第92話 目覚め
ここからは暫く女性パーティーになります。
「……うっ……」
「佳奈、かんかんが目覚めそうよ」
「えっ、ほんと?」
「……ここは……?」
かんかんが目を覚ました。
いつものかんかんの雰囲気に戻っている。
「おはよう、かんかん。ここはウルタールの町の教会、って、何か覚えてる?」
「……なんでここにいるのかさっぱり覚えてないのです」
かんかんには、ネコ達の神官になっていた事やこの町にいる事も覚えていないみたいだ。
「あのね……」
私はかんかんに今の状況などを話した。
「……そうだったのですか、ならワタシもお手伝いします」
そう言ってかんかんは起き上がった。
「大丈夫なのかんかん?」
メリーさんは心配してかんかんの側に行った。
「無理はしないで」
「ありがとう、メリー、佳奈、でも大丈夫よ」
「あの……はい……これを……」
花子さんが濡れタオルを持ってきた。
寝起きのかんかんの顔を拭くためなのだろうか、なんて気が効く怪異なんだろう。
「花子さんもいたのですね、ありがとう、使わせてもらいます」
かんかんは、花子さんから濡れタオルをもらい顔を拭いた。
「……スッキリしましたわ」
花子さんはその言葉を聞いて笑顔になっている。
「さて、これからダイラスリーンって町に行くのでしたね。でも行く前に1つ良いでしょうか?」
かんかんは真剣な表情で私を見ている。
「佳奈さんに、なにか悪い物がついているようなのです」
「えっ? 悪い物?」
元巫女であるかんかんに言われると不吉だ。
「でも安心して下さい。呪札からパワーアップした呪符で解呪しますから」
「お願いします」
「なら行きます、呪符・解」
私の立っている場所の地面が光、私は光に包まれた。
その光に呑み込まれるように黒い靄みたいな物が吸い込まれて消えていった。
「これで大丈夫なはずです」
「ありがとう、かんかん」
「いえいえ、さっ、ダイラスリーンに出発しましょう」
「あっ、主様、出発でごさいますかじゃ?」
「うん、いろいろありがとう」
「左様ですか、準備は出来ておりますじゃ」
「準備?」
なんの準備だろう?
なにも頼んだ記憶はないけど。
「こちらですじゃ」
案内されるままについて行く。
「何処に行くの?」
「こちらをご覧くださいですじゃ」
そこには、巨大な猫の形をした乗り物らしき物があった。
「ダイラスリーンまでは遠いですじゃ、ですからこのニャンコ号に乗り込んでくださいですじゃ」
移動手段があるのは助かる。
でも運転が出来ない。
「お前達、準備は良いかじゃ?」
「ニャー」
「にゃー」
「にゃーん」
(ん? お前達?)
どうやら、ネコ達が運転してくれるみたいだ。
つまり、ネコ達も一緒に行く気だったのた。
「老猫将軍も来るの?」
「当然ですじゃ、主様が行く所に我らありですじゃ」
まぁ、移動は楽になるから良いのかな?
私達はニャンコ号に乗り込んだ。
目的地はダイラスリーンだ。
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