第64話 シャンタク鳥
武器も強化出来、先に進む事にした俺達。
目的地の山まではまだまだかかりそうだ。
乗り物でもあれば良いのだけど、そんな物はない。
疲れているのか誰も喋ろうとはしない。
こんな時に敵が来たらヤバい。
「かぁ~かぁ~」
カラスの鳴声が聞こえる。
(カラス? こんな怪異やクトゥルフの化物達の中でカラス?)
俺は鳴声の方を見上げた。
すると、カラスとは似ても似つかない、巨大な鳥がいた。
怪鳥と呼ぶのがふさわしいくらいだ。
「なに!! あの鳥」
「ちょっとまって、えっと……あった」
メリーさんはすぐに本を開き調べていた。
「あいつはシャンタク鳥ね、でも、シャンタク鳥の中では普通サイズみたい。もっと大きいボスみたいなやつもいるみたい」
こいつより大きいってどんな化物なんだろうか?
正直会いたくない。
「かぁ~!!」
シャンタク鳥はいきなり急降下してきた。
「あぶな」
俺はギリギリで突撃を交わした。
しかしシャンタク鳥はUターンをしてまた急降下してきた。
「松本!! 右に飛んで!!」
池田の声に反応し右に飛んだ。
ズドォーン
池田の拳銃が発射された。
「がぁ〜」
しかし、空気の弾はシャンタク鳥の羽を少し貫いたくらいだった。
「かぁ~!!」
池田目掛けて急降下してきた。
傷つけられて怒っているみたいだ。
「きゃぁぁぁぁ」
池田のピンチだ。
俺はバットを握りしめて池田に駆け寄った。
そして、急降下してくるシャンタク鳥目掛けてフルスイングをした。
「くっ、重い……でも!!」
俺は池田を想い、振り抜いた。
「かぁ~、かぁ~」
ダメージを受けたシャンタク鳥は目的地である山の方に逃げていった。
俺は逃げる姿を見て安堵したのか、地面に座り込んだ。
「やったじゃない松本」
「今回、出番なしだったぜぇ!!」
メリーさんとさ〜ちゃんも駆け寄ってきた。
「あっ、えっと、そのありがとう」
池田からのお礼の言葉が聞けた。
正直嬉しくてたまらない。
「おっ、おう」
俺は曖昧な言葉しか出なかった。
「あっ、あのね、松本!!」
「なっ、なんだよ」
俺の心臓のドキドキがおおきくなっていた。
「この前の件なんだけど、今はこんな危険な感じじゃない? だから、帰るまで待ってほしい……今は気持ちが分からないから……」
「……今聞ける最高の返事だぜ。ならちゃんと返事を聞く為にも頑張るぜ」
俺達は立ち上がり、また目的地の山を目指す。
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