第85話 説得
かんかんの様子がおかしい。
やはりクトゥルフの影響でおかしくなっているのか?
「かんかん、俺達を忘れたのか?」
とにかく説得してみるしかない。
かんかんと戦ったらこっちもヤバい。
「お前達なんてしるか!! ここは私とネコ達の町だ!! 他は立ち入るな!! 呪符・突風!!」
また突風が吹き荒れる。
「かんかんさんと戦うの?」
池田はかんかんと戦いたくないようだ。
いや、池田だけではない、誰もかんかんとは戦いたくないはずだ。
「かんかん、思い出して!! ワタシ達の事を!!」
「……思い出して下さい……」
「思い出せぇ〜!!」
なんとか俺達の事を思い出してもらうしかない。
「ネコ達、私の後ろに!! 呪符・結界!!」
かんかんとネコ達は結界に包まれた。
「そしてお前達は出ていけぇ〜!! 呪符・竜巻!!」
目の前に大型の竜巻が現れた。
かんかん達は結界で安全みたいだ。
周りの建物も竜巻が飲み込んでいく。
俺達も竜巻に吸い寄せられている。
「なんとかしないと」
「……任せて」
花子さんは盾を地面に突き刺した。
「そうか、花子さんの盾の力なら」
「……浄化」
盾の力は竜巻を浄化した。
(んっ? 竜巻を浄化?)
「……竜巻が、いろんな不純物を取り込んだから浄化出来た……」
(良くわからないけど結果良ければ良しだ)
花子さんが竜巻を浄化した瞬間、かんかんが池田目掛けて突っ込んできた。
「池田!!」
俺は慌てて池田の駆け寄ろうとしたが間に合わない。
しかも、池田はまだ気がついていないみたいだ。
「がぅ!!」
シロクマが池田の横に立ちかんかんを叩きつけた。
「がっ!!」
池田は油断していたのか驚いている。
地面に叩きつけられたかんかんの背中から、黒い靄みたいなのが出ている。
この靄は棺から出てくる物に似ている。
「花子さん、頼める?」
これを浄化出来たら、元のかんかんに戻るかも知れない。
「……浄化」
かんかんは光に包まれていく。
「ぐっ、ぐぁぁ!!」
黒い靄がなくなっていく。
暫くすると、光がなくなってきた。
「かんかん?」
「あら、私は何をしていたのでしょうか? それに、松本さんと佳奈さん? 帰ったのではないのですか?」
かんかんは事情が分からないでいるみたいだ。
「えっと、それは……」
説明しようとした時、ネコ達が俺達に敵意を剥き出しにしていた。
「えっ? 何?」
「ネコ達が怒ってる」
今にも襲ってきそうな状況だ。
「なんじゃ、せっかくネコ達の神官にしてやったのに情けない」
教会の方から声が聞こえる。
殺気だったネコ達は道を作るように左右に散らばっていく。
そこに現れたのは、年老いたネコだった。
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