第91話 4つ目
「棺だ……」
ここに棺があると言う事は地下世界なのだろうか?
大渦に呑み込まれたのだから地下にいても不思議ではないのだが、それだと海底になるはずだから理解出来ない。
「おやおやっす、ここまで来たっすか」
この変な喋り方をするやつは。
振り返ると正体不明の男が立っていた。
「なんでここにお前がいるんだ? 棺の場所は分からないんじゃなかったのか?」
「いやっすね、独自の調査でここに棺があるって分かったすから来たっすよ。あなた達の為に棺の場所を教えようと知ったす」
教えようとした?
棺の場所まで来るのなら、棺を開ければ良いはずだ。
それをなんで教えて、ここに越させそうとする?
「棺なら自分で開ければ良いじゃないか!!」
「いや、それはっすね」
ズドォーン
「がぅ〜」
シロクマが棺を開けてしまった。
「おい、なんで勝手に開けてるんだよ」
「がっがう〜」
様子が少し変だ。
どうやら混乱してるみたいだ。
「おい、シロクマになにかしたのか?」
俺は男の方を見ると男は姿を消していた。
「なんなんだ? あの男は?」
しかし、男の正体は分からないが、棺をこれ以上開けるのは危険だ。
あの男は、棺を開けさせたいはずなのに、自分で開けようとしない。
おそらく開けられないのだと思う。
あの男が触れないようになっているのだと推測できた。
「さ〜ちゃん、シロクマ、ここは1回ウルタールの町に戻らないか? この事を池田達に知らせないと。スマホが使えれば良かったけど、この世界に来てから使えなくなってしまったし……」
「……いや、ここが何処だか分からない……なら、先を目指すべき……、セレファイスに行けば、ウルタールにすぐに帰る方法あるかも……」
今回のさ〜ちゃんは、テンション低くても良く喋っている。
「がう」
シロクマも元に戻ったようだ。
なら先に進むしかない。
セレファイスに向かう前にここが何処なのか知る事が重要だ。
棺の後ろに通路がある。
俺達はそこから進む事にした。
(池田達は大丈夫だろうか? 早く会いたいぜ)
頭の中はこんな時でも池田の事でいっぱいな俺だった。
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