第84話 ウルタール
ウルタールの町に辿り着いた。
クトゥルフの町なので、どんな場所かと思ったが普通にRPGに出てくる町並みだった。
「人がいないね、いるのはネコばかり」
池田の言う通り町には人がいなかった。
いるのは、沢山のネコのみ。
「本によると、この町でネコを殺してはいけないってあるわよ、それと、神官ってのがいるみたい」
「神官?」
神官と言えば巫女だ。
巫女衣装を着た池田を想像してしまった。
「なにしてるのよ?」
「いや、なんでもない」
池田の妄想をしてたなんて本人は言えない。
「なら、神官ってやつをぶっ倒せば良いのか?」
さ〜ちゃんが物騒な事を言っている。
「ぶっ倒すか分からないけど、とりあえず探してみましょ」
「……なら手分けしません……か?」
花子さんの提案に乗る事にした。
「なら、ワタシと佳奈とさ〜ちゃん、松本と花子さんとシロクマの2チームで探しましょ」
(なんで池田と別行動なんだ?)
まぁとりあえず行動開始だ。
俺達は右回りで散策し、池田達は左回りで散策する事にした。
とくに変わった所はない町だ。
ネコが多い以外は。
(ネコが多い事とネコを殺してはいけない事は意味があるのか?)
考えても仕方ない。
散策を続ける事にした。
「……神官さんはどういった場所にいる……の?」
「ん〜、ゲームなら教会とかかな?」
そう言っていると奥に教会らしき建物が見えた。
そこには更にネコが多く集まっていた。
その時、教会の扉が開いた。
そこから出てきた人物に俺と花子さんは驚愕した。
その姿は姦姦蛇螺、つまりかんかんだった。
「かんかん!!」
しかし、かんかんだとしてもここはクトゥルフの世界。
かんかんも敵になっている可能性は高い。
とりあえず池田達と合流しないと。
「シロクマ、池田達を連れてこれるか?」
「がぅ」
シロクマは急いで池田達の元に走っていた。
「さて、あれがかんかんだとして、どうやって接触しようか?」
「……かんかんさんなら強いから操られてないかも……」
確かにその可能性はある。
だが、こんな異様な光景の場所にいるんだから警戒は必要だ。
暫くするとシロクマが池田達を連れて戻ってきた。
「えっ、うそ、あれってもしかして、かんかん!?」
全員びっくりしている。
「お前達は……」
かんかんに気が付かれたみたいだ。
「やあ、久しぶり」
「この町に入るなぁ〜!! 呪符・突風!!」
いきなり凄まじい風が吹いた。
池田のスカートに目がいくがそれどころじゃない。
俺達は吹き飛ばされた。
そして、大群のネコに囲まれた。
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