第62話 鞠
「メリーさん!!」
引っ掻かれたメリーに駆け寄った。
「大丈夫よ」
メリーは服が少し破れたぐらいだった。
「くきゃくきゃくきゃきゃ」
また不気味な笑い方をしている。
ボトッ
「きゃぁぁぁぁ」
「うぁぁぁ」
鞠の首が突然落ちた。
「くきゃくきゃくきゃきゃ」
生首になっても笑っている。
正直怖すぎる。
池田は座り込んで怯えている。
俺も身体が動かない。
「くすくすくすすす」
鞠を自分の首を広い、普通の鞠をつくように首をついた。
それを見て更に恐怖を覚えた。
「あんた、いい加減にしなさい!!」
メリーさんは鞠の首元にトンファーで一撃を入れた。
「なぁに? メリーも遊びたいの〜? くきゃくきゃくきゃきゃ」
「あんた、おかしいわよ……」
「メリーの首、ちょうだ〜い」
そういって、鞠の手がメリーさんの首に迫る。
「させるかぁ〜」
さ〜ちゃんが斬りかかってきた。
「口裂けが先が良いのかな?」
鞠は左肩を差し出し、日本刀を肩にめり込ました。
硬いのか斬り裂けないでいた。
「いたぁぁい、でも、口裂けの首ほしいのぉ〜」
さ〜ちゃんは日本刀から手を離し、距離をとった。
「……鞠……ごめんね」
メリーさんはトンファーで日本刀を叩きまくり、鞠を斬り裂いた。
鞠はそのまま無言になり倒れ込んだ。
そして、頭は俺の足元に転がってきたのだった……。
「うぁぁぁ」
俺は金縛りが解けたように叫び、その場から離れた。
「これがあいつが言ってた凶暴化……、大人しかった鞠が……あんな……」
落ち込むメリーさんになんて声をかけたら良いのか分からない。
「……メリーさん、前にメリー言ったよね? 怪異は死なないって、だから次あったら何かしてあげようよ」
池田は言葉を選んでいるようだが、それはどうなんだろうか?
「……そうね……次あったら、なんでもしてあげるわ」
メリーは少しだけ元気になったようだ。
しかし、なんとか勝ててはいるが、日本刀でも斬り裂けない事が増えてきている現状、かなりピンチな状態だ。
俺のバットとメリーのトンファーだけでは、この先厳しい。
せめて池田の拳銃が使えれば。
ゴン
「痛」
何かが頭に落ちてきた。
地面を見るとそこには……八尺瓊勾玉が落ちていた。
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