言われてダイラスリーンの宿らしき場所に案内された。


「ここでごゆっくりとお過ごしください。あっ、もちろんお代はいりませんので、ワタクシは奥でお食事の準備をしております。あっ、部屋のお茶等はご自由にお飲み下さい」


 部屋に案内され、美人なお姉さんは何処かに行ってしまった。


「主様、お茶をお入れしました、お付きの方々の分も入れております」


 ネコ達は手際が良い。

 しかし、ネコは熱いのは苦手なはずだけど、クトゥルフのネコは違うのかな?


「あっ!!」


 かなりアツアツのお茶だ。

 ゆっくり飲むしかない。


「あら、こんなの熱くないわよ」


 メリーさんはすぐに飲み干してしまった。

 かんかんも花子さんも老猫将軍も全員飲んでいた。

 私もぐいっと飲み干した。


「あれ? なんだか眠く……」


 急に眠くなってきた。


「わたしも……」


「ワタシもです……」


 メリーさん、かんかんは床に倒れ込むように寝てしまった。

 その後を続くように、花子さんや老猫将軍、他のネコ達も眠ってしまった。


「……ヤバ……私も……ま……つ……も……」


 意識がなくなった。


「ひっひっひ、ようやく寝たか、さて食事の準備だ。今日はネコ鍋も出来るな」


「待ちない!!」


「なにやつ!!」


 いきなり現れた人物は寝ている者達に近づいた。


「おい、起きろ〜!! ん〜ちょっと厄介な眠り薬ですかねぇ〜。なら、花子さん、借りるよ〜」


 その者は、浄化の盾を構え光を放った。

 寝ている者が光に包まれていく。


「うっ、う〜ん、あれ? 私なにしてたんだっけ……って貴女は?」


「あ〜、ニャルラトホテプじゃない」


「……ニャルラトホテプさんです」


「ニャルラトホテプさん?」


 かんかんは分からないのは無理もないが、確かにニャルラトホテプさんだ。


「呼ばれてないけど登場、ニャルラトホテプさ〜ん」


「お前がニャルラトホテプか!!」


 大きな包丁を持った醜い老婆がニャルラトホテプの前に立っていた。


「こいつは皆を案内してきたやつですよ〜」


 この老婆があの美女?

 とても信じられない。


「分かったわ、こいつは山姥よ!!」


「山姥?」


 メリーさんが知っているのなら怪異かな?


「山姥は、美女の姿で油断させて誘い込み、油断している者達を、本来の老婆の姿で襲い、食べてしまう妖怪よ」


 とんでもない妖怪だ。


「くっ、見破られたか、ニャルラトホテプは計算外じゃったが、覚えておれ!!」


 老婆は逃走している。


「逃さないですよ〜、砲丸投げ〜」


 何処から現れたのか、砲丸を山姥に投げつけた。


「痛!!」


 命中し、山姥はその場で倒れた。

 勝ったみたいだ。


「いや〜、危なかったですね〜」


「あの、ありがとうございます」


「気にしない、気にしない、ところでムナール大陸かな?」


 ニャルラトホテプからの情報ならかなり期待出来る。


「あそこに近付くのはオススメしないよ、あそこは嫌いなやつが封印されているから、そして、その封印が破られそうなんよ」


 封印が弱まっているのかな?


「封印って?」


「6個の棺に封印してるんだけど、それがなにか?」


 6個の棺?

 なにか聞いた事が……。


「あっ!!」


「なに? どしたの?」


「その棺って開ける黒い靄みたいのが出るやつ?」


 私は、恐る恐る聞いてみた。


「そうだよ、知ってるの?」


 かなりショックを受けてしまった。

 私はニャルラトホテプにこれまでの事を話した。


「なるほど、その男は多分男の私だね、うん、間違いない」


「男のニャルラトホテプ?」


「そう、私は1000の顔を持つニャルラトホテプだからね、でも、そっか、あいつが動いていたのか……」


 ニャルラトホテプさんは真剣に考えている。


「よし、まだ3つしか開封してないんだよね?」


「はい、別行動の松本達が見つけてなければ3つのはずです」


「なら、残りを守らないとあいつが復活する……、あなた達、私と一緒に南の島に来て!! そこに棺があるはずだから」


「行くかどうかはこれに答えて下さい」


「なに?」


「棺が罠だとしたら、私達はどうしたら怪異の世界を戻して、元の世界に帰れるの?」


 1番知りたい答えを聞いてみた。


「それは2つあるの、1つには復活した嫌いなやつを倒す事。でもこれは危険だし、何よりあいつは次元が違う、もう1つは前に話した十種神宝を全部集めて、嫌いなやつを再封印すれば戻るはず」


 つまり、この世界で復活しかかっているやつを封印すれば良いのか……。


「でも、なんで男のニャルラトホテプは私達に封印を解かせてるの?」


「それは、私達では封印の棺に触れないからね、多分あなたを利用したんだと思うの」

 

「あ〜、だからあの時の佳奈は変だったのか」


 メリーさんには心当たりがあるみたいだ。

 自分では分からないけど。


「十種神宝の場所は分からないけど、その浄化の盾があれば封印の強化は出来るはず、まずは封印を強化して十種神宝探しに入らないと」


「その封印が南にあるの?」


「そう、だから行くの」


 私達はニャルラトホテプさんについていく事にした。

 封印を解いてきた私達にも責任はあるから……。

本作をお読みいただきありがとうございます。




よろしければブックマークと評価をお願い致します。




感想も宜しくお願い致します。




それでは引き続きお楽しみくださいませ。

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