第66話 湖と再開
ようやく山の麓が見えてきた。
目的地の山まであと少しだけど、本当にここであっているのか心配だ。
なんの情報もなしに歩いているんだから当たり前だ。
「山の麓は見えたし、休憩しようぜ」
歩き続けだった為、足が痛い。
「なら、あそこで休憩しましょ」
メリーさんが指差した場所には、湖があった。
植物もあり、とても荒野の中にある場所だとは思えない。
「明らかに怪しいんだけど」
「それは分かるけど、水飲みたくない?」
「……飲みたい……」
「飲みたいわ」
「……のど……カラカラ……」
武器を持っているさ〜ちゃんでも、テンションが低い。
罠かも知れないけど、俺達は走って湖に向かった。
「おっ先に〜」
メリーさんは湖に飛び込んだ。
「……ワタシも……」
さ〜ちゃんまでも湖の中に入ってしまった。
羨ましいが、流石に服のまま入るわけにはいかない。
ドサ
突然鞄が落ちてきた。
いや、違う。
誰かが鞄を持ってきたのだ。
「あれ? この鞄、前に使ってたやつだ」
落ちてきた鞄は、かんかんが呪札で収納率を大幅に上げたいあの鞄だった。
カサカサ
誰かいる。
「誰だ? もしかしてかんかん?」
草陰から出てきたのは、ボロボロになった花子さんだった。
「花子じゃない。あんた無事だったの?」
そうだった。
メリーさんとさ〜ちゃん以外は殺られたと聞いていたのだ。
「最後にかんかんが守ってくれたけど、今まで動く事も出来なかった。だけど、皆の助けになりたくて来たの……」
そう話した瞬間、花子さんは倒れ込んだ。
とりあえず、花子さんだけでも無事で良かった。
鞄も手に入ったし、さっそく中身を確認。
中に入っていたのは、水着だった。
(嬉しいけど、なんで水着?)
しかも、他には何も入っていなかった。
花子さんが目覚めるまで動く事は出来ない。
仕方ないので水着を着て、湖に入る事にした。
「覗かないでよね」
池田は水着を持って奥に進んでいった。
(覗かないけど、覗きたい!! 見たいものは見たいのだ。でも、せっかく告白の返事が保留になっているのに、ダメにしたくない)
我慢する事にした。
池田はビキニ姿で登場した。
「ちょっと、ジロジロ見ないでよ……」
少し照れくさそうにしているのがますます可愛い。
「あっ、いや、その、ごめん」
「水着の感想の1つも言いなさいよ」
メリーさんが小声で話してきた。
バシ
さ〜ちゃんに背中を叩かれた。
「……似合ってるぜ」
俺は決心して、言葉に出した。
「ばっ、馬鹿な事言ってるんじゃないわよ」
池田は湖の中に入っていた。
俺も続けて入っていく。
歩き続けていた為の疲労が一気に回復していくような感じがした。
(もしかして、回復効果がある?)
俺は湖の水を汲み、花子さんにかけてみた。
すると、花子さんの怪我が回復していった。
間違いない。
この湖は回復の湖だ。
暫くして花子さんが目を覚ました。
「あっ、起きたわね。さっそくだけど、あの後何があったの?」
メリーさんはいきなり核心に迫る。
花子さんは深呼吸をしている。
「……話すよ」
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