第81話 雷獣
階段を上がった俺達。
そこは闘技場のような場所で空が見えている。
「よくぞここまで来たな」
声のする方を見ると雷をまとった犬みたいなのがいた。
「メリーさん、あいつは?」
「あいつは、雷獣。ワタシたち怪異の仲間だけど、神獣に近いわね。さっき戦った炎駒以下、ワタシたち以上の存在よ」
炎駒の方が上なのか。
「ほう、炎駒と言ったか? 何故ここに炎駒がいる!!」
「何故と言われても、下の階にいたぞ」
雷獣の身体の雷は更に強くなってきた。
どうやら、怒っているようだ。
「ここは、我の縄張りだぁぁぉ」
ドカァーン
雷が落ちてきた。
「ヤバい、池田頼む!!」
すでにマシンガンを構えていた池田が乱射する。
「……なんだ? その鉛玉は?」
マシンガンの攻撃は雷獣の雷によって防がれた。
「マジか!! あの雷をなんとかしないとダメなのか」
しかし、雷をまとっている為池田のマシンガン以外での攻撃は危険だ。
「くらぇ〜」
雷獣が身体から雷を放ってきた。
「松本!! そのバッドを投げてください!!」
メリーさんが叫ぶ。
俺はバッドを投げた。
すると、雷がバッドに向かった。
「どうなってるんだ?」
「バッドを避雷針代わりにしたのよ。金属だし、いけると思って」
なるほど避雷針か。
流石メリーさんだ。
これで雷攻撃はなんとかなる、後は、身体にまとわっている雷をなんとか出来れば……。
「……この盾なら雷防げる……かも……」
そう言って花子さんはシロクマに乗り、盾を構えながら雷獣に向かっていった。
「花子さん、シロクマ、戻って!!」
花子さんには池田を守っていて欲しかったのだ、それに花子さんにそんな危険な事は頼めない。
それでも花子さんとシロクマは雷獣に向かっている。
「……シールド……アタック……」
花子さんの盾が雷獣の身体に直撃した。
「グォ!!」
雷獣の雷が消えた。
「……いま……シロクマお願い……」
「グォン」
シロクマは雷獣を爪で引っ掻いた。
その後、雷獣の身体を掴み地面に叩きつけた。
「グハァ!!」
雷獣はかなりのダメージを受けているようだ。
「ハァハァハァ、分かった、我の負けだ」
いきなり負けを認めた雷獣。
「そこの盾持ちの女よ、こっちに来い」
雷獣は花子さんを呼んでいる。
「……なに?」
「お主にこれを授ける」
雷獣は緑の布を差し出した。
その緑の布、花子さんの持つ盾に被さり合体した。
「これで、その盾は品物之比礼の盾として浄化のかごを得たはずだ」
「品物之比礼?」
聞いた事ない物だ。
メリーさんも首をかしげている。
「品物之比礼は、十種神宝の1つだ」
これが十種神宝なのか、花子さんの盾がその1つになったと言う事か。
「もう、ここには用がないはずだ、我らの自我が残っているうちに立ち去れ」
「自我が残っているうち?」
「この世界は我らの正気を奪うようだ。我ら神獣とて長くは持たないかも知れない……」
また戦うのは困る。
それに、世界を元に戻せば雷獣も助かるわけだし、俺達は先を急ぐ事にした。
闘技場の階段を登ると森が広がっていた。
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